2005/12/16(金)20:49
本気かそうでないかの区別
こいつは眠る前いつも白い錠剤を呑む。
「何なんだ、それ。」
「錠剤だよ。」
「俺を馬鹿にしてるのか?」
「何てことだ。知らなかったよ。馬鹿だったんだね。」
「お前、とんでもなく俺のこと嫌いだろ。」
「それこそ、とんでもない。愛してるよ。世界中で下から三番目ぐら
いには。」
「・・・・・泣いていいか?」
「舐めるように慰めてあげるよ。」
「遠慮する。まだ死にたくないからな。」
「そんな七面倒くさい事をしなくても君は何時でも死ねるよ。」
「何で俺が死ななきゃならないんだ。」
「皆いつかは死ぬよ。」
ありがたいことに、とこいつはいつものように笑う。
「で、何なんだよ。その薬は。」
「遠回しに君には言いたくないって言っているのが分からないのか
な。」
「分かってるぜ?」
「君ってそういう人間だよね。」
「で、効用は?」
「永劫の眠り。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「冗談だよ。」
こういう時だ。
こいつののらりくらりとした口調と割と何も考えてない笑みに。
本気かそうでないかの区別がつかない・・・・・・。