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LOYAL STRAIT FLASH ♪

LOYAL STRAIT FLASH ♪

第四話

2 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:38:50.77 ID:jC9iK4Vk0
第四話 「少年」


いつの間にか僕の目の前にはまた新しいドアがあった。
それは先程のドアの中で見た彼女の血よりも濃い赤色。
もう、迷うまい。と思い、あっさりと扉に手を掛ける。
また変な感情が湧いてきたが気にしない。
この表現は決して作者がめんどくさくなったわけじゃないぞ。うん。

そして、そのまま扉を閉めると、
目の前には、今度は思ったより平凡な光景が浮かんできた。

それは僕にも見覚えのある光景だった。

無機質さを剥き出しにした、金属で出来たパイプ、そして、金属の板、
その上に、それとは対照的である物質で出来た茶色い板が乗っている。
なんだか見覚えがある物体。
そして、それが、6列6行の規則的な形で並ぶ。
その隊列の一番前には、一番大きいそれが陣取っている。
さらにその奥の壁には深緑色の大きな板が貼り付けてあり、
その両脇には四角い縁に囲われたガラス板が並んでいた。

そうだ、ここは学校の教室。

3 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:39:20.28 ID:jC9iK4Vk0
僕は懐かしい思いに惹かれ、すっと、机の上を撫でてみる。
なんだか硬いようで柔らかい感触がした。
そしておもむろに椅子を引き、机との間に出来た隙間に腰を落ち着ける。

ここは、中学校だろうか、高校だろうか?
残念ながら、それを判別できるものは無かったが、
それでもノスタルジーを感じるには充分の場所だった。


「おい」


不意に僕は誰かに呼ばれる。
その声は冷たく、何か敵意のようなものを感じた。
そして、教卓のほうに視線を上げるとそこには一人の少年がいた。

4 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:40:00.98 ID:jC9iK4Vk0
('A`)「お前だよ。そこの口がニヤけてるお前」

服装は学ランで、上着の下には白シャツではなく、
派手なプリントのTシャツ。
そして、ズボンは本来の腰の位置よりも深くずり下がっていた。
さらにその上を見ると、
その髪は金色に輝き天を指すかのように尖っている。
その目は細かったが、全てのものを威嚇するかのように鋭い。
しかし、その表情は幼くも見えた。
彼は椅子ではなく、机の上に直接だらしなくあぐらを書いている。

5 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:40:37.61 ID:jC9iK4Vk0
(;^ω^)(DQNだお…)

そう思うと僕は額に冷や汗を感じる。こういうタイプの人間はどうも苦手だ。

(;^ω^)「…な、何か用ですかお?」

どうみても年下の彼に、僕は思わず敬語になってしまった。

('A`♯)「あ゛っ!?…喧嘩売ってんのかコラ!!シメるぞ!!」

こういうタイプは会話が成り立たないから嫌いだ。

('A`♯)「人のホームに勝手に足踏み入れやがってよぉ!!」

DQNに足りないもの。それはカルシウムである。と僕は思った。

('A`♯)「どう落とし前つけてくれるんじゃコラ!!」

(;^ω^)「…別に僕は何もしてないですお」

('A`♯)「ハァ!?ボコすかこのガキ!?」

ガキなのはお前である。

6 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:41:05.87 ID:jC9iK4Vk0
('A`)「…まぁいい。これからお前にやってもらう事がある」

そう言うと彼は教卓から降り、
黒板の一番下についている引き出しを強引に開ける。
そしてそこから一本の白い棒を取り出した。
次におもむろにその棒を黒板に叩きつける。
途中、棒が折れてしまったが、それでも彼は気にしない。
そしてその行為が終る頃にはこう書かれていた。

『粉し会い』

7 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:41:41.55 ID:jC9iK4Vk0
(;^ω^)「『こな…し…あい』?って何ですかお…?」

