秋の気配を漂わせる澄み切った青空。
クールミントガムくらいさわやかな昼下がり、
ひいさまが突然、熱を出した。
土曜日の午後、小児科はみ～んな休診。
やむなく、応急診療所へ。
のどがちょっと赤くなりかけてますね。
よくある夏風邪でしょう。
お薬だけをもらって帰る。
夜中になると、熱があがる。
朝になると、熱は下がって元気100倍。
よく食べる、よくしゃべる。
ところが、月曜の明け方から、
ものすごく熱があがりはじめた。
月初めの月曜の朝。
目が回るくらい忙しい１日。
とりあえず職場に顔を出し、
かくかく、しかじか…
ナニ、のんきなことしとん、ひいちゃん！
仕事なんか、ちょっとスカタンかましたかて、
いっぺん怒られたらしまいやけど、
『お母さん』は、ちょっとスカタンではすまんのやでッ！
はよッ、はよ帰って病院連れったりッ！
…上司２号、たまにはマトモなこと言うてくれるやないか。
大急ぎで帰って、となりまちの市民病院へ。
夏風邪ですな。
２、３日様子見てみましょう。
はぁ…。おんなじ見立てか。
やっぱり、タダの夏風邪かぁ。
そういや、
前にも『手足口病』かと思って病院駆け込んだら、
ひいさま、鉄棒で逆上がりの練習してて
手の平にマメつくってただけやった、とかいうのあったなぁ。
ところがその日の午後。
熱は急激に上がり始め、40度近くになった。
ひいさま、目がうつろ。
まま、しろいとりさんがとんでる…
うわごとまで言い始めた。
手ぇ、ぷるぷるさして…
あかん、本気で、コレあかんって！
ソッコー、ダーリンに電話。
ダーリン、弾丸よりも早く帰ってきた。
ほんで、普段２時間くらいかかる某大学病院まで、
１時間あまりで到着。
待合で、ダーリンに抱きかかえられながら、
どんどんはかなげになっていくひいさま。
まだまだ幼子のことです。
容体は、急変することかてあり得ます。
ほれ、『花子とアン』のあゆむちゃんかて、
あっと言う間に逝ってしもたやん…
ああ、なんちゅうこと思い出してんねん、
こんなときに。
すると、ひいさま、急に眼を見開いて、
ダーリンの目をじっと見つめる。
ちょっと、ちょっと、ちょっと、
ここで、最期のコトバとか、まさか、そんな…
ものすごく胸がざわついたその瞬間、
ぷすっ！
ひいさま、ダーリンの鼻の穴に、指、突っ込んだ。
座薬、効いてきたみたいやなぁ…
結局、やっぱり、ただの夏風邪。
すっかり熱も下がった今朝、
ダーリンに馬乗りになり、暴れ倒すひいさま。
たいそうご機嫌麗しく、母は恐悦至極にございますよ…
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