・【読売新聞 3】「ギネス認定 何にでも世界一って......」
【4月30日読売新聞夕刊】「いやはや語辞典」「ギネス認定 何にでも世界一って......」寄稿者/ 森 絵都(もり えと、1968年生まれ)東京都出身の小説家。児童文学中心に執筆。多数の文学賞を受賞し、2006年には直木賞も受賞。中には映画化された作品も。<バンクーバー五輪における浅田真央のトリプルアクセル計3回成功>がギネスの世界記録に認定されたそうである。おめでとう!と祝福するには少々胸のもやつく話だ。↑「ギネス世界記録認定は祝福できない」とは了見が狭すぎでは。聞けば、浅田側から申請したわけではなく、ギネスの方から「認定話」を持ちかけてきたらしい。↑浅田選手側が申請の準備をしていたことはニュースなどでも取り上げられ、周知の事実でした。森氏が知らずに思い込みだけで書いたとしても、コラムを書く人間として不足でしょう。天下の読売新聞の担当編集者や編集長など他の人間が原稿をチェックするはずですから、誰一人知らずにそのまま通してしまったということはありえません。バンクーバーで涙を流した浅田選手ですが、その偉業は世界が認めている……しかも申請するまでもなく認められたということでファンならずとも皆が祝福していた時に、わざわざそれに水を差すかのような言葉です。それを報じた某ニュース番組では「ソチでもぜひギネス記録を」、とキャスターが期待を述べていた。いや増しもやつきが高まる。一体いつからギネスブックは何でもかんでも世界一に認定するようになったのだろう?↑浅田選手の記録を「ギネス認定されるべくもない何でもかんでも」であると言っています。ギネス社への批判をしているようですが、浅田選手の記録に対しての批判です。<一緒に入浴したガラガラヘビの数><ストローを使ったケチャップ早飲み><世界一豪華なトイレ>。↑「ギネス認定されるべくもない何でもかんでも」の類例……今や人々は自らの特技で世界一を目指すのではなく、世界一の抜け穴を探すようになった。ギネスもそれを容認した。↑「認定されたカテゴリー」の下で「認定されたルール」沿って認定するものであって、何でもかんでも認められるものでもありませんし、「人間の特技」のみを認定するものではありません。ちなみに、人命や犯罪に関わるようなことも認定されません。それに、浅田選手の偉業は立派に讃えられるべき立派な「特技」であると言えますが……。数多くのトップアスリート達が限界まで挑戦してもできないものなのですから。名誉や権威よりもシャレを重んじ、<世界一毛深い家族>にまで認定を与えるその姿勢は、一本筋が通っていると言えないこともない。↑ギネスには笑っちゃうような記録もありますが、それで名誉や権威よりもシャレを重んじているとは決して思いません。それにシャレを理解できるのは文化レベルの高さを表しているのではないでしょうか。そもそも名誉や権威とシャレの間の線引きはどこで決めるのでしょう?しかし、真面目にスポーツをしている浅田までもそこに巻きこむことはないと思うのだ。しかも、申請もしないのに認定の押し売り。これはシャレにならない。↑シャレではありません。名誉・権威ある記録の方です。アスリートの記録のカテゴリーでの登録なのに、別のカテゴリーの記録と並べて見せて、「巻き込む」とはいささか強引すぎます。しかも、2度目の「申請もしないのに認定」の強調です。無論、ギネスブックには偉大な記録も多々ある。↑その一つに浅田選手の記録が並べられることをなぜ祝福できないのでしょう?これまでに認定されている同じカテゴリーの偉大な記録を例に出さずに、わざわざ「下らないと思われるような記録」と探し出してきて並べてみせるのは恣意的ですね。けれど人は誰に認定されずとも、大小さまざまな挑戦を重ねて生きている。個人的に耐えるべき試練があり、尊ぶべき達成がある。