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狭間2015のブログ

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2015年05月28日
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カテゴリ:政治・外交
1.米海軍原子力空母ジョージ・ワシントンと第七艦隊の役割

5月18日、米海軍の原子力空母ジョージ・ワシントンが任務を終え、横須賀基地からサンディエゴに向けて出航した。

【海自&米海軍の人文字がステキ! 「THX GWA」「さようなら」 - ねとらぼ 】http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1505/18/news133.html

横須賀のジョージ・ワシントンには第七艦隊の指令本部(司令官:ロバート・トーマス2世海軍中将)が置かれていた。今後は新たに横須賀に配備されるロナルド・レーガンが後継役として第七艦隊の指令本部の役割を担う。

第7艦隊の守備範囲は、インド洋の西端までであり、それより西は第五艦隊の守備範囲となっている。先日、合意された「日米防衛協定のガイドライン」にも記載されているが、新ガイドラインでは南シナ海の安全保障とインド洋のシーレーンの安全確保(第七艦隊の守備範囲)が強調されている。


2.日米安保と日米防衛協定の新ガイドライン

南シナ海のシーレーンの安全確保の重要性は、中国を訪問したケリー米国務長官が5月16日、北京で李克強首相や王毅外相との会談、翌5月17日に習近北主席との会談において、中国が南シナ海で岩礁などの埋め立てを進めていることへの懸念を伝え、緊張緩和に向けた行動を促したことからも分かる。

アメリカが描いているアジア・太平洋の安全保障体制は、「日米韓」によるミサイル防衛システムと「日米豪」(将来的にはインド、タイ、マレーシア、インドネシア、シンガポール、フィリピン、ベトナムのなどの参加も視野内)による、南シナ海。インド洋の安全保障体制である。

【JOINT STATEMENT OF THE SECURITY CONSULTATIVE COMMITTEE】
http://www.mod.go.jp/e/d_act/anpo/pdf/js20150427e.pdf


日米防衛協力の新ガイドラインの締結によって、日本が更にアメリカの言いなりになると懸念する人がいるが、それは全くの事実誤認だと言って良いだろう。この新たな日米防衛協力関係により日本の役割分担も増えたが、同時に日本の発言力も増えることを意味する。いままで一方的に日本がアメリカに安全保障を頼って時代は、相手の言いなりにならざるを得なかった。しかしそれが相互依存の関係となったいま、今後は新たな日米関係が始まる。

日米安全保障条約が相互主義(バイラテラル)の条約だと勘違いしている人も多い。しかし日米安保は、基本的には米軍の日本国内での基地使用を認めることにより、東アジア地域での米軍の軍事活動を担保(5条)するという条件と引換えに、米軍が日本の施政下の地域が攻撃された場合、日本を守る義務(6条)を負うことを定めているユニラテラルな条約である。

第五条:
 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
 前記の武力攻撃及びその結果として執ったすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従って直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執ったときは、終止しなければならない。
第六条:
 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリ力合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。
 前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基づく行政協定(改正を含む)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。

言い換えると、日米安全保障条約は、日本がアメリカから一方的に守られることを保証条約であったが、中国の軍事的台頭、アメリカの相対的な影響力の低下から、これからも、いままでの日本の安全保障を維持するためには、日本にも相応の軍事分担が求められるのは当然と言えるであろう。

アジアの地図
3.日米韓ミサイル防衛構想

アメリカの期待とは裏腹に、日米韓のミサイル防衛構想に関しては韓国が非常に非協力的であり、袋小路に入り込んだような様相を呈している。現時点では、韓国がやっと昨年末、韓国から日本への情報提供は米国経由で北朝鮮情報に限定するという中途半端な形で、日米韓の軍事情報協定の覚書に署名した。ところが韓国は国内世論に配慮し、いまだに正式な日米韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の署名には難色を示している。また一番肝心な「THAAD」の配備に関しては、韓国は中国から強い圧力を受け、米韓間の板挟みのなかで喘いでいるような状態だ。なお「THAAD」の韓国配備に関しては、ロシアも新たな極東の軍事的脅威になるとして異を唱えている。

アメリカは韓国の強硬な反日政策による日韓関係の悪化とミサイル防衛構想に対する非協力的な態度にはほとほと手を焼いており、韓国に対する不信感を募らせ始めた。最近のアメリ政府の動きでも明らかなように、韓国に日韓関係改善の強い圧力を掛けるとともに、歴史問題でも日本擁護の発言をするようになったことからも、このことは読み取れる。