('A`♯)「『こなしあい』じゃねぇ~~~ッツ!!!」

しかし、次に彼の口から驚愕の言葉が出てきた。




('A`♯)「『殺し合い』だ!!『コ!ロ!シ!ア!イ!』」

(;^ω^)「なんだってー!!(AA略)」

と、叫びつつ、『合い』が『会い』であることを突っ込もうとしたが、
話がこじれるのでやめておいた。


8 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:42:19.51 ID:jC9iK4Vk0

('A`♯)「テメェ頭悪ィだろ!!」

頭が悪いのは(ry

('A`)「とゆうわけで、みんなには殺し合ってもらいます」

どこぞのヤクザ教師が吐いたような台詞をそっくり吐き出した。
しかも、『ゆう』ではなく『いう』で(ry

9 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:43:07.68 ID:jC9iK4Vk0
しかし、その言葉とは裏腹に、表情には寒気の走るものがあった。
目の前にあるものは全て殺す。
そんな意志があるようかのように、残酷な笑みをうすら浮かべる。

('A`)「というわけだ。お前、10秒以内にこの教室から出ろ。
   それがスタートだ」

彼がそう言うと、僕の表情は凍りついた。

('A`)「とっとと出ていかねえと、お前を



   殺す」

その手には鈍く、黒く、輝く銃が握られていた。

10 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:44:12.02 ID:jC9iK4Vk0
彼の目に本気を感じ取った僕は急いで教室を後にした。
本能が生命の危険を叫ぶ。決してこれは冗談の類ではない。
その証拠に、彼の口元こそ醜く歪んでいたが、目は笑っていなかったから。

(;^ω^)「おっ!?」

僕の目に映ったのは深緑色のワックスで怪しく輝く廊下。
そして、その上を歩く、彼と同じ服を着た生徒達だった。
しかし、僕はすぐに異変に気づく。
彼らの僕を見る目。それはまさに教室にいた少年と同じものだった。

11 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:44:38.67 ID:jC9iK4Vk0
「……殺せ」

不意に誰かが呟く。

「……殺せ……殺せ」

他の誰かがそれに合わせて呟く。

「……殺せ……殺せ……殺せ」

「殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!
 殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!
 殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!」

その声はまるで何かの生物みたいに生々しく、
言葉と言葉が絡み合い、無気味な音を生み出していく。

12 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:45:11.41 ID:jC9iK4Vk0
(;゜ω゜)「うわあああああああああああああああああっ!!!」

そこには、今までかつて感じた事のない恐怖があった。
そう、一言で言えば『壊れている』。
その言葉がもっとも今の状況に相応しい。

僕は本能的に、無造作に床に落ちていたモップを拾い上げる。
それを必死に振り回しながら、走っていく。

走る。飛ぶ。転ぶ。起き上がる。
ただ、夢中で体を動かしていた。

何度この行為を繰り返しただろうか?
気がつけば僕は校門の前まで出ていた。
そして、そのままアスファルトの上を駆け出す。
周りは閑静な住宅街であるようだった。


14 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:45:55.39 ID:jC9iK4Vk0
(;゜ω゜)「ハァ…ハァ…」

学校が見えなくなると僕は、その場にへたれこんだ。
そして、気が付くと、モップを持つ右手が軽くなっていることに気づく。
腕から先のほうへ視線を動かしてみると、そこにあるはずの、
ふわふわとした、柔らかい部分がごっそりとなくなっていた。
いや、モップの頭すらない。
握ったところの30センチ上の方では棒が鋭く、ささくれ立っていた。
その切っ先を見て、さらに僕は青くなる。

赤、赤、赤。

その折れてしまった部分は赤く染まっていた。

15 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:47:02.67 ID:jC9iK4Vk0
(;゜ω゜)「うあああああああああっ!!」

僕は急いで、それを投げ捨てる。

誰かを殴ってしまったのか、刺してしまったのか、
どうしてそうなったかは覚えていなかった。
だが、その事実はどうであれ、戦慄を感じずにはいられなかった。
そうだ、これでは彼らと同じだ。
このまま、殺し合いを続けていたら僕も狂ってしまう。
心の中に、彼らと同じ、どろどろとした、どす黒いものがあるなんて、
絶対に信じたくはない。
…そうだ。この世界から抜け出せばいいんだ。
いつもみたく、ドアを通って。

(;^ω^)「…絶対に…僕は…抜け出してやる」

無理矢理、そう結論づけたのを、僕は口に出し確認する。
いや、そうしなければ、自分を保ってはいられなかったのだ。

しかし、次の瞬間。

16 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:47:34.13 ID:jC9iK4Vk0
目の前に、大きな鉄の塊が猛スピードで向かってきた。
それは、正面から見ると、正方形に近い四角。
その真ん中には、ガラスでできた長方形の壁。
その壁の向こうには、血走った目をした男が何か叫んでいるように見えた。
そして、その口元は裂けるようにして歪んでいた。

