2010/12/30(木)14:56
中国人、中国の骨董買うなら…日本で 「贋作なく安心」
長引く不況にもかかわらず、日本の骨董(こっとう)品店で引っ張りだこの品がある。
それは、中国の骨董品。
購買者の多くは中国の富裕層で、「日本なら贋作(がんさく)をつかまされない」と
アンティークショップやオークションを巡る訪日ツアーが人気を集めているという。
「80万円!」「120万円!」。6日、東京都中央区銀座の骨董店・アンティークモール銀座のビルの2階で、
「第1回中国骨董オークション」が開かれた。会場からあふれた椅子が廊下にまで続き、数十人が競り合う。
日本のコレクターや骨董商を尻目に、競り落としていくのは中国人の団体客。
モール事務局によると、1千万円を超える落札総額の9割が中国人客の支払いだった。
「いくつ買ったかよく分からない」という中国人の40代男性は杭州から来日した。
別の中国人男性は「中国は文化大革命の時に、多くの骨董が失われた。
日本の中国骨董は保存状態が良い」と話す。中国人団体客らは午後3時半すぎにオークションが終わるとすぐ、
別の骨董市場に向かった。約5年前から中国人団体客の案内をしている日本人男性は
「大阪では1人で4千万円分買った人もいた。参加客は円高など気にしていない」と言う。
日本の高度成長期にも海外に流出した日本の骨董品を買いに出向く動きはあった。しかし、
アンティークモール銀座代表の中村みゆきさんは「今の中国の勢いはその数倍ある」とみる。
「購買客の1割に満たない中国人が、支払額のほとんどを占める」
他の骨董品が値下げしても買い手が付きにくいのとは対照的に、
清王朝時代の花瓶や陶器などが数万円、数十万円で次々と売れるという。
「『中国は偽物が多い。日本で買えば安心』と話す中国人のお客さんは多い」と中村さん。
中村さん自身も上海で中国近代の有名な画家・張大千の掛け軸の偽物を3千万円で買わされそうになった
経験があるという。中国人の知り合いが「清王朝時代のテーブルセットだ」と言って喜んでいた800万円の品も偽物だった。
中村さんは「日本は古くから中国の文化を高く評価してきた歴史があり、鑑定や保存も丁寧。
今、中国の人が争うように価値を見いだしているのは、昔からの結びつきの結果とみることもできる」と話す。
http://www.asahi.com/national/update/1228/TKY201012280205.html
オークション会場からはみ出した席から、札を上げて骨董(こっとう)を競り落とす中国人男性
http://www.asahicom.jp/national/update/1228/images/TKY201012280227.jpg