ギネスが差し出る余地のない領域だって存在するのである。↑それは当然のことでしょうが、なぜわざわざこんなことを?「ギネスに認定された人への嫌味」、あるいは「ギネスに認定されなかった人への慰め」としか思えませんが。まさか、キムヨナ選手の世界記録を「尊ぶべき記録」「ギネスが差し出る余地のない領域」と言っているのではないでしょうが……。まるで浅田真央選手の記録を貶め、キムヨナ選手の偉大な記録を讃えている韓国のコラムのような言い回しです。人のいい浅田は、笑顔でギネス認定の喜びを語っていたけれど、自らの成果が<世界一ジャンプ力のある豚>などと並び讃えられているのを見たらどう思うのか?もやつきを通りこして胸が痛む。では、「ギネス認定の押し売り」を断るべきだったと森氏は主張したいのでしょうか?「世界一ジャンプ力のある豚と並べられてムカつきます」とでも言えば良かったでしょうか?人が良いのではなく、「大人」ですよ。笑顔で「ありがとう、嬉しい」と言えるのですから。ちなみに世界一ジャンプ力のある豚はNatural Worldというカテゴリーの中のAnimal Extremesという項目に掲載されています。愛知県の「伊賀の里モクモク手づくりファーム」にいるこてつちゃんだそうですけど、70cmも飛べるんですって。それはそれですごい!見たいですけどね。カテゴリーが違うので、並ぶことはないでしょうが、並んで載ったとしても、真央ちゃんは「すごい!かわいい!」とてつちゃんのすごさを素直に讃えるのではないでしょうか。逆に森氏のこの記事を見たら、ひどく傷つくでしょうね。本当に胸が痛みます。このコラムを一読した時の感想は「ねじりドーナツのようだ」でした。直木賞も受賞した作家さんとは思えないな……と。それは多分、結論に持ってくるために無理やりな論理展開をしているせいでしょうね。ギネス社への疑問を呈しているようでもありますが、心の中ではそう思っていても、普通は「おめでとう!」と祝福するものです。逆に森氏が様々な賞を受賞されているようですが、「それはあまり権威がない賞だよね。駄作と並べられて嬉しいの?」なんて言われたらどんな気持ちがするでしょうね。さすがの森氏も浅田選手に面と向かってはこんなことはとても言えないでしょうが、紙面で全国の人々に向けていってしまうとは。しかし、これは森氏個人の意見を述べたものではないのではないでしょうか。森氏が本当にこのように思っていたとしても、読売新聞の担当者なり、編集長なりがこれを掲載するでしょうか?しかも内容に明らかな誤りがあるのに、紙面に掲載される前に幾人もの人間が目にしながら、それをスルーするとはとても思えません。森氏が「載せたい!」と言えば載るものでしょうか? 森氏は誰も何も言えないほどの権威のある方なのでしょうか?やはり、このコラムには読売新聞全体の意思が感じられます。4月14日・【読売新聞 2】転倒ヨナ なぜフリー1位 ヨナ上げ↑真央下げ↓4月17日・【読売新聞 1】「最も親しみ感じる」日本はヨナ、韓国は真央 ヨナ(韓国)上げ↑4月30日・【読売新聞 3】「ギネス認定 何にでも世界一って......」 真央下げ↓キャンペーン中という感じです。読売新聞側が森氏にこういう内容で書いて欲しいと依頼をしたのかもしれません。依頼されたのだとしても受ける方もどうかしていると思いますが……。やはりこの森氏には青嶋ひろの氏(=辛仁夏氏?)と通じる匂いを感じます。同じ歳(誤差1、2歳)の女性、東京出身在住、早稲田大学出身、文筆業、根拠の薄い、思い込みによる強引な論理展開の妄想的コラム……接点があるとは言いませんが、ないとも言い切れません。しかし、実体を隠しているような青嶋氏ならともかく、地位も名誉もある森氏がこんな文章を出すことのどんなメリットがあったのでしょうか?せっかくの経歴に傷をつけるだけだと思いますが……。