感染ルンです。。。

2009/05/22(金)18:20

NOKTON 50mm F1.1の写真を見て その2

写真(407)

えー、昨日の続きで「flickrのT&T and Mr B氏によるアップ」にノクトン50ミリF1.1による写真を見ての、ま、フリッカーのサイズだし、フィルム情報もスキャン状態もレタッチ具合も不明なのにどうのこうのは難しいですが、率直な感想をば。 注:読んで感染してもしーらないっと(笑) 29枚の写真を全体的に見て最初に思ったことは、F1.4以下のハイスピードレンズですが、かなりすっきりとしていて優秀な収差除去設計で高性能なレンズかなぁっと。 レンジファインダーカメラでの使用が前提ですから、太さや前玉サイズをやたら大きくできないという制約があります。とはいえ口径比が1:1.1ですから、少なくとも45.6ミリは確保しなければならないですね。ちなみにノクチルックスF1.0 E58の前玉サイズは、約52ミリあります。ノクチルックスとノクトンの周辺光量落ち具合を想像的に比べれば、ノクトンは短いトンネルを覗いているみたいです。小林社長みずからシャッターを切ったT&T and Mr B氏の室内ポートレートをはじめ、他の写真からも推測できます。つまり、F1.1という大口径ですが、他の大口径レンズよりもかなり豊富な周辺光量を確保しているのではないかと。 ひな祭りの写真の中に、点光源(ぼんぼりかな)ボケがいくつかありました。周囲に行くほどレモン型になっていますが、極端な三角形に変化していないことに注目してください。それだけ周辺の光をすっきりと導いているのでしょう。恐らくは超高屈折ガラスの恩恵かと。 周辺のレモン型といえば、これまた素直な形で上下左右に引っ張られている感が少ない感じがします。それと千体おひな様飾りの全体を撮った写真を見れば、ぐるぐるボケを感じません。つまり、非点収差やコマ収差もかなり抑えられているということが推測できるかと。 # andoodesignさんが気にしていた「周辺で妙にピントが合う現象」ですが、今のおひな様全体のコマに同様な現象がありました。30段飾りの下段にピントを合わせたようで、上段に行くにしたがって奥へ距離移動しますから、ボケがドンドン出てきます。しかし、一番ボケていいはずの上部左右のぼんぼりは、その中央よりに比べてしっかりしていますよね。これにも出ていますね。 次に、大口径標準レンズの特徴として、光量をレンズで押しこむっぽいことをするせいか、樽型の歪曲収差が出やすいです。キヤノンF0.95なんてひどいもんです(笑)。ノクトン、それは最新設計。T&T and Mr B氏の写真から、歪曲収差をあまり感じ取れません。歪曲は絞ったところで改善されませんから、これは嬉しいです。ただし、口径食による絞った状態が周辺に出現してしまうための、なんとなく中央付近がブフォファっと盛り上がって見えるのは、大口径レンズの特徴ということで、歪曲収差とは異なります。 収差の最後。球面収差もやっぱり見えにくい。つか、中央付近はほぼ皆無にシャープなんじゃないのかな、と、小林社長が撮影したポートレートの眼鏡やぼんぼりを大きく撮ったカットから感じました。大口径レンズには付きものとも言える球面収差が、もしかすると、プラナー55ミリF1.2並に無いんじゃないかとすら思ってみました。 最後にボケ感。多少2線ボケっぽさが皆無とは言えないようですが、障子や額の黒い線のボケ方を観察すれば、温度が高くなってゆるみかけたゼリーのようにねっとりと広がっている風に見えます。これは人間の眼が感じるなだらかなボケの世界を演出しているのではないでしょうか。そして写真の中にはF2.8やF5.6もあり、戦闘機が急上昇するかのような鮮鋭度の向上を見て取れます。開放のF1.1ですらシャープさがあるので、全絞りを通してハイクオリティーな、キレがあるのにボケがある写真に仕上げることができるように思えます。夜の電灯を撮った写真を見れば、ゴーストやハレーションにも強いかもしれません。 すなわち総合的にノクトンの個性を考えます。 開放から高いシャープさが始まる。特に開放撮影をした場合は、被写体と背景のボケとの分離が極めて優秀で立体感が強く出る。誠になだらかなボケは、人間の記憶の断片をストレートに再現できる。コシナの大口径レンズに対する挑戦状とも思えるノクトン50ミリF1.1は、至極のパフォーマンスを究極的価格でユーザーへ提供する。 ポチっとな♪ が、標準レンズ好き、大口径好きには必須であろう。 と、いうことで(笑) おまけ。 ノクトン50ミリF1.1は、6群7枚構成のダブルガウスタイプで、レンズ構成が非常にノクチルックスF1.0に似ています。各所の意見として「何故にF1.0やF0.95ではないのだ」とか「何故に非球面を使わないのだ」とあるようですが、これは小林社長によるコシナの技術力とユーザーへの愛情の表れだと思いました。 あくまでも想像ですが、恐らくコシナの技術力ならば超高屈折ガラスと非球面を採用して新ノクチルックスF0.95をレンズとしても価格としても凌駕する製品を作ることは可能だと思います。でもそれは選択しなかったのだと思います。国際社会のビジネスで考えれば、甘っちょろい選択と言えなくもないでしょう。しかし今回のコシナは、あくまでもノクトン50ミリF1.5から1絞り明るい、ノクトン50ミリF1.1を作ったに過ぎないのだと。 ある意味「気軽な価格」とも言えるノクトン50ミリF1.1に手をするということは、大口径開放沼の上を綱渡りできる切符を買うようなものです。みごと強い意志を突き通して渡りきり振り返らずにいるか、それとも渡ってから左へ広がる過去の大口径沼を渡り直すか、それとも右へ踏み出してノクチルックスF0.95へ落ちるか。 あなたは、どちら? & 日記が面白かったという人も、web拍手をクリックしてくださいね♪

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