(;゜ω゜)「おおおおおおおおおおっ!!!!!」

僕は反射的に慌てて頭から飛び込んだ。
その先には胸ほどの灰色のブロックでできた塀。
それを超えると、次に緑色の茂みが近づいてくる。

一方その鉄の塊―――トラックは、塀に吸い込まれるように進み、
そのままそれ自身と、灰色を削っていく。
二つの接触点からガリガリッ、と火花を散らす。
そして、100mほど進んだあと、そのまま電柱に衝突し、
僕の小さな耳には入りきらないほどの轟音を立て、黒いもやを吐き出した。

17 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:48:30.56 ID:jC9iK4Vk0
落ち着き始めていた僕の心臓は再び高鳴り始めた。
冗談じゃあない。ここでも襲われたってことは、
あの少年が言っていた『殺し合い』の範囲は、
某小説のように学校の生徒達だけではない。
この街の僕以外の人間全てが僕を敵意を剥き出しにしているのか?

気がつけば、衝突事故の音で駆けつけたのか、
そこには数人の人だかりが出来ていた。
僕は、それをしり目に、頭に葉っぱを乗せながら塀から抜け出す。
そして、トラックに皆の視線が集中している事を確かめ駆け出した。


18 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:49:10.91 ID:jC9iK4Vk0
(;゜ω゜)「ハァ…ハァ…」

この街の地理はよく分からなかったが、とりあえず、車の多く走る大通りや、
人が歩いているところに差し掛かったら引き返し、別のルートを探す。

そのようにして、道を走っていると前方に、
遠くからこちらへ向かってくる一つの影を確認した。
それは何かにまたがっているように見えた。
その足は左右交互で上下にバタバタと動いている。
その手はハンドルのようなものでしっかりと固定されている。
その頭を見てみると何やらもじゃもじゃしていた。
けたたましく、チリン、チリンと音を立てながら、
それが、猛スピードでこちらに向かってくる。


19 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:49:43.91 ID:jC9iK4Vk0
@# _、_@
( ,_ノ`)「キエエエエエエエエエエッ!!死ねぇぇぇぇ!!」

―――それは、史上最強の存在、オバタリアン。
その腕は、バーゲンで人の波を掻き分け、
その足は、大根のように太く、
その図々しさは、コーヒーおかわり無料の店で3時間居座るほどだ。

その、彼女が、猛然とママチャリを漕ぎ、こちらに突進してくる!!
しかし、その目は血走っていて、本気の殺意に満ちていた。

20 名前:VIP皇帝[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:50:28.92 ID:jC9iK4Vk0
オロオロと狼狽する僕は、右のほうに何かを見つけた。
そこは、半透明のゴミ袋や、紐に縛られた雑誌が散乱している。
その一角に落ちている棒状のもの。
持ち手と思われる部分は「し」の字状にカーブを描いている。
そして、大半はビニールのようなもので覆われていた。

(;^ω^)「…傘…これだお!!」

そう言うと僕はそれを持ち、構えた。
30メートル、20メートル、10メートル、と、
目の前の兵器は猛スピードで接近してくる。
しかし、まだだ。
ギリギリまで引き付けて!!
今だ!!

21 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:51:11.42 ID:jC9iK4Vk0
二人が衝突しようとした瞬間、僕は左に身を逸らした。
そして、そのまま傘を握る力を強める。
両腕を後ろに引き、頭に標準を定める。
そのまま、両肘を地面と平行にスライドさせて、
思いっきり振りかぶる。

@# _、_@
(♯ ,_ノ`)「ぐおぼっくぁwせdrftgふじこjp!!」

野球のスイングの要領で、
僕は彼女の顔に思いっきり傘を叩きつけた。
それと同時に彼女の体は宙を浮く。
自転車は、勢いで数メートル前に進むも、
運転者を失ったそれはバランスを崩し、倒れた。
そして、からから、とその後輪を回転させながら横たわっていた。

22 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:51:51.42 ID:jC9iK4Vk0
@# _、_@
(♯ ,_ノ`)「…ぐあっ…き、貴様…許…さん」

