2008/10/30(木)01:21
APS-Cとフルサイズの計算上等価ボケ量の実験
えー、お久しぶりです。ちょっと出張してました。いつもなら 維持で 意地で更新しましたが、今回は肩の力を抜いてみました。さりげなく後ほど更新しますが、ま、日記程度でたいしたネタではありません(謎)
さて、気になっていたので実験したんですが、そのまま ほったらかし 温めていたネタをお届けいたします。
いつも利用させていただいている焦点距離計算機で感じた疑問を実験してみました。それは「撮影フォーマットによるボケ量の違い」について「等価ボケは本当に等価なのか」を実験してみました。
実験道具:EOS Kiss XとEOS 5Dと70-200mm F2.8L。
実験目的:APS-Cサイズとフルサイズで被写体サイズを同じにした場合に、ボケ量は本当に計算通りの等価となるかを検証する。
実験方法:APS-Cサイズで70ミリF2.8とフルサイズで110ミリF4.5、APS-Cサイズで125ミリF2.8とフルサイズで198ミリF4.5、の2通りを撮影してみる。また、それぞれAPS-Cサイズの撮影距離でフルサイズ等価F値と同F値でも撮影してみる。
注意点:レンズによる描写の違いをできるだけ避けるために、1本のズームレンズを使う。EOS Kiss XとEOS 5D共に視野率が違うために、被写体サイズはおよそとする。ズームによる焦点距離を正確にセットできないので、感覚的およその位置とする。
実験結果は以下の通り。なお、この状態だとわかりにくいので、みなさまも画像をダウンロードして比べてみてはいかがでしょうか。
写真01:EOS Kiss Xで撮影した、焦点距離70ミリF2.8
写真02:EOS 5Dで撮影した、焦点距離105ミリF4.5
写真03:EOS Kiss Xで撮影した、焦点距離125ミリF2.8
写真04:EOS 5Dで撮影した、焦点距離200ミリF4.5
んー。想像していたよりも両者のボケ量に違いがないように思えます。微妙な違いはありそうですが、おそらくはF2.8開放絞りの収差だと思われます。125ミリと200ミリになると、その収差の出方によるボケの形の違いが見て取れます。
なるほど。APS-Cサイズとフルサイズの計算によるボケ量は、確かに等価になっていると言えそうです。
しかしながら、これらはあくまでも「等価ボケ」を得るために、フルサイズでは絞っています。それならば、APS-Cサイズによる被写体サイズを撮影した距離からフルサイズで撮影した場合の写る空間の違い、並びに余裕ある絞りの設定を開放にしたらなば、どれだけの違いがあるのでしょうか。
写真05:写真01のKiss Xの焦点距離70ミリF2.8を撮影したポイントから、
5Dで焦点距離70ミリF2.8にて撮影
写真06:写真01のKiss Xの焦点距離70ミリF2.8を撮影したポイントから、
5Dで焦点距離70ミリF4.5にて撮影
写真07:写真03のKiss Xの焦点距離125ミリF2.8を撮影したポイントから、
5Dで焦点距離120ミリF2.8にて撮影
写真08:写真03のKiss Xの焦点距離125ミリF2.8を撮影したポイントから、
5Dで焦点距離120ミリF4.5にて撮影
ま、これも当然のことながら、フルサイズの方が写る範囲が広くなります。そしてフォトショップを持っていたら、両隣に写真01と05、写真03と07を並べて、5Dで撮影した05と07を158%の拡大表示をさせると、あー、確かにAPS-Cサイズとはフルサイズを小さくクロップした感じの同じボケ量だなー、ということがわかると思います。そしてF4.5に絞ったカットは、絞ったなりにかっちり見えますね。
これがフルサイズのボケ量に対する優位性でしょう。
では、5Dで写真02のF4.5をF2.8開放撮影したら、写真04のF4.5をF2.8開放撮影したら、ボケはどれだけ変化するでしょうか。
写真09:写真02の5Dの焦点距離105ミリF4.5を撮影したポイントから、
5Dで焦点距離105ミリF2.8にて撮影
写真10:写真04の5Dの焦点距離200ミリF4.5を撮影したポイントから、
5Dで焦点距離200ミリF2.8にて撮影
これまた当然の結果で、フルサイズの開放はしっかりとボケてくれます。
この被写体がポートレートだったらどうでしょうか。APS-Cサイズクラスで頑張って開放値F2.8を使ったとしても、フルサイズが作り出す背景のボケを得るにはもっと明るいレンズを使わなければなりません。APS-Cでフルサイズ200ミリF2.8のボケを得るためにどれほどの明るさのレンズが必要かを計算すると、およそ125ミリF1.8のレンズが必要ということになります。これは、APS-Cサイズにはソニーα用のカール・ツァイス製ゾナー135ミリF1.8クラスのレンズが必要だということです。うへー。ぉ高いレンズだこと(笑)
クリカエス!
これがフルサイズのボケ量に対する優位性なのだ!
実験結果のまとめ:計算よりももう少し焦点距離の違いがでるかと思ったが、ほぼ計算通りの等価ボケを得ることができた。付加実験による結果から「ボケ量たっぷり欲しい」場合は、より大きいサイズのフォーマットが圧倒的に有利であることを再確認できた。ゆえに、被写体による機材選択の目安となる結果を得ることができた。
以上です。
追伸:とどのつまり、ライカS2はライカ判フルサイズ一眼レフよりもポートレートでは有利な訳で、円高ユーロ高のなりゆき次第では・・・
無理無理!いくらなんでもS2は高すぎるってば(笑)
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