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テーマ:ひとり言・・?(16649)
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私の仕事の内容を少し紹介しますと、映像に関係する製品のソフトウエアをやっています。 新製品を開発する期間の短縮は年々きびしくなり、複数の製品プロジェクトにまたがって進めなければいけない状況で、だんだんと余裕がなくなってきているように思います。
昨年末などは私自身(現製品の更新も含めると)3つの製品を同時に進めないといけない状況で、今も二つの新製品開発に関わっています。 一つだけでも開発日程が厳しいのに、とうてい無理があり、どうするか苦慮しています。 といってもあせってもしかたないので、この3連休はちゃんと休んでますけど。(苦笑 映像関係なので放送や映画業界とも少し関係がありますが、最近はハイビジョンの映像を取り扱うことが主流になってきていますし、映画もフィルムだけではなく設備が非常に安価なディジタルカメラから映像化してそのまま編集する(ノンフィルムで制作する)ことが採用されつつあります。 情報伝達の画期的進展は、紙の発明、印刷技術、電話、電波、電子化、そしてインターネットというように歴史上何度かあったのですが、とりわけ、インターネットが今までの電波や本とは根本的に違うのは、だれでも個人が全世界の不特定多数の人に、文・音声・映像などの情報を自由に発信できるようになった、ということで、これは紙の登場以来の画期と言えるようです。 そこで映像情報を扱う機器の重要性も需要も高まっているわけですが、 しかし今まで一部の人にしか発信できなかった映像情報が、映写・記録・伝達手段がどんどん安価になり、だれでも発信でき、それだけ低俗なものも増えているという現実を考えると、我々の仕事の行きつく先がほんとうに世のためになっているのかどうか、 そういうことは考えることもなく何年もやってきたわけですが、今になってちょっと疑問もわいてきています。 そうはいっても疑問を抱くヒマも無く、どんどん映像技術は進化していきます。 少し技術的な話しをしますと、映像を記録したり伝送する場合、データ量を減らすために圧縮することが通常ですが、いかにデータ量を減らしかつ誤差なく元に戻すか、という圧縮技術がいろいろ提案されていて、ライバル同士の戦略もあるのですが、最近はより高効率の符号化として、MPEG(Moving Piture Experts Group)から提案されたH.264をベースにした動画圧縮方式が注目されてきています。 ちなみにこういう画像圧縮は、直交変換系の離散コサイン変換(DCT)技術がベースになっています。 直交変換とは、相関性を取り除くようにデータを変換することで、相関を無くする事で一画像あたりの平均ビット数を落とすことができます。 となり同士の画素の色とか輝度を一方を縦軸にとり、もう一方の画素を横軸にとると、一画面や動画の前後の画面の画素の集合は、 y=x の斜め直線のまわりに集中します。となり同士の画像の相関関係は非常に強いということになります。 そこでAとBのとなり同士の2画素の相関性を取り除くためには、Bに対して(BーA)の引き算をして差分だけ扱うことにしてデータ量を減らします。 すなわちA、Bが8ビットデータだとすると、(B-A)は平均すると小さい値になるので例えば3ビットでよく、AとBをそのまま伝送する(16ビット必要)より、Aと(B-A)を記録や伝送する(8ビットと3ビットで11ビットでよい)しておいて、復元するときに(B-A)+Aの演算を施してBの画素を導き出すほうが、データ量を少なくすることができる。というものです。 以上はとなり同士2画素間の直交変換の例ですが、これを8x8画素などの小ブロック内で行うとより効果的であり、その場合は、離散コサイン変換(DCT)を使用しています。(複数のデータの相関関係を最も少なくする変換数式としてはカルーネン・レーベ変換という無限級数式がありますが、これをそのまま現実に計算するのは無理であり、その近似式のひとつであるコサイン変換が画像圧縮につかわれています。) H.264の特徴を言えば、 従来のMPEG2や4より低ビットレートとなること。 一方で演算量や演算(エンコード、デコード)のためのメモリー量が増える。 ということでしょうか。 従来のMEPGは、実数精度の離散コサイン変換を用いているが、H.264では、4x4や8x8の整数精度の直交変換が用いられるため、丸め誤差もなく高速に処理できるというメリットはあります。 ただ量子化にあたっては、画像の種類によって割り当てるビット数がかなり違ってくるためビット割り当てを演算で常に変動させなければならないというのは、やはりあります。 このへんは基本技術であるので、ご存知の方は目新しくもないと思いますが、 一般のものはともかく、放送や映画グレードとなると、いかなる場合も復元画像に誤差が多くなることは許されません。変換誤りを少なくするために技術の見せ所があるのかもしれません。 仕事内容の具体的内容は企業秘密で書けませんが。(苦笑 でこの記事の結論はというと、、? ともかく来週からもまたその新製品開発プロジェクトで格闘しないといけないということで、昨年後半から新プラットフォームでほとんど一から開発をやろうとしていて、これを日程どおり仕上げるのは大変だということです。 メンバーがまたそれぞれの自分の担当部分にはこだわりを持っている人も多い割りに、製品全体についてわかっている人があまりいない、ということでやり難いです。それは今に始まったことではないので、まあそれなりに対応しますが、私自身、もうひとつの新製品までやっている時間は無いのに、現実にはそちらにも関わらないといけないというのが困ったところです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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