彼女は、うつ伏せで何かつぶやいているようだったが、
僕は急いで自転車の方へ駆け出していた。
そしてそれを急いで起こし、その上にまたがる。
どうやらどこも壊れていないようだ。

(;^ω^)「かっ…借りますお!!」

それだけ言うと、僕はペダルに体重を掛け、
その屍の横を通りすぎる。
いや、まだ生きているようだけど。

23 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:52:25.79 ID:jC9iK4Vk0
とりあえずその足で走っている限り、
周りの人間から逃げ切るには不利である。
しかし、自転車ならばその機動性は違う。
足で走ってくるものより速く、彼らを振り切ることができる。
車で追いかけられても、スピードこそ適わないが、
細い路地に入ってしまえば逃げ切れる。

こうして僕は人気の無い方を探して走っていった。
途中、同じ自転車やバイクに追いかけられるも、
先程オバタリアンを倒した伝説の武器を振り回し、
相手を横転させる事で逃げ切った。
たかだか時速30キロのスピードなら死ぬ事はないだろう。

24 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:53:00.42 ID:jC9iK4Vk0
僕は、走っているうちに、この街の地理の様子を把握してきた。
家は広い一軒家が多く、高い建物は少ない。
そして、遠くでは360度すべて山々が囲んでいる。
少なくともここは大きな街ではない。
どこかの盆地に出来た集落であると推測できる。
恐らく、あまり他の人間に遭遇しなかったのも、
人口がそこまで多くないからだろうと思った。

となれば、目指すは人のいない山間部。
ひとまずそこで身を隠さなければ。
そう思い、僕は悠々と立ち並ぶ山に向かって自転車を走らせていた。

25 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:53:38.81 ID:jC9iK4Vk0


そして、辺りは真っ暗になっていた。
辺りはただ虫の羽音と梟の鳴き声だけが響いていた。
僕は、今にも崩れそうな建物の中に身を潜めていた。
それは山に接するかのように大きくそびえ立つ建物。
その入り口は大きく開いている。
壁は高く、20メートル近くはあるだろうか?
そしてそのがらんどうとした空間の中には、
大きなクレーンやプレス機、ベルトコンベアなど、
無機質なものが点在している。

あの後僕は、住宅地を抜けていた。
そしてそこに広がっていたのは広大な田園地帯。
見渡すと、人の気配や、車などは殆ど見られなかった。
好都合とばかりに、そのまま田んぼのあぜ道をひた走る。
その途中、片手に鎌を持ち、目を血走らせた、
おじいちゃんが運転するトラクターに追いかけられたものの、
そんなにスピードが出てなかったのであっさりと振り切った。

26 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:54:14.40 ID:jC9iK4Vk0
そうこうしているうちに辺りは暗くなり、
この状況で山越えをするのは危険と判断した僕は、
偶然この工場らしき建物を見つけ、ここで休息を取る事に決めた。

埃を被った機材の様子から判断して、
ここはしばらく使われていないのだろうか。
ともかくここは隠れるところも多く、休むにはピッタリの場所である。

27 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:54:59.25 ID:jC9iK4Vk0
(;^ω^)「不気味だお…」

とはいえ、ここは電気も無い闇の中。周りを確認するには、
入り口と壁の上部に並ぶ大きな窓から注ぐ、月の光だけが頼りだった。
そして僕は手で、床の埃を払い、腰を落ち着ける。

(;^ω^)「『殺し合い』…かお」

僕は状況を振り返る。
そもそも今の状況は、あの少年が言った『殺し合い』というよりは、
一方的な『迫害』のようなものであると気づいた。
僕以外の人間は、僕に敵意を剥き出しにしているが、
他の人間同志が殺し合っている様子は無い。

28 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:55:40.65 ID:jC9iK4Vk0
(;^ω^)「僕がみんなを…殺さなきゃ…いけないのかお?」

とはいえ、あの少年の意図ははっきりしない。
『殺し合い』をするには明らかに不利な状況。
この集落にもどれくらい人口がいるのだろうか?
何千人?いや何万人もの人間とそれをやりあうには無茶がある。

(;^ω^)「あの少年を…」

ならば、と一つの嫌な考えが浮かぶが直ぐに否定する。
僕は『殺し合い』とやらを望んでいない。
逃げ切ることを前提に僕は動いている。
また、あの少年の居る学校に戻るのは危険だし、
そもそも、あの少年がこの世界を支配しているかすら怪しい。

