観光庁の宿泊旅行統計調査に見る「上昇訪日客」、「下落日本人客」。
このブログは、元・旅行業に従事していた「幸兵衛」(S12年生れ)が書いています。観光庁は本年4月と5月の宿泊統計を発表している。○2024年4月の延べ宿泊者数(全体)は、5,190万人泊、○2024年5月は、5,176万人泊○日本人延べ宿泊者数は、4月は、3,739万人泊、5月は、3,946万人泊○外国人延べ宿泊者数は、4月は、1,450万人泊、5月は、1,230万人泊ざっくり読むと、8割は日本人、2割が外国人が宿泊している。これを2019年比で読むと宿泊者全体では、2019年同月比は+2.3%であるが、日本人の利用はおよそ5%減少、外国人利用者は、4月は+28.5%、5月は+26.5%、宿泊料金が高騰しているので売り上げでは利益が出ていると思うが、気になるのは日本人旅行者の減少ぶりである。物価上昇に給与上昇が追いつけず、旅行が控えられていることが判る。宿泊料金も高くなり旅行に出かけられない層が増えているのである。私はもうひとつ客室稼働率にも目を向けたいと思う。○2024年4月の客室稼働率は全体で59.8%であった。また、2024年5月は全体で58.8%であった。宿泊種別は、旅館、リゾートホテル、ビジネスホテル、シティホテル、簡易宿所に分類されていて、都道府県別に稼働率が明記されている。これを見ると、客室稼働率には都道府県別に相当のばらつきがあることが判る。稼働率の高いところと低いところの差が大きい。4月分の客室稼働率は以下の通り総合第1位は東京都、79.5%、満室の日も多い。旅館は第1位は香川県64.1%、リゾートホテル第1位は千葉県、71.9%、ビジネスホテル第1位は石川県86.0%、シティホテル第1位は京都府85.5%、簡易宿所第1位は大阪府、60.6%となっている。ホテル建設が毎日のように始まり、特色ある施設が増えてきているが、稼働率が高いということは満室が多いことになる、つまり新しい宿泊施設はまだ足りないとも読める。ニュースではオーバーツーリズムが報じられているが、それは限定的な地域だけである。宿泊旅行統計調査を子細に読むと数字によってその地域が見えてくる。訪日客の増加で宿泊産業はまだ余力があるように見えるが、私はやはり内需はこのままでは良くないと憂いに思う。経済の回復が進まないとこの傾向が続くのは変わらない。