えー、アメリカに渡ってからの話。あるときクラスメイトとスーパーへ買い物にでかけたとき、「あ、そうだ。シャンプーとリンスを買わなくっちゃ」と言ったら怪訝そうな眼で顔をマジマジと見られました。日本で言うところの「リンス」と呼ぶものは「コンディショナー」であり、「リンス」とは「流す行為」を表します。どこでどう間違ってしまったのかわかりませんか、「リンス」というものは存在しないのです。日本以外では。
ということで、よく使う外来語ではあるが、本来の意味とは違う使い方をしている言葉って数多くあると思います。銀治的「写真の世界で用法が外国と異なっている言葉ランキング」の中でみごと1位に輝いている言葉は、「トリミング」です。
トリミング(trimming)を日本では、撮影後の作業として不要な部分などを切り取る行為を指します。アメリカではこのことをクロッピング(cropping)と言います。したがって「この写真のこの部分は不要だからトリミングしたらどうかな?」というと、意味は通じますがやっぱり冒頭のごとく怪訝そうな顔をされます。ちなみにフォトショップ等の切り取りツールの名前も「クロッピングツール」です。だからポインタをツールに持って行くと(C)と頭文字がでるはずです。
んじゃトリミングはどんな行為か。トリミングとは、撮影前にどこからどこまでを切り取るかを考える行為を指します。フレーミングも同義語として使います。
まぁ、わかりやすく以後はトリミングを使います(笑)。
写真が好きな人の中に「トリミング不許可主義」という人がいます。撮影前に完璧にするべきで、プリント時など後から形を整えたり不要物が写ったといって切り取ったりすることをいやがる人です。これはこれで大変素晴らしい思想でしょう。特にライカ判であれば24×36ミリという小さなフォーマットの中でロスを少なく画面を最大限に活用しながら構成するのが本筋だと思います。
銀治的には、大変もっともなことで異論はありません。しかし必要あればトリミングするべきだと思っています。つか、別に垣根を作る必要はないと考えている、の方が正しいかな。
「ここはパノラマの方が似合うけど、パノラマフォーマットカメラが今ない」
という仕上がりフォーマットを想定した上でのトリミングは多いにアリでしょう。
「撮影の時にアレが入らないように気を使ったつもりなのに、写っちゃった」
全てのカメラが視野率100パーセントとは限りません。特にレンジファインダーなら一眼レフよりも発生しやすいことかと思います。
「撮影の時には気づかなかったけど、改めて見てみるとこの部分は無い方がテーマが生きるな」
多くのトリミング不許可主義者はこれを嫌い、「まだまだ修行がたりん」と思うことでしょう。じゃ、どーするの。お蔵入り?そりゃもったいない!
トリミングして写真が生き生きする、自分の狙いがはっきりと伝えることができる、と判断したのならば、どんどんトリミングしてもいいんじゃないかなー。
閑話休題:ある学生が8×10で撮影して密着プリントを教授に見せたところ、「ここをこうトリミングした方が面白いね」といわれた指先を見たら、110カメラ程度のサイズにされてしまった。という話を聞いて爆笑したことあり。
ということで、銀治は「撮影時に完璧構図で望むべきだがトリミングを嫌悪しない主義」なのであります。
なんでこんなネタをしているかと言うと、ソニーのDSC-R1で素敵な写真を見せていただけるフェルメールさんブログで、おせっかいにもトリミング提案をしたからなのです。ゴメンネ。
では銀治のトリミングするケースをご覧ください。
コンタックスTVSで撮影しました。
ISO50で夕暮れ時で暗かったし、28ミリ開放で撮影しました。撮影時には奥行きを感じさせる必要あるかなーと、湖の対岸まで入れました。つか、寄れればもっと違ったのでしょうが、桟橋の上だったので、これ以上草に近づけなかったこともあります。
フィルムを眺めると、ありゃりゃ水平でていない。レンジファインダーですからレンズで隠れてよく見えなかった桟橋までも写っている。写真的なことを考えるとやっぱりここは水面のグラデーションと草の反射が面白い。という結論に達成。
で、トリミングしました。最初から水面と草だけにすれば良かったのですが、撮影時には気がつかなかったというか、物理的に無理だったというか。この写真はやっぱりこの方が面白いんじゃないかなー。
という流れで今日の写真を考えてみました。
トリミングについては様々なご意見があることでしょう。ぜひお聞きしたいと思います。
でも↓はやり過ぎじゃないのという声が出るかなー(不安)。
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