29 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:56:15.28 ID:jC9iK4Vk0
ではどうすれば?
分からない?分からない。
ただ、逃げるしか出来ない。

突然、僕の頭の混乱をよそに、その音は聞こえた。

30 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:56:54.44 ID:jC9iK4Vk0
「ううっ…ぐすっ…いたいよぉ」

(;゜ω゜)「ひぃっ!!」

僕は危うく声を上げそうになったが、慌てて口を手で閉じる。
誰か居る。僕の直感はそう知らせた。
しかし、その声は何処か弱々しく、すすり泣いているかのように聞こえた。

(;^ω^)「見に…行ってみるお…」

ちょっぴり怖かったが、その声の細さは明らかに、
先程僕を襲ってきた者たちのそれとは違う。
その声は何か助けを求めているのではないだろうか?
そう感じずにはいられず、僕は音を立てないようにゆっくりと歩いていった。

31 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:58:00.66 ID:jC9iK4Vk0
(*;ー;)「いたい…いたいよぉ…ぐすっ…」

僕が声のする入り口の方向まで歩いていくと、そこには、
年齢は6歳位だろうか?小さな少女が横たわっていた。
左足の膝に手のひらを押さえるような仕草をしている。
そして、その指の間からは赤い液体が漏れ出していた。

(*;ー;)「…いたいよぉ…」

(;^ω^)「だっ、大丈夫かお!!」

僕は急いで彼女のほうに駆け出していく。
一瞬警戒したものの、彼女のその濡れた瞳には、敵意は感じられない。

32 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:58:41.77 ID:jC9iK4Vk0
(;^ω^)「み、見せてみるお!!」

彼女の真っ赤に染まった足を見ると、皮膚が大きく削れていた。
恐らく、転んで何か硬いものにぶつけてしまったのだろう。
命に関わるほどの怪我ではないが、
放っておいても血は止まらないであろう。

(;^ω^)「よいしょっと」

彼は上に羽織っていたシャツを脱ぎ、それを思いっきり引っ張る。
するとビリビリ」と音を立ててそれは二つに裂けていく。
こうして出来上がった細長い布を彼女の膝にぐるぐる巻きにする。

33 名前:猪(音速)[] 投稿日:2006/12/22(金) 19:59:39.01 ID:jC9iK4Vk0


(;^ω^)「…これで…よし…だお。とりあえず…だけど」

その様子に安心したのか、その少女は大声で泣くのは止めていたが、
まだその瞳は湿っている。

(*;ー;)「………」

(;^ω^)「大丈夫…だお。おにいちゃんが付いていてあげるからフヒヒ」

笑ってますが決して性的な意味ではありません。

34 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:00:16.47 ID:jC9iK4Vk0
(;^ω^)「…おとうさんとおかあさんはどうしたお?」

(*;ー;)「……あのね」

彼女は、ぽつり、と答える。

(*;ー;)「まわりの…おじちゃんやおばちゃんが…いきなり、
      おとうさんとおかあさんをつれていっちゃって…ぐすっ」

(*;ー;)「わたしのこともつかまえようとしてたから…こわくて…はしって…」

(*;ー;)「そしたら、まいごになっちゃって…ぐすっ」

(;^ω^)「…そうかお」

35 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:00:53.14 ID:jC9iK4Vk0
はっきりとは理解できなかったが、その単語単語から予想するに、
彼女の父親と母親は、あの狂った集団に捕まってしまい、
彼女が命からがら走って逃げて、ここに迷い込んでしまった。
という感じであろう。

僕は、少し安堵した。
僕以外に狂っていない人間の存在が確認できたからだ。
彼女も何らかのキッカケでこの世界に迷い込んだのであろうか?
とはいえ、周りは敵だらけ。彼女を守らなければ。

そう思い、彼女を見つめると、その表情は落ち着きを取り戻していた。
そして、その瞳は、僕が最初に出会った、幼い男の子を思い出させる。

36 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:01:18.16 ID:jC9iK4Vk0
( ^ω^)「きみ、お名前は?」

