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Ureのミラクルな毎日

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2008.11.10
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カテゴリ:ツイン
初めての方は(ツイン)アララト山1・過去性の記憶
からお読みくださいね。

………………………………

山小屋というよりは洞窟に木の入り口に少しの屋根
入り口の扉は頑丈に出来ていて
子どもの力では開かないような古くて思い扉でした。

私が入り口近くにくると
家族全員がいて…父、母、叔母…がいます。

「あ~よかった!みな無事だったんだわ。」
『おにいちゃんは?』と見ると
崖に近い方で泣き崩れています。

「お父さん、お母さん…どうしたの?」
黙ったまま父は泣いている母の肩を抱き雪の上に立ち尽くしています。

『私よ、私はここよ』となんど言っても聞こえないようです。
私はふりかえって、兄の元へ走りました。
「おにいちゃん、おにいちゃん!私はここよ!」

すると遠くで兄がこちらを振り向きました。

「ダーマ!」
おにいちゃんが叫びました。
「今、ダーマの声がした!おとうさん、今ダーマの声が!」

父は首を振りました。
「仕方のないことだ。」
重く沈んだ声でした。
「ダーマは死んだ…」
母の大きな泣き声が響きました。

兄はがっくりと首を落とし
「僕も死んでしまいたい…あの時
あの時、僕が妹の、ダーマの手を離したから…ああ、可哀想な妹よ」

……………私?
私は死んでいるの?
今、ここにいる私はだれ?

私はあの吹雪の時、兄の手を離れ、疲れ果てた女の子は寒さの中で意識不明になったのでしょう。

ここにいる私は幽体という意識だけなのでしょうか。
とても冷静ですよ。
寂しくも悲しくもないです。
小さな魂のかけらではなく
大きなものにつながった意識という魂でした。



洞窟小屋のそばにこんもりとしたちいさな雪のかたまり…
私はそのそばまで行くとその雪をすこしずつ掘りながら払って行きました。
中から見えて来たのは…私でした。
冷たいけれど笑ったような顔の私が見えて来ました。


周りには父母、兄、そして叔母、案内人の方もその一部始終を沈黙のうちに見ていました。

「天使が!今天使がダーマの顔の雪をはらっていたよね!ああ、神よ!」


……………みんなが私を見上げています。ああ、みんなの顔が遠くになって行きます。


end






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Last updated  2008.11.10 23:43:42
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