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カテゴリ:小説
京極夏彦
「この世には不思議なものなどないのだよ」 京極堂店主の言葉である。京極夏彦のデビュー作である「姑獲鳥(うぶめ)の夏」での作中で発せられ、また本の帯にも使われている印象深い言葉である。 俺はこの人の本を、実際に読むまでとある勘違いをしていた。 魑魅魍魎や妖怪など怪奇なイメージを京極夏彦という人に対してもっていたため、怪奇小説だと思っていたのだ。 とあるときに、友人から「姑獲鳥の夏」を借り受けた。 そして読んだ。 ひさしぶりに充実できた。 これぞ、ミステリー。金田一耕助などに代表される耽美でどろどろした旧家を舞台にした血族、同族たちの争いによって引き起こされる殺人事件。あっさりとした痴話げんかの延長などとは違う。 引き込まれた。 特に終盤は時間を惜しんで読んだ。 秋の夜長、特におすすめしたい一冊である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005/10/01 11:33:03 PM
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