道に落ちていた男107
BL小説です、興味ない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮下さい。朝は嫌でもやって来るのだと実感した。身体が思うように動かないのは椎名に絡め取られているからだけではない、二人で抱き合った結果だった。それがおかしくて静かに笑う、そして壁の時計を見るとまだ出社までには随分時間が有ることを知った。もう一度、目を閉じてみたが眠れない、目の前には椎名の顔が有る。自分の知らない顔、昼の顔とも夜の顔とも違う全く別の顔、幼い子供のような顔だった。そっと手で触れてみるとそれを避けるように寝返りをうってしまい、さっきまでの重さが無くなった。それが寂しいような気になって鴻山の方から椎名に手を伸ばすと腕が返って来た。「眠れない?」「起こした?」「良いんだ、アンタがそうしてくれるのがうれしいからね」目が細められて身体ごともう一度、抱き寄せられた。さっきの重さが戻り、寂しさが消えた。「ねぇ、今日、会社行かなくちゃだめ?」「ああ、行かなくちゃ、ごめん」腕の中で眠っていたい、体調が悪いと伝えれば休めるのだろうが、一日、休養をさせてもらった、だが、仕事が溜まっているに違いない。そして野瀬、休んだ事を理由に何をされるか、分かったものではない、しかし、彼にはもう構われることは無いだろう、それだけは救いだった。なぜだろう、胸の奥がざわめいた。理由は分からない、抱きしめる腕は椎名だというのになぜ、自分は野瀬のことを考えてしまうのか、椎名の首筋に唇を寄せた。もう一度、何もかも分からなくなるほどして欲しいと願ってしまう。鴻山はなんてことを思っているのかと自分を恥じる。何時の間にこんな浅ましい自分になったのかと思う。「宗次さん?」「葉瑠。。。抱いて。。。俺を壊して。。。お前で埋め尽くして。。。葉瑠」言ってしまったと思いながら身体が動く、椎名の上に乗って口付ける。それを拒もうとしないで受け止める椎名、お互いの身体が重なり合う。BL小説ブログランキング