「今日の5の2」主題歌を買った。
アニメ「今日の5の2」の主題歌「ニセモノ」。ニセモノ その昔、「インチキじゃない」という曲があった。歌っているのはラッキィ池田。1990年、あからさまに怪しげな振り付け師として売り出し中だったラッキィ池田が、「でも見た目と違って中身はインチキじゃないんだよ」とアピールしている歌詞だった(が、カップリングが『インチキ』というタイトルで、ズッコケた記憶がある)。 アニメ「今日の5の2」の主題歌「ニセモノ」。曲中では「この気持ちはニセモノなんかじゃない」と歌っているのに、タイトルは「ニセモノ」。普通、曲のメッセージに反したタイトルにはしないものである。 …ふと思ったのだが、もし「ニセモノじゃない」と付けると、ひょっとして平成初期の奇曲「インチキじゃない」と間違えられるのではないかと危ぶんだスタッフが、あえて「ニセモノ」と付けたんじゃないか。でも、自分が最初に「ニセモノ」と聞いて最初に浮かんだタイトルが「インチキじゃない」だったことを考えると、それはないかと思った。 それはさておき(長い前置きだ)、小学校の高学年というのは、男子と女子とではっきりと区別がつき始める頃だ。 男子はバカで、女子は背伸び。 相変わらず遊び回ったり、ふざけあったりしている男子を、女子は「男子ってバカよね」と、冷ややかな目で見ている。その差が顕著になるのが小学5年。 アニメ「今日の5の2」主題歌「ニセモノ」で歌われている内容は、そういう日常での、ある男子と女子の「出会い」だ。グループ同士ではほとんど交わりのない男子と女子が、個人と個人で出会い、手を取り抜け出し、真夜中の遊園地に忍び込んで「背伸び」な「遊び」をする。ものすごく甘くて酸っぱい世界だ。 その主題歌が終り、アニメ「今日の5の2」本編が始まると、またその男子と女子は普段の「日常」に戻って、バカな学校生活を何話分か繰り返す。 そしてその日常が終わると、流れるエンディングテーマ。今放映中のエンディングはアニメのオリジナル曲だが、「ニセモノ」のカップリング曲はアニメ「1~4話」まで使われた「ZONE」のヒット曲「secret base ~君がくれたもの~」のカバーだ。そして、そこで描かれているのは「別れ」。二人だけの秘密の基地で遊んだ男子と女子が、10年後の8月もまた会えることを信じていたのに、夏休みが終わると、突然の転向でどうしようもなく別れることを余儀なくされた、二人の運命だ。 オープニングで出会いを描き、中のアニメで日常を描き、エンディングで別れを描く。原作の「今日の5の2」は、とある小学生のかわりばえしない日常を淡々と描いているだけなのに、アニメにするとこんなにも切ない「ストーリー」が生じてしまった。 10年後、この子供たちがまた会えればいいと願う。 同窓会、あるいは成人式、もしくは誰かの結婚式で久しぶりに「5の2」仲良しグループが勢揃いしたらどうなるだろう。カラオケで「ニセモノ」や「secret base ~君がくれたもの~」を歌い、当時を懐かしんでいるだけで、何だか一枚の絵のようだ。 しかし、男子は相変わらずバカなので、空気を読まず「インチキじゃない」で盛り上がったりするのだが。そして女子は「男子って、いつまでたってもバカよね」とあきれるのだが。