道楽親父のひとりごとパート3
歯医者騒動後編~ってことで、抜歯して部分入れ歯を作り直すことになったジジイは、早起きして若い女医さんの居るデンタル・クリニックに出かけていきました。受付でアポ確認を済ませると、待ってましたとばかりに看護婦が案内してくれて、おなじみの診療椅子に座らせられました。Good morning, how are you today?と満面の笑みを浮かべて現れた女医さん、英語の教科書のような(笑)ご挨拶を済ませると、「今日は長い1日になるから、頑張りましょうね」などと声をかけつつ、てきぱきと手術の準備を看護婦に指示しました。さて、先生はあんぐりと口をあけたジジイの顔を覗き込んで「まずは麻酔を打ちますから、痛かったら手で合図してね」とやさしく言いながら、手で胸を軽くたたく仕草をしました。ここでジジイは昔見た歯医者と患者のコントを思い出したのです。<コント>歯医者「あのぉ、痛くないようにやりますけど、もし痛かったらエッチなこと考えて下さい」患者「えっ?エッチなことですか?」歯医者「そう、痛くなったらエッチなこと想像して下さい」う~ん、そんな手もありかなぁ~、などとジジイは試してみようと思いました。と、そんなくだらねーことを考えているうちにも、センセーは着々と準備を進めて、早速抜歯するあたりの歯茎に注射針を立て始めました。「ゆっくり打つからね、大丈夫よ、そうっとピンを刺すからねぇ~」と、あいかわらずやさしい口調で話しかけながら麻酔針がブスっと歯茎に入る感触を感じました。痛っ!「大丈夫、ゆっくりやるから、OK? Very good」何がベリーグッドなんじゃい、わしは痛いがな!ちょっと汗が出たジジイ。そうか、ここでエッチなことを考えて意識を飛ばせばよいのだなぁ~、よおし、エッチなこと考えるぞ・・・・痛っ!・・・ちょっと痛いよぉ、センセー。「OK,もうすぐ終わるわよ~、Very good」ベリーグッドじゃねーだろ、痛いよ。センセーは言葉とは裏腹にブスブスと注射針を打ち込んでいきます。そろそろ痺れが始まり、あとは針が入る感触だけがあって痛みは薄れていきました。「どお?痺れてきた? Very good」やたらベリーグッドを連発するセンセーです。「さあ、じゃあ今度は反対側にも打ちましょうね、Very good」えっ?まだ打つんかい?というわけで、今度は反対側の歯茎にブスっと打ち込むセンセー。痛っ!、おい、痛いじゃねーかよ!と心の中で叫ぶジジイの顔を覗き込むセンセー。「痛かった?でもすぐに痺れるから大丈夫よ、Very good」チクチョー、おとなしい顔してめちゃくちゃやりやがって、とか頭はやや混乱しつつ、そのうち麻酔が効いてきて、下あご全般が痺れてきて、唇が浮き上がりました(笑)結局エッチなことなんて考える間もなく、麻酔が完了しました。ここでしばし休憩。しかしまあ、こういう状況でエッチな想像はやっぱできんね。などと、相変わらずくだらねー思いを馳せる道楽親爺のつかの間の休息も、再び冷酷な女医さんの声で緊張が再び走りました。「どう?全部痺れてきた?」返事をしようにも下あご全体が痺れていて言葉がでません。「そう、大丈夫ね、Very good。じゃあ始めるわよ」全然ベリーグッドじゃねーぞ、と心で叫ぶジジイ。センセーはガチャガチャと器具をそろえ、さっさと抜歯の準備をすると、いきなり前歯を引き抜きに入りました。「大丈夫、ゆっくりやりますからね、どう?痛くない、ここ?」ウグ、ウグと返事をするジジイをまるで無視したように歯を引っこ抜きました。ぐりぐりってな感じで、抜ける瞬間はちょっと気持ち悪かったです。「Very good、もう1本いくわよ」薄目を開けてみると、目の前にマスクとゴーグルをかけたセンセーの顔が目の前に。う~ん、これはなんか妙な感じです。口の中にペンチのような器具を突っ込まれて、その中を若い女性に覗き込まれているこの状態。なんかちょっとヤバイ感じかなぁ~、なんて思ってると、ギリギリと音を立てて歯を引き抜こうとしているセンセーの顔がいきなり魔女に見えました。この2本目がなかなか根性のあるヤツで、中々引き抜けません。センセーは相変わらずベリーグッドを連発していますが、その口調がダンダン力強くなっていきます。おい、どこがベリーグッドやねん。リキんどるやんけ。グリッ!、ガリっ!ガツン!ペンチがすっぱ抜けてあちこちにぶつかったりしてるのに、このセンセー、相変わらずベリーグッドの連発です。奮闘約30分。おかげさまで抜歯3本が終了。しばらくすると別のセンセーが現れて、部分入れ歯を抜いたばかりの歯の上にかぶせました。麻酔が効いているので痛みはありませんが、なんか妙な感じです。おっと、いきなりかよ、みたいな。しかし、強引ですよね。今抜いたばかりのところに入れ歯を乗っけちゃうんですよ。まあ、歯抜けよりはましかなぁ~とも思いつつそのままの状態で約30分。再び女医さん登場。「どう?パーシャル(入歯)は痛くない?」ってか、痛いも痛くないも麻酔が効いてるからわからんだろー。ってなことで、こくっとうなずくと、またもベリーグッドの連発です。未だ出血している歯茎の上に入歯を乗せられて、即退院です。「痛くなったらタイラノールでも飲んでね」だって。ということで、今もその入れ歯が入ってるんですけど、麻酔が切れて結構痛いです。そりゃそーだよね、傷口にセラミックが触れているんだから。おかげでこの数日、ろくなものを食べていません。月曜日の8時に検診があるのですが、こんなことならいっそのこと総入歯にしちゃおうか、などと考えが浮かんでます。なんかこういう作戦で、総入歯かインプラントにしちゃうのかね?そういえばフロントデスクにはローンの申込書も置いてあったなぁ~。こうして、長い時をかけて患者から収入を得るのでしょうか?結構良い商売だよね、などと思いつつ、未だ痛みの残る歯を憂いながらも、南国の日々は過ぎていきます(なんのこっちゃねん)最後に、一言。痛みを和らげるためにエッチなことを考える方法は、はっきり言って使えません!