(*゚ー゚)「…しぃ」

( ^ω^)「しぃちゃんか。かわいい名前だお。
      僕はブーンっていうんだお」

(*゚ー゚)「ブーン…おじちゃん?」

(;^ω^)「…いや、まだ、おじちゃんって呼ばれる年齢では…
      ブーンおにいちゃんって呼んでお」

(*゚ー゚)「わかった。ブーンおじちゃん」

(;^ω^)「…いや、わかってないお…」

しかし、そのやり取りは不意に遮られる。

37 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:01:50.06 ID:jC9iK4Vk0
「いたぞ~~~!!!」

その声は入り口の方から聞こえた。
すると、その奥から無数の光の点が浮かんできた。
いきなり顔を照らされ、
眩しさのあまり、そこに誰がいるか確認できなかったが、
目を凝らして見てみると、そこは無数の人影。
数百…いやそれ以上か?
その中の一人一人は、年齢、性別はばらばらだが、
共通していることがあった。
左手には懐中電灯を持ち、
右手には、木の棒やナイフ、鎌、包丁、鉄パイプなど、
各々に凶器を持っていた。

そして、再び聞き覚えのある音を耳にする。

38 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:02:26.70 ID:jC9iK4Vk0

「殺せ…殺せ…」

「殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…」

「殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…殺せ…」

「殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!
 殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!
 殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!」

一つの呟きがもう一つの呟きを呼び、
それは、一つの不気味な音へと変わっていく。
次第にそれは、次第に叫び声に変わる。
そして、それは統率を取り始め、次第にコールのように変わっていく。

39 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:03:06.57 ID:jC9iK4Vk0
(;^ω^)「…な!何で!何で!僕が、この子が狙われなくちゃいけないんだお!」

そのコールを切り裂くかのように僕は叫んだ。
しかし、彼らは誰も答えない。
だが、そのコールは質問に答えるかの如く、言葉を変えていく。

「社会の屑!社会の屑!
 社会の屑!社会の屑!
 社会の屑!社会の屑!
 社会の屑!社会の屑!」

(;^ω^)「…理不尽だお!!
      僕が何でそんなことを言われなきゃいけないんだお!!」

その音はまた変わっていく。

「お前は必要ない!お前は必要ない!
 お前は必要ない!お前は必要ない!
 お前は必要ない!お前は必要ない!
 お前は必要ない!お前は必要ない!」

43 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:04:10.34 ID:jC9iK4Vk0
(;゜ω゜)「うるさいっ!」

これ以上言っても無駄だと思った。
僕は急いで少女を背負い、
床に転がっていたバールのようなものを拾い上げる。
そして、周りを確認した。
どうやらこの工場の入り口は手前の大きいものが1つだけで、
そこは狂った群集に埋め尽くされている。
どう考えてもそっちには行けない。

ふと後ろを振り返ると階段が上に伸びていた。
そして反射的に走り出す。
それに続くかのように狂った群集は後に続く。
前列の者が転んでも後列の者たちは構わずその上を進んでいく。
「殺せ」のコールの中に悲痛な叫び声が混ざる。
まさにここは地獄絵図だった。

44 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:04:50.06 ID:jC9iK4Vk0
僕は時折振り返り、バールのようなものを振り回し、威嚇。
そして前を向き走る。それを必死に繰り返す。
階段の下にたどり着くと、急いで駆け上がる。
追従者達は、我先に、と階段になだれ込む。
一番前のものが転んでも、その上を踏みつけ前へ進む。
それは次第に、人が人の上をよじ登っているように見えてくる。
まるで地獄の亡者が、
天から降りてきた一本の糸に群がるかのように醜かった。


45 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:05:53.34 ID:jC9iK4Vk0

そして僕は階段の終わりにたどり着くとそこにはドアがあった。
鉄で出来ていてさび付いた茶色いドア。
そして、急いでそれを開く。
開けたら閉める、僕はそれをいつも以上に素早く行った。
そして、ドアノブの上の鍵を回す。

目の前は、埃の被ったスチール製の机や椅子が散乱していた。
後ろの方では鈍い衝撃が響く。
僕は背中の少女を床に下ろした。
そして、すぐさま転がっていた机を引っ張り、入り口のほうへ向かう。
机でドアの前を塞ぎ、また新たに机を引っ張る。
それを繰り返すと目の前には強固なバリケードが出来上がっていた。

46 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:06:43.16 ID:jC9iK4Vk0
あらかた、作業が終り、冷静になってみると、
入り口の反対方向の壁全体に窓が付いていることに気づく。
僕はそこから外の様子を伺う。
そこには絶望的な状況があった。

