ライツェ広場のジプシー
25度にもなった日曜日浮かれて街へふらふらと・・・久しぶりのノーカーデー町じゅうから車が締め出されている街はわんさの人出ノースリーブで太陽とそよ風に愛撫された肌がはじけてまぶしいみんなどういうわけか幸せそう何となく足が向いたのは代わり映えもなくライツェ広場アムス一の盛り場のちっちゃな広場いろんな人たちがカフェに坐りいろんな人たちが流れていくそして目に入ってくるその人たちの誰も知らない自分に気づく15分ほど呆然と立ちつくす誰も知らない人混みにいることに安堵することと今のように叫び出したいほど胸がつまってくることがある何か郷愁を誘う急テンポの音楽が聞こえてくる広場の片隅に吸い寄せられるホームレス界に片足つっこんでいるような風袋のおっつぁんたちが6,7人みすぼらしく並んですわっているそこから流れ出ているのは憂いを湛えたジプシーミュージッククラリネットの2人がすごいそしてアコーディオンの2人もじっと見つめていると胸が熱くなりからだの中で何かが融ける温かいものが中を流れはじめる焦燥で固まったまま切れていたエナジー回路がつながったようだよれよれのシャツの下から膨らんだ腹がチラと露出している彼のクラリネットからはその風袋に似合わぬ狂おしい情緒がほとばしる通りかかった者たちの足を停め一瞬の高鳴りを幸せをその胸に生んでくれる彼でいいんだ、と思う何人も何人もが小銭を投げに前にでていくこれを今日あと3回くらい繰返せば明後日くらいまでのオマンマは確保できることだろう楽器をあのように操れる彼に嫉妬を感じるポピュラーな甘いダンスミュージックで締めた彼らに親しそうに話しかけにいったおばさまに声をかける“ブルガリアからの人たちよ。ちゃんと音楽院を出た立派な人たちなのに、こうしてストリートで演らなきゃならない。かわいそうだね・・・。ところでチャイナから?”“ううん、日本から”“ええ、日本!? わたし・・・”と目を輝かせて何か言い出そうとしたところで、後ろから誰か初老のパートナーだった“じゃーね”とニコッとしておばさまは行ってしまった私も自転車で広場を去る焦燥は消え温かい気の流れるからだを感じながら運河沿いを中央駅に向かった(Sept. 23) 写真は以下:http://plaza.rakuten.co.jp/uwanosola2/diary/?