2006/05/11(木)21:42
誘拐未遂
いやぁ参った。危うく誘拐されそうになったよ。。
・・・・・
いえね、会食の予約が入ると当然のことながら食材の買出しに行くんですよ。んで、昨日も15人前の食材買出しに行ったわけです。ココまでは何の何の、いつもと全く同じ光景です。魚を見て、肉を見て、野菜を見る。「なんか新しい季節の食材出てないかなぁ」なんて思いながらワクワクして3箇所ほどの店を車でハシゴします。
15人前のフルコース食材ともなれば結構な量になるので、買出しに行く時は通訳や荷物運び兼運転手に必ず職員を一人連れて行くんですよ。結構な量の食材を買い終わり、いつものように「先に車に運んどいて」と一緒に連れ立った職員に先に車に戻っておくように指示し、当方はもう一度食材の最終確認を兼ねて店内を巡回します。
最終確認が終わると、車に戻って調理場へ帰り、仕込み。という流れで会食へ向けての主だった第一段階は終了するわけですが、昨日は「魚料理」の概要がイマイチ決まってなかった。
「ソースは取り敢えずアンチョビと白ワイン、サフランなんか入れちゃったりして、台はオリーブオイルか、、いや、ん~・・・でもクリーム台でスピナッチのグリーンのソースでも見栄えがいいなぁ、いやちょっと待てよ・・・魚をそのまま白菜で包んで、シャンピニョンデュクセルを挟んで蒸してもいいかな、いや待て待て・・・肉がコッテリ系だから、酸味を利かせるためにレディーユを・・ブツブツ・・・」
などと、頭がおかしくなった人みたいに独り言を呟きながら、いや、もう既にネジの何本かは確実にすっ飛んでるわけなんですけど、一歩歩を進めるたびにポッポーと耳から煙をはき、ネジをポンポン3本くらい飛ばしながら余め職員の待つ車の元へ戻りました。
ドアを開けて助手席に乗り込み、
「あ~、明日の魚が決まらねぇ!くそう、だいたいよぉ、なんでヒラメしかねーんだよ!」
とブチブチ文句を垂れながら、
「結局さ、アレだ、なんつーか食材でも何でもそうだけど、障害があればあったでまた燃えるんだよな、俺って人間は。下手に日本っつー食材の豊富なところを知ってしまっているからダメなんだよ。最初からココで産まれたと思えば、そうは感じないんだ、お前、解るか?あ?、そりゃそうと、お前よぉ、早く車出せよ。全く何やってんだよ、だから仕事が遅いんだよ」
とガチガチの日本語で言いながら運転手にの方を見ると、そこには全く見知らぬオッサンがハンドルを両手で持ったままガタガタと震えていました。まるで当方のことを初めて見る未確認生物のように、いや、あれはまるで猛獣に睨まれたカエルのようだった。
ただでさえ魚料理が中々決まらなくてイライラしていた当方。そして治安が良いとは言ってもココは外国。「もしかして誘拐とかされちゃうの?」と直ぐに誘拐の文字が頭を過ぎり、、でもどう見ても相手のほうが誘拐された被害者っぽいような感じだったんですけど、どこにどんなトリックがあるか解りません。ビックリしましたが、ここは瞬時に威嚇モードに入ります。
「ちょ!!!!てめぇ、人の車で何やってんだ!」
「・・・・」
「あれ、俺が連れてきた職員は・・・あ、これ俺の車じゃないね、、どうもスイマセン・・」
車を降りる時の恥ずかしい事恥ずかしい事。頭を何度も下げて、ドアを閉めましたよ。もうね、魚料理なんかどうでもいいから、いっその事自分を白菜で包んで蒸してあげたかったね。車に乗り込んでから3分間くらい魚料理のことを「日本語で」喋り続けて、窓を開けてタバコを吹かすところまで行ってましたからね。
まぁ、言ってしまえば「誰しも起こしうる出来事」の部類に完全に入るとは思いますが、みんなも気をつけようね♪ テヘッ