テーマ:心理学の悪用(138)
カテゴリ:心理学の利用
小学校や中学校で教わった先生のことを、いまでもなつかしく思う人は少なくないだろう。
とくにひいきにされた記憶がなくても、なぜか子どものころに教わった先生には親しみを感じ続けるものだ。それは、その先生の人柄や熱意のせいでもあるが、心理学でいう「バーナム効果」が働いていることも考えられる。 たとえば、「君は親切だね」「あなたは、いつもおてんばだけど、奥ゆかしいところもあるわ」などと先生にほめてもらうと、生徒はそのことをよく覚えているものだ。すると、子供心に「自分のことをよく知ってくれている、いい先生」と思い込む。それが、長年にわたる好印象につながっていくのだ。 確かに先生は教育者だから、実際に子どもの性格や素質を見抜いて意のかもしれない。だが、案外、当てずっぽをいっていないともかぎらないだろう。そんな当てずっぽでも、子どもは「当たっている」と思ってしまう。そして、さすがは先生と思ってしまうのだ。 人は、自分について漠然としたことをいわれたときほど、それを当たっていると思う傾向がある。そして、言い当てた人を、洞察力の優れた人と思ってしまうのである。これが「バーナム効果」と呼ばれるものである。 このバーナム効果のミソは、漠然とした表現をするところにある。漠然とした表現だからこそ、そのカバーする範囲は広い。そのなかですこしでもかすっている部分があれば、人は言葉全体があたっていると感じるのだ。 たとえば、「君は感性が優れている」といえば、相手は『運、じつはそうなのだ」となる。「感性が優れている」といっても、具体的に何がどうなのかよくわからない。しかし、いわれた本人は勝手に解釈する。「自分の中の詩心を見抜かれた」などと、思ってしまうわけだ。そして、「そこまで見抜くとは、凄い人」となる。 逆に、具体的な言葉を使うと、ウソがすぐにバレてしまう。音痴な人に「君には音楽的才能がある」といっても、的はずれなことをいういいかげんな人と思われるだけだ。 このバーナム効果を巧みに利用して商売をしているのが、占い師たちである。占い師の言葉には、とにかく漠然としたものが多い。「人に言えない悩みを抱えていますね」といわれると、確かに悩みがあるなと思ってしまう。そのペースに次第に巻き込まれ、よく当たる占い師だと信じ込んでしまうのだ。 もちろん、占い師だけではなく、普通の人でも、このバーナム効果を生活の中で利用できる。 人から頭のいい人と思ってもらいたいときは、もっともらしいことをできるだけあいまいな表現で語ればいい。女性から頭のいい人に思われたいなら、会ったとき「今日は、ほんの少しいいことがあったでしょ」とでもいえばいい。 「ほんのすこしいいこと」というのは漠然としたものだから、相手の女性は勝手に「ああ、朝の急行列車で座れたこと」などと思う。そこから、「自分のことをよく見抜いてくれる頭のいい人」と、相手は思い始めるわけである。 クリックによる応援をお願いします PR 予想ネット【プレゴキャンペーン】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.03.13 03:58:19
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