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うりぼうず

うりぼうず

小説系

 ●きよしこ(重松清)
 N研のブックガイドを見て、奥様が買ってきた(ワタシは、本は買ほとんど買わない)。ワタシの方が2~3歳上だが、ほぼ同世代とあって、「少年物」は、すんなりとその世界に入っていける。読みやすいし、中学受験に出題するには、非常にいい本なんだろうな。でも、娘はまだこの本を読み通せるか。いったん読み始めれば、読めると思うが、中々手にはしないだろう。「受験のため」に小説を読むなんて、邪道。そういった勧めかたもしたくないし。そういえば、自分で買ってきたのに、奥様は読んでいない。

 ●流星ワゴン(重松清、講談社)04年6月
 年のせいか、救いのない結末の小説を読むのはしんどい。どこかに救いがないと。最近、重松清のものを読むのは、救いがあるからかな。同世代を感じさせてくれることもあるが。
 子育ても、夫婦関係も「リセット」は出来ないことは、わかっていても、ついつい、「リセット」できたらと夢想してしまうことがある。どこかに、「ここから先は引き返せない」地点があったはずだが、そこで一体どんな選択があったのか。選択肢は、あるようでなかったのかも知れない。

 ●代行返上(幸田真音、小学館)04年6月
 ん~。年金問題を勉強するのなら、それなりに問題点が浮き彫りになって、勉強は出来ます。ただし、小説として面白いかというと、別物。「りょう」が、何をそんなにムキになって「日本」にケンカを吹っかけているのか、ピンとこなかったし、河野の妻にしても、「なんでそうなるの」というリアリティに欠けていた。幸田真音のものは初めて読みましたが、もう少し、小説として面白くなければ。

 ●青い天使(   )
 なんと、ジュニア小説。日記の方にも書いたが、綿谷りさが「今、熱中して読んでいる」と書いてあり(毎日新聞6月30日)、それを娘が愛読していたもので。なんとなく、バカにしていた自分を恥じています。確かに面白い。ただ、あまりにもいろいろなテーマ、エピソードを詰め込みすぎ。ついでに言うなら、ちょっと偶然に頼りすぎ。でも、主人公チナの母親との葛藤、成長の軌跡など魅力あります。一気に6巻まで読んでしまいました。9巻まではあるようだが、ウチに見当たらないので。

●死霊(埴谷雄高)
 読んだというのか、めくったというのか。面白いといえば、面白い。こんなもん、わかるかといえば、まさにわかるわけがない。読んだのは学生時代。その後も、何回かページをめくった。部分でしか語れないが、第5章の
一角犀を粛清する場面。一角犀の「上部は常に腐敗する」という問題の投げかけ。革命運動の中で、上部を売り続けた男の理論、これは忘れられない。
 大体、埴谷といえば、難解が決まり文句だが、全集の政治論集など、ある意味で非常にわかりやすい。あるいは、ドストエフスキー論なども、親しみやすいものが、多い。
 「自同律の不快」は良くわからなくても、死んでゆく人間の脳細胞を操車場の貨車に例えた部分、釈迦、キリストを糾弾する元生物たちの饒舌な議論など、部分、部分でみれば、非常に面白い。だけど、全体とすれば、ようわからん。
 ●光抱く友よ(高樹のぶ子、新潮文庫)
 ●「敵討」(吉村昭、新潮社)
 ●「電車男」(中野独人、新潮社)
 ●「主殿の税~田沼意次の経済改革」(佐藤雅美、講談社文庫)
 田沼の後半生に焦点を当てた歴史経済小説。最近、高い評価が与えられることも多い意次。必ずしも、彼自身が経済に明るかったというよりも、祖法にとらわれずに、プラグマティックに税収増を図ろうとした姿が描かれている。後半はむしろ、一橋治斉や松平定信との暗闘に焦点が注がれている。


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