日米韓ミサイル防衛システムに関しては、Xバンドレーダーの配備は、京都府北部の配備が終わっており、更に無人偵察機の三沢基地への配備が決定、日本側の役割は既に終わっている。最終的には韓国での「THAAD」の配備と日米韓軍事情報包括保護協定の締結でアメリカのミサイル防衛構想はほぼ完成される。

現在の米中緊張のなかにおいて、極東でのミサイル防衛システムの構築はアメリカにとっては喫緊の課題であり、これ以上は待てない状況だ。このミサイル防衛能力を持つことによって、アメリカは対中国、対北朝鮮にて圧倒的に軍事優位に立てる。私見だが、これ以上韓国が「THAAD」配備や日米韓軍事情報情包括保護協定の締結に非協力的な態度を続けるようであれば、アメリカは韓国を見放し、日米だけで「ミサイル防衛構想」を実現する可能性があるのではないかと推測する。極論を言うと、「THAAD」の配備は、韓国国内に拘らなくとも韓国に近い対馬でも実現可能だ。またアメリカが、韓国の中国への急接近と安全保障に直結する経済的依存度の増大に強い懸念と不信感を抱いていることは容易に想像できる。


4.米中間の緊張の高まり

最近の報道でも見られるように中国の国際法を無視した、一方的な南シナ海の領土宣言と岩礁の埋め立てを巡って急速に米中間の緊張が高まってきている。

ASEANは首脳国会議にて「南シナ海の岩礁埋め立てに対して強い懸念を示す」との共同声明を始めて発表した。また、日本の自衛隊とフィリピン海軍は、5月12日に南シナ海で共同訓練を実施している。更にインドネシアは5月20日、外国籍の違法漁船が横行しているインドネシアで拿捕された19隻の外国船籍の漁船を「見せしめ」のために海上で爆破した。その中に中国漁船が含まれていたことは注目される。

この米中間の緊張の高まりの背景には、「日米防衛協力の新ガイドラインの締結」、「アメリカ中間選挙での民主党の敗北」、「オバマ政権の中東政策の失敗」など様々な複合した理由があると考えられるが、そのなかでも対中強硬派の共和党のマケイン上院議員(前回の大王稜線は共和党の候補)からの強い圧力が掛かっていることは想像に難くない。

5月21日の記者会見でラッセル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、中国が南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島で建設している人工島の周辺で、米軍による「警戒・監視活動を今後も継続する」と強調し、中国を牽制した。

一方、国防総省のウォーレン報道部長は、人工島の「領海」を意味する12カイリ内には、現時点は米軍の偵察機と艦船を進入させないとしながらも、米軍機などの進入は「次の段階だ」と述べた。同氏は「今後の方針は決まっていない」と指摘し、当面は12カイリの外側での警戒・監視活動が継続するものとみられるが、同時に将来的には12カイリ内への侵入が起こり得ることも暗示し中国を強く牽制した。

このアメリカの動きに対して、中国政府系の環球時報は25日早々に、同国と周辺国が領有権で対立している南シナ海問題に関し、米国が中国に人工島建設の停止を要求することをやめなければ、米国との「戦争は避けられない」とする論説を掲載した。

このアメリカのおおきな方針転換とも思われる動きの切っけは、コロンビア当局が同国沖で兵器を積んだ香港船籍の貨物船を本年3月3日までに拿捕、武器密輸の容疑で船長を拘束したことにあると思われる。拿捕されたこの船には、火薬約100トン、発射体の部品99個と砲弾の薬きょう3000個など、申告されていない軍事物資が積載されていた。コロンビアの検察当局は、貨物船の積荷が船積書類と異なっていると発表。船はコロンビア北部のバランキジャを経由し、キューバのハバナへ向かう予定だったという。一方、中国外務省は3月4日、拿捕された貨物船について、この船の積荷はキューバへ向けた「通常の軍事補給」で、中国の法律および国際法に則って航行していたとして擁護している。


5.安保法制の必要性
以上のように東アジアの軍事的状況は大きく変化してきた。南シナ海における米中間の緊張は、日本にとって対岸の火事とは言っていられない。南シナ海のシーレーンの覇権、あるいは台湾海峡におけるシーレーンの覇権を中国に握られるようなことになれば、日本の死活問題になる。また中国の南シナ海での暴挙とでも言えるような振る舞いは、東シナ海の尖閣諸島での日中間の緊張状態とも直結している。最終的な中国の目標は、インド洋で真珠の首飾り作戦、南シナ海での九断線での制海権の獲得、東シナ海での第一列島線と第二列島線の突破にあるからだ。一日も早い、安保法制の成立が望まれる。

以上、






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最終更新日  2015年05月31日 17時22分54秒
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