テーマ:心理学の悪用(138)
カテゴリ:心理学の利用
小中学生には、親や教師に反発し、授業をロクに受けない子どもがいる。学校にきてもグラウンドで遊んでいたり、保健室で寝てばかりいたりする。あるいは、教室にきても、わざと大声を出して授業を妨害したりする。
注意してもまったく聞かないし、何が不満か聞いても答えない。親も教師もまったくお手上げといった状態だが、そんな子どもの行動を観察していると、じつは保健室の先生や給食のおばさんとは仲良く話していることがある。学校への不満だけでなく、将来の夢や、好きな科目、彼女や彼のことなど、親や教師も知らなかった本音を語っていたりする。 なぜ、保健室の先生や給食のおばさんとだけ話すのか、その理由を聞くと、親や教師は顔を見れば、ガミガミ説教するばかりだが、その人たちは黙って自分の話を聞いてくれるからだという。何をいっても、うなずいて聞いてくれるので、安心して思うことを話したくなるというのである。 ただ話を聞いたり、うなずくだけのほうが、相手はいろいろなことを話すというのは、心理実験でも確かめられている。マタラゾらによって行なわれた実験は、以下のようなものだった。 景観と消防士の採用試験にきた受験者を対象にしたもので、四十五分の面接時間中、面接官の態度を変えて接し、そのときの受験者の様子を調べたのだ。最初の十五分はふつうに面接し、次の十五分は意識的にうなずく頻度を多くする。そして最後の十五分はまったくうなずかないようにするのである。 すると、受験者の話す時間は、面接官が頻繁にうなずいたときにもっとも長くなり、ほかの時間帯に比べて、四十八~六十七%も話す時間が増加していた。 人は、相手にうなずいてもらうと、それだけで「もっと話そう」という気持ちが起こるというわけだ。そう考えれば、相手から本音を引き出したい場合、こちらから積極的に話しかけるのは、得策とはいえない。それよりも、相手が話したくなるように、うなずくことに重点を置く。 最初は口が重かった人でも、うなずきながら話を聞いてくれる人にたいしては、自分の本音を口にするようになるのである。 クリックによる応援をお願いします PR エービーアイ春のメルマガ会員登録キャンペーン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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