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2008.06.13
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カテゴリ:スピリチュアル

河口慧海日記
を最近愛読中。チベットに興味があって読み始めたが、河口慧海という人も、なかなか魅力のある人物だ。
p111~p112のあたり、ツルグの尊者、ロプサン・ゴンポとのやりとりが印象的だったのでここに書き写しておこう(一部勝手に現代仮名遣い+改行)。すでに死後50年たっているし、著作権の問題もないと思う。多分。

---
 彼らに法呪を賜って、彼らの去りし後、尊者余に種々のことを問う。
大いに余の素性を疑へるものの如し。

彼また曰く、汝は飲酒、肉食、非時食せずと。果たして然るか。
我曰く、実に然りと。
彼また曰く、汝は劫賊に遭い、飢餓に迫り、猛犬に噛まるる等の難に遇うと。実に然るか。
然りと。
曰く、何のためにかくの如き困難をなすと。
曰く、仏道を修行して一切衆生を済度せんがためなりと。
曰く、何の原因を以て衆生を度すと。
曰く、余に原因なし。衆生の苦患を受くるに因ると。
曰く、衆生を見るやと。
曰く、我に我なし。焉んか衆生を見んと。
彼また曰く、汝は女色の煩悩を受くるやと。
曰く、前来これがために苦しみしことありし。
いまや三宝の力に因りてこの煩悩を受けずと。
彼また曰く、汝盗賊に遇いしとき彼の賊を怖れしか。または憎みしか。また彼の盗まれし品に心残りするか。
曰く、我と我所なき真を知りし余は何ぞ失品に心残りせんや。況やまた何ぞ彼を恐れん。
(以後p.112)
しかして彼を憎まざるのみならず、ただ彼が前世の悪業力に因りてこの卑陋なる業をなさざるべからざるは憐憫すべきなり。彼の将来はかくの如き悪業を棄てて仏道に入る人となれと願ひきと。

かく種々の問答の後、彼は少しく疑念を解きたるものの如し。しかして彼は茶[パッカ]一、焼麦粉、米、乳油、マッチ三個、袋四枚、銅鍋、砂糖等、およそ実価五十タンガ[一タンガ三十銭]を与へぬ。

しかして彼また問うて曰く、もし強盗来たりて汝を殺さば如何と。
曰く、殺さば死なんのみと。
曰く、死して衆生済度をなし得るか。
曰く、得るなり。
曰く、いかにして得と。
曰く、ふたたび生まれて宿願を全うせん。
曰く、汝いかにして中有の難を超えて能く再生するか。
曰く、我今仏法において疑念なく一心法界の妙を信証せり。故にただ今中有なし。未来に中有なるものあらんやと。
彼またまた曰く、死の怖れある険なる西蔵土の行路を取らんよりは、汝のかつて来りしトルボ山道を取るの安全なるにしかずと。
余黙然たり。
彼再び問うて曰く、汝いずれの路を取るかと。
曰く、西蔵土山道を取らんと思うと。
云く、これはなはだ好からず。死の怖れあればなりと。
曰く、本来無一物いずれの処にか死の怖れあらんやと。
彼黙す。

しかして話頭西蔵土風の仏教問答に移りて日を終ふ。
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 彼の僧としての心意気が凄いのはもちろんだが、この問答をチベット語でこなしている語学力も驚嘆である。しかもチベット語経典を求めてのラサへの旅は、基本的に密入国に継ぐ密入国。自分が日本人であるという素性は知られてはならないのだ。そんな過酷な旅をこなしながら、斯様な問答もこなしてしまう。道中何度も危険な目に遭っていることは言うまでもない。

こんな立派な人がいたんだな~としみじみ感心してしまうのであった。






Last updated  2008.06.13 11:33:50
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