セイヤのblog

2020/02/12(水)12:36

「自分の小さな「箱」から脱出する方法」The Arbinger Institute著 金森重樹監修

長男が読んでみろと持って来た本です。The Arbinger Instituteという米国研究所に関しては知りませんでしたが、あの金森氏が目を付けて監修したものなら間違いなさそうだという事で読み始めてみました。仕事と食事の合間の時間を使って1日で読み終える事が出来ましたのでボリューム自体はそんなにありませんが内容は非常に濃いものでした。 ●箱の中では、やる事全てが自分の望みとは逆のベクトルを向く 「箱」とか「殻」という表現はディスコミュニケーションの象徴として他でも頻繁に使われたりしますが、大凡抽象的な認識のままで放置されている事が殆どです。本質というのは常に抽象的な概念である事が多いのですが、この本ではその「箱」の存在を明確に認識して、自分や相手が「無意識に箱に入ってしまっている時の欺瞞性」の弊害と、箱の外に居る時に人間が如何に理性的で、効率的に生産性に富んだ存在であるかを繰り返し会話形式で語り続けます。多くの人間が自分でも気付けない「箱の中の自己欺瞞」の状態は、他者だけでなく自分をも傷つけ、全ての言動・思考が自分の望む結果とは逆方向に向いてしまう無限ループ状態を作り出します。その状態から如何に自分を、周囲をも救い出して良好な人間関係・家族関係・職場関係を創り出すか?というのがこの本の肝となります読み進む程に読者は想定外の切り口が自分の生活実感と合致する事に大きな感銘を受け、新たな自分の可能性も感じるとる訳なのですが、同時に、この本の内容を他者に伝える事の難しさに誰もが気付かさせる面白い展開をもった本だと思います。ネットで他の読後感想を検索すると、内容は「ネタバレ禁止」にして「読んで貰えれば解ります」的な記事が多い理由はそこら辺にあるのでしょう。 故に私が象徴的だと感じた一節だけ引用しておきます>「箱」の中に居る人間は不安定な状態で暮らしている。なんとしても自分を正当化(自己欺瞞)しなくてはならない。自分は思慮深い人間だとか、価値ある人間だとか、高貴な人間だとか、しじゅう自分の徳を見せつけていなくてはならないのだから大変だ。実際、手に余るという点では他人に対してすべき事(箱の外に居る事)よりも、箱の中で自分を証明してみせる事の方が余程に手に余る。「箱の外に居る時よりも、箱の中に居るときの方が、はるかにしなければならない事が多く、負担が大きい」(こうして書くとシェイクスピアの台詞のようですね😀) ●The Arbinger Instituteセミナーのフロントエンド的書籍かもしれません 実は既存の心理学・認知行動学、サイコサイバネティクスや哲学でも同じ様な事を言葉と手法を変えて伝えようとしはているのですが、その殆どが「頭に入り難い言葉」「実感し難い文章」で書かれています。この本は一度それらをバラバラにして、より現代社会において実践的・具体的に身に付く形で解り易く組み直したものだと思われます。それでも、実際に読んでいない人に間接的な文章や言葉で「この感じ」を理解してもらうのは難しいでしょうね。だから私は親しい人間には繰り返し「読んでみろ!」とだけ言い続けるつもりです。The Arbinger Institute Japanはこの本メインのセミナーも開催しているそうです。実際に本を読んで「自分は箱から出ている!」と自認した人間がセミナーに参加すると「俺はまだまだ箱から出てなかった」と改めて感動を覚えるそうなので、現状の私が的確にこのマインドセットについて語れるとも思えませんが、従来の啓発本、マインドセット本とは一線を画す内容である事は間違いないと確信します。 私的にはThe Arbinger Instituteセミナーのフロントエンド的書籍の様にも感じますので機会をみてセミナーも受けてみたいなと思いますね。

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