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うりぼうず

うりぼうず

文学論

 文学なんて、ロクに読んだこともないのに、論なんて。でも、読むと面白い(ように感じる)ものもあうようで。

 ★「日本文学史序説 上、下」(加藤周一、筑摩書房)
 もう、25年くらい前だろうか。これは、朝日ジャーナルに連載していたもの。連載中にすこしだけ読んだような気がするが、その後、単行本になったのを買った。まったく、ここに出てくるものの原典に触れていないのだから、はっきり言ってようワカラン。
 ただ、土着の精神と外来の文化のせめぎあいによって発展する日本文学の流れが、すこしは理解できたような気はした。道真なんて「東風吹かば」しか知らなかったが、加藤周一の「菅家後集」に対する高い評価などを読むと、道真の精神の一端に触れたような気にさせてくれる。また、江戸期のものでは、富永仲基の独創性、上田秋成と本居宣長の対比にも感心させられることしきり(何にどう感心したか書き表せないところに、底の浅さが露呈する)。

 ★「百代の過客~日記にみる日本人」(ドナルド・キーン 金関寿夫訳、朝日選書)
 1983年から1984年にかけて、朝日新聞に連載していた企画を単行本にしたもの。平安時代の円仁の「入唐求法巡礼行記」から、幕末の川路聖アキラ(漢字が変換できない)の「長崎日記」「下田日記」にいたるまで、日本人の書いた80の日記を取り上げたもの。そもそも、太平洋戦争に従軍したキーンの任務の一つが、戦死した日本兵の手帳などに記された日記を解読して、情報を集めるというもの。情報の漏れるのを極度に恐れるはずの軍隊であるが、兵士が日記をつけることについてはとやかく言わなかったらしい。これらの日記から、かなりの情報が得られたようである。ただし、以上は、まったく本筋とは関係のないこと。
 日記といっても、江戸時代以前のものの多くは、現在の日記とは異なり、日付を書いて、その日の出来事を記すようなものとは異なっていたようだ。


 ★「源氏物語の女性たち」(瀬戸内寂聴、NHKライブラリー)



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