見渡す限りの人の波。波。波。
それは、一斉に、この工場に向かっている。
これでは窓から脱出しようとしても、直ぐに捕まってしまう。
僕は、体の力が抜けたかのようにその場に腰を落としてしまった。

47 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:07:14.00 ID:jC9iK4Vk0
ふと顔を上げると、そこには心配そうに僕を見つめる少女の姿があった。
しかし、僕の様子を見て、彼女も不安そうだ。

(;^ω^)「だ、大丈夫だお!!なんとかなるお!!」

そうだ、自分がしっかりしないでどうする。
誰が、あの狂った群集から彼女を助けるんだ!!
僕だ!!僕にしか出来ない!!

そう思い直すと僕は、すっく、と立ち上がる。
そして僕は彼女の頭を優しく撫でた。
すると彼女は僕の右足に抱きついてきた。
そうだ、彼女はまだ幼いんだ。怖かったのであろう。無理もない。

48 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:07:53.60 ID:jC9iK4Vk0

(*゚ー゚)「おじちゃん…」

彼女はこう口を開く。

(;^ω^)「こわかったおね。でもおにいちゃんがついてるお」

僕は慰めるようにそれに答える。

(*゚ー゚)「ううん…だいじょうぶだよ」

彼女は横に首を振る。

(*゚ー゚)「おじちゃんは、わたしを…たすけてくれた」

その口調は穏やかだった。

49 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:08:25.59 ID:jC9iK4Vk0
(*゚ー゚)「だから、こんどは…わたしのばん…」

(;^ω^)「へ…?」

僕は何か聞き返そうとするが、構わず彼女は続ける。

(* ー )「こんどは…わたしが…たすけて…あげる…」

(;^ω^)「ッ!?」

50 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:09:15.42 ID:jC9iK4Vk0
その言葉を聞き終えた瞬間だった。
妙な違和感を右足に感じた。
僕は、視線を下にやる。
すると、そこには、


太腿に深々と突き刺さるナイフがあった。
そして、その先からは赤い液体が流れ落ちている。

(* ー )「…このくるしみから」

51 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:10:12.28 ID:jC9iK4Vk0
(;゜ω゜)「うあああああああああああああああああああああ
      ああああああああああああああああああああああ
      あああああああああああああああ!!!!!!!」

太腿に走る激痛。それは直接喉を刺激し、叫びをこぼれさせる。
ぼくは、余りの痛さに立っていられずに、その場にしりもちをついた。
そして、太腿を押さえ悶える。

(* ー )「ふふふ……」

そして、彼女の方を見ると、その表情は見覚えのあるものだった。
口元は醜く歪み、瞳は大きく見開き、血走っていた。
そう、あの狂った群集のように。
先程までの瞳の輝きはそこにはもうなかった。

52 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:10:58.54 ID:jC9iK4Vk0
(* ー )「じっとしていてね…たすけてあげるから…」

そういうと彼女はスカートのポケットからもう一つナイフを取り出す。
僕は、その様子に戦慄を覚える。

(;゜ω゜)「くるなあああああああああ!!!」

僕は、へたれこんだ姿勢のまま、そのまま後ずさった。
彼女は、ゆっくりとそれを追いかけてくる。
何メートルか動いたあと、僕の腕は何かにぶつかる。
振り返ってみると、それは壁だった。
いつの間にか僕は壁に背を向けていた。

53 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:11:47.40 ID:jC9iK4Vk0

(* ー )「…じっとしてて…っていったでしょ?」

再び前を見ると、至近距離に彼女は立っていた。
その微笑みはなお一層歪んでいるように見える。

(* ー )「…やっと、じっとしてくれたね…それじゃあ、たすけてあげる」

そして彼女はその手に持つ刃を振りかぶる。

殺される!避け…否!!…死!!
僕の頭の中でそんな言葉が一瞬で浮かんだような気がした。
そして手は無意識に地面をさする。
こつり、と硬い感触がした。
その瞬間刃は猛スピードで僕のほうへ向かう。


54 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:12:37.84 ID:jC9iK4Vk0


(* ー )「………」

(;゜ω゜)「………」



(;゜ω゜)「ハァ…ハァ…」

次の瞬間。彼女は横たわっていた。
そのまま一言も発しようとはしない。
そして次に、僕は右手を見てみる。
その先に握られたのは、先程机を動かす時に床に置いた、
バールのようなものであった。


