選挙を前にして各党マニフェストが出てきた。
選挙目当ての間に合わせ政策論になっている感はあるが、
政権選択をする上で、有権者の一人として具体的に検討しておく必要はあると思うので
この盆休みに、新聞・インターネットの各党HPなどを見てみた。
今までのところの私の評価をメモとして書いておきます。
まずは 財源と財政
現在の国と地方の合計債務残高は約800兆円、
09年度財政収支は約39兆円の赤字
この債務と赤字の財政をどう再建するか。
また経済対策の方向性は。
自民:経済成長重視(当面大型財政出動 赤字の増大)
その後消費税率を段階的にアップし、増税を図り収支のバランスを確保する。
民主:当面は家計支援し内需を拡大するという経済対策、
無駄を省いて収支のバランスを確保する。
違いのポイント:
■景気対策として、自民は組織に金を配る、 民主は個人個人に配る。
例えば、自民は幼稚園、保育園に配るが、民主の「子供手当て」は子供に配る。
→これは大きなちがい。
特殊法人や企業や公共事業など組織に配れば、
ほんとうに救済すべき人が救済されているかどうかも、景気刺激に有効に使われているかも不透明。
無駄が大きくなる。しかも経営者が潤い労働者は行き届かない。きわめて限定された人が潤う。
しかし、直接個人に配ってしまうほうが無駄は少ないし、同じ条件の人ならだれもがその補助を享受できる。
スウェーデンがなぜあれだけ高い税を取れるかと言えば、国民に(再配分して)返しているから。
→内需のウエイトはもともと多くない(15%程度)。その内需拡大だけでは景気対策としては不十分。
外需にも目を向け、伸びる市場にウエイト移すことも必要。
(以上、原田泰・大和総研常務理事)
■自民は消費税率のアップで足らない税をまかなうというが、
現在の支出のままで、消費税で不足分を補おうとすれば、消費税を22%にしないと収支バランスを保てない。
しかもそれはさらに年々増やしていかないといけない。
そんな税率を導入して、日本の経済、消費は、成り立つとは思えない。
消費税アップは必須としても、同時に支出をどう抑えるか、という政策が結局は必要。
それには、民主のいう、地方分権、税源の地方への委譲、を核とした無駄の削除をやるしかない。
→地方への税源委譲が不十分なまま改革継続できなかったのが、地域格差拡大、地方の財政逼迫の原因となった(竹中平蔵氏)
→大型の財政出動で当面1年くらいは多少景気は上向くがいつまでもこの出動は続けられないので、やがて2番底がくる
2011年にもう一回その底がくるのではないか。これは今の財政出動の結果、どうしても避けられない。
その底をどううまく乗り切り次の継続的な産業強化にもっていくかがが今からの政権に求められる(竹中平蔵氏)
■財源論が一番貧弱なのが自民(景気回復まで大判振る舞いを続ける政策が破綻しているのは90年代で実証済み。それを繰り返すのか?)
消費税か歳出削減かという二者択一というのは、論点すり替えだ。
所得再配分の観点で、税源を見直すこと、そして、バラマキではなく、エネルギーや産業の転換を助長できるように補助金を出すべき。
(以上 金子勝・慶応大学教授)
★★私の評価★★
自民が新しいことを言っている感はない。
結局今の予算の枠組みの中で、赤字国債によるその場限りの景気対策を官僚主導でやるだけ。
90年代のバブル崩壊後のやり方を繰り返そうというに過ぎず、これが赤字の急激な増大になったことを繰り返そうとしている。
小泉・竹中路線による不良債権処理が進まなかったら、今頃、日本は最悪の状態になっていたのではないか。
もういちどこれを繰り返したら確実に日本は破綻する。消費税UPなどでは太刀打ちできるはずもない。
これに対し、
民主は、官主導を国会主導に移して、税の見直しと大幅な支出の見直し、無駄の排除をやると公約している。方向としては大賛成。
しかし、脱官僚といっても一機には困難だ。国会議員のレベルが官僚に比べ低すぎる。そこをどう折り合いをつけるかが課題。
また、”家計支援”として毎年配るのは中長期としては少子化などの解消となり、効果はあるが、短・中期の景気対策としては不十分。
やはり成長産業などへの支援も合わせてやる必要がある。
以上を踏まえ、私は 財源・財政としては民主指示とする。
欠点もあるが、税の見直しと大幅な支出の見直し、無駄の排除 を支持したい。
自民の 赤字国債によるその場限り景気対策を官僚主導でやるだけというのでは国家破綻に直結する。
当面のバラマキが終わればその反動としての、より深い2番底と、とんでもない赤字の増大が残るだけだ。
それだけは絶対に避けねばならない。