カテゴリ:本のこと
『エンジェル』 石田 衣良
タイトルのエンジェルはベンチャー企業の創業を支援する投資家のこと。 そして…神の使いの天使のこと。 主人公の掛井純一は投資会社のオーナー。 まず、冒頭でいきなり彼は幽霊として登場する。 幽霊はにはそれぞれに得意技があるらしい。 光をコントロールしたり、雨や水に作用したり、動物や虫と対話できたり。 しかし、物体に作用することができない。 つまり本のページをめくったり、物を持ち上げたり…ということは できないのだ。 純一の場合は電気の流れを変えることができる。 ちょっと笑ってしまったのが、その適正の力を伸ばすために 日々練習を重ねるというところ。 幽霊になってもある力を伸ばそうとすると 鍛錬が必要なんだな。 ややもすればSFっぽくなりがちな幽霊話を こういった細かい設定で現実っぽくみせている。 幽霊には足がない理由にも納得してしまった。 彼は死の直前の2年分の記憶を失っていたので 自分がなぜ、誰に殺されたのかが全くわからない。 電気を操る力を使って自宅のパソコンを立ち上げ、 最近2年のプロジェクトを調べる。 張り込みを続けながら事件の解明を計る。 そうしていくうちにある女性に出会う。 幽霊なのでもちろん向こうは気付いていない。 そして彼女に恋をするのだった。 私がもしこうして幽霊として自分を殺した人を発見したら 何が何でも復讐したいと思うだろうな。 この作品の中には真の悪人が出てこないのだ。 どんな人にも色々な事情があったり、人情があったり…。 だから結局主人公は誰も恨んでいない。 その辺りがこの作品のあったかさかな。 それにしても親友の「トオル」は幽霊からメールをもらったのに よく事務所で寝てられるなぁ。 主人公の親友なんだからそのあたりもうちょっと絡みがほしかったような…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jul 10, 2004 12:45:34 AM
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