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深夜、NHKのEテレで、「路地の声・父の声 ~中上健次を探して~」を見ました。
まず、NHKの番組紹介を簡単に書き、続いて私が見た内容を記載します。 最後に、最近出た中上健次CDの中で書いている、担当編集者の言葉を載せます。 作家中上健次の36年前の肉声が録音されたカセットテープが発見された。故郷、新宮の「路地(被差別部落)」に住む5人の老婆たちへの聞き取りである。(5人共、既にお亡くなりになっています) 娘で作家の中上紀さんは、聞き取りがどのように作品を生み出したか、探っていく。 幼なじみが語ります。 母が子供の頃、昭和初期の話しです。日雇いの父にご飯を食べさせるために、自分は米粒の入っていないおかゆを食べていました。 住んでいる所が部落だと分からないように、遠くから走って帰りました。 きくえさんの話しです。 父はばくち打ちでした。みんなで名古屋や大阪の紡績工場へ働きに出ました。(話が展開していく中で、紡績工場は嘘で、実は遊郭で働いていたことが明らかになります) 14歳で子供を産みました。お腹が大きくなっても、妊娠の知識がありませんでした。子供の父親は誰か知りません。 1年間郷里で育て、その後は人に預けて、再び働きに出ました。そうしないと、生活できなかったのです。 30歳で故郷に戻り、病気がちな子供の世話をしました。 上の姉3人も、遊郭に売られました。 中上さんの向かいに住んでいたチエさんの家は、日雇いやぞうりつくりをしていました。学校には、月に1回か2回しか行けませんでした。紡績工場に働きに出て身体を壊し、19歳で故郷に戻り、8人を育てました。 私たちが遊郭で働いたから、妹たちは、そこで働かなくてもよくなったんだよね・・・。 過去にこだわらず、前向きに生きなさいと語っています。一方、若かった頃の気持ちを知ってもらいたいという気持ちもありました。本当は、自分たちを忘れてほしくないという、矛盾した状況です。 自分たちの置かれている状況を、素直に語っている。消えゆくおばあたちの記憶、それを書く。 何と闘っていく事が出来るかではなく、今の現実を乗り切っていく、サバイバルなのだ。 中上は、顧みられない人に対する愛情、そして彼女らの痛みを知っている事から、5人のおばあの記憶を、作品の中で、よみがえらせたのだった。 担当編集者の話しに続きます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
大変勉強になりました。
(2022.04.15 19:30:45)
ブログをお読みいただき、ありがとうございました。
(2022.04.16 09:50:16)
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