カテゴリ:読んだ小説
「KYOKO」村上龍著
【ストーリー】 トラックドライバーで貯めたお金。キョウコの目的は、子供の頃にダンスを教わったホセに会うこと。だが、ニューヨークで再会したホセは重症のエイズを患い、彼女のことも覚えていなかった。故郷マイアミに帰ることがホセの願い。キョウコはホセをヴァンに乗せ旅に出た。衝撃的な旅で、キョウコはなにを手に入れるのか?生命の輝きを描く大傑作。 (文庫の裏-http://bunkonoura.web.infoseek.co.jp/index.html-より転載) 【感想】 私の単行本の帯には「希望と再生の旅」と書いてあります。 希望・・・希望・・・誰の希望か・・・誰が再生するのか・・・ 私がこの本を読み終わって、まず感じたのは、他の村上龍作品と根底を流れる考え方は変わらない、ということでした。 ストーリーを見ると「衝撃的な旅でキョウコは何を手に入れるのか」と書いてあるけど、キョウコにとってその旅は、大事なホセという男を連れて行くというただそれだけのことであり、ただそれだけが大事。 この、何が一番大切かがブレない主人公の感じが、他の作品と同じです。主人公が女の子であったり、バイオレンス描写が少なくても(というかほとんどない) それは変わらない。 それだけに、とても読みやすかった。 結局ホセは道中、キョウコの記憶を取り戻し、チャ・チャ・チャを踊りながら死んでいく。キョウコは、ホセがチャ・チャ・チャを踊るのを許してしまい、死期を早めたことを後悔するが、ホセの母親は許す。 これも何が大事かを知ってる者の行為。 希望・・・希望・・・ 絶望的な世界や状況にあっても、自分にとって大事な何かを見据え守ることが希望になるのだろうか?なんて思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年12月15日 13時27分40秒
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