55 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:13:07.98 ID:jC9iK4Vk0
(;゜ω゜)「うわああああっ!!」

僕はそれを急いで放り投げた。

(;゜ω゜)「…ああっ!!…ぼっ…僕が…こ、ころし…」

言葉にならない声で僕は狼狽していた。
何がなんだかもはやわからない。
僕はただ、ただ、震えるだけだった。

「よう」

不意に聞こえた、声に僕は顔を上げる。

56 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:13:57.21 ID:jC9iK4Vk0
('A`)「どうだった、このゲームは?」

そこには教室にいたあの少年だった。

('A`)「楽しんでくれたか?」

楽しんだ?冗談じゃない。
こんな狂った世界に放り出されて、
皆に追い掛け回されて、
そして…ついには…あの子に手をかけて…

('A`)「どうだい?気分は?」

(♯゜ω゜)「…最悪だお…」


57 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:14:28.33 ID:jC9iK4Vk0
僕は、無意識のうちにそう答えていた。
そして、ふつふつと、どす黒い感情が湧き上がってくる。

(♯^ω^)「何で…こんな目にあわなきゃいけなかったんだお!!
       お前のせいで…お前のせいでっ!!」

気づけば、僕はそう叫んでいた。

('A`)「………」

目の前の男はしばらく無言だったが、やがてこう口に出した。


58 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:15:14.23 ID:jC9iK4Vk0
('A`)「…どうだった?」

(♯^ω^)「…はぁ!?」

('A`♯)「どうだったって聞いてんだよ!!」

('A`♯)「自分の全てを否定され、周りに虐げられる気分はよぉ!!」

('A`♯)「そして、信頼してたヤツに裏切られた気分はよぉ!!」

(♯^ω^)「………」

突然の彼の激昂に僕は返す言葉は無かった。

59 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:16:12.66 ID:jC9iK4Vk0

('A`♯)「俺の世界では、それが当たり前なんだよ!!」

('A`♯)「誰も俺に手を差し伸べる事もせず、
     誰も俺のこと理解しようとしない!!」

('A`♯)「そして、世界全ての俺以外の人間は全て敵だ!!」

('∀`)「…ふっ」

そして、彼は、笑みを浮かべる。
それは、今まで僕が見たどの表情よりも醜悪で下劣な表情だった。

60 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:16:49.72 ID:jC9iK4Vk0
('∀`)「だからよぉ、俺は決めたんだ」

('∀`)「この世界に復讐してやろうってなぁ!!」

('∀`)「…そうして俺は、復讐を実行した」

('∀`)「しかし、それは大人の馬鹿野郎どもに止められた」

('∀`)「…まあ、だが、一番ムカつく野郎には復讐できたから、良しとするか」

( ^ω^)「………」

僕は、彼の気持ちが分かるような気がした。
なぜなら、今まさにそれを味わっていたから。

61 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:17:21.69 ID:jC9iK4Vk0
('A`)「どうせ、テメェも俺のことが気にくわねぇんだろ?」

( ^ω^)「………」

('A`)「安心しな。どうせ、もうすぐ、俺は消える」

('A`)「一発くらい、テメェのツラ張っておきたかったがよぉ…」

( ^ω^)「………」

('A`)「…あぁ…もう…疲れた…」

62 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:17:54.68 ID:jC9iK4Vk0
彼がそう言うや否や、再び、僕にあの感覚が襲い掛かる。

ぴきっ、と窓ガラスにヒビが入る。
いや、ガラスだけではない。
壁も、天井も全て欠けはじめていた。

ふと、思い出したかのように、あの幼い少女を見てみると、
その姿はいつの間にか消えていた。
この場にいるのは、僕と少年だけ。
しかし少年の姿も次第に薄れていく。

そして、そのまま空間は渦を巻き、全ての破片を巻き込んでしまった。
最後に少年の呟きが聞こえる。

63 名前:猪(進化系)[] 投稿日:2006/12/22(金) 20:18:31.95 ID:jC9iK4Vk0



「もっと気楽に生きれば良かったぜ」



その声を最後に渦は消えてしまった。
そして残ったのは、一片の輝き。それが僕の中に飛び込んでくる。

気がつけば、また最初の白い部屋の中だった。



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