人生は足し算だと思っていました。
学校へ行って新しいことを勉強し、
できなかったことができるようになる。
友達をつくる。
知識や技術を身につける。
働いてお金をもうける。
服を買う、車を買う、家を建てる。
足りないものは足していく。
知識、学歴、資格、お金、
持ち物、人間関係、
なんでも多ければ多いほどいいと 思っていました。
人生は足し算でした。
病になって、なにもできない惨めさを知りました。
仕事はおろか、起き上がることもできません。
電話に出るのも、
人に会うのも苦痛になりました。
今までできたことが、できなくなりました。
やりたくてもできないこと…
どんなにしたくても、
やってはいけないことも 増えました。
それから 人生は引き算になりました。
たくさんあることの中から、
ほんとうにしなければならない、ことだけを残す引き算です。
大切なことと、どうでもいいこと、
どうしても私がしなければならないことと、
ほかの人に代わってもらってもいいこと、
時間をかけてしたほうがいいことと、
手を抜いてもいいこと、 少しずつ見分ける知恵がついてきました。
わたしにしかできない、
ひとにぎりのことを 心をこめてする。
引き算の人生も、悪くないと思います。