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LOYAL STRAIT FLASH ♪

LOYAL STRAIT FLASH ♪

第十二章

211 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:11:00.69 ID:PXIweYU+0
 

  第12章 情熱の薔薇


また内藤とクーさんが見つめあってる。
それを見るたびに私はイライラする。
私の後ろにはお姉ちゃんとドクオが座っている。
振り返ればきっと私たちを見てニヤニヤ笑っているんだろう。
それを想像したらまたあたしはイライラしてきた。

( °ω°)『ローリングストーンズッ!!』

あたしは無意識のうちに内藤の足に渾身の拳骨を叩きつける。

川 ゚ -゚) 『いきなり殴ったら痛いだろう 常識で考えて』

( ;^ω^) 『そ、そうだお。僕は何にも悪い事…』

ξ゚△゚)ξ『うるさいわねっ!!』

あたしは内藤の目の前に空になったグラスを突きつけた。

ξ゚△゚)ξ『レディのグラスが空になってるのよ!!
     それに気づかずデレデレしてるなんて武士として…いえ、男として最悪だわ!!』

言いがかりだ。
自分でも分かってる。でも内藤は笑顔を崩そうとしない。


215 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:14:14.43 ID:PXIweYU+0
( ;^ω^)『困ったお嬢さんだお…クーさん、ツンに同じ物をもう一杯…』

ξ#゚△゚)ξ『いまさら遅いわよ!! あたし帰る!!』

あたしはそう言って席を立ち歩き始める。

( ;^ω^)『あ、ツン待つお…みなさんお先に失礼しますお』

内藤が自分のグラスを一息に飲み干し追いかけてきた。
あたしの視界に『やれやれ』とでも言いたげに肩をすくめるクーさんの姿が飛び込んできて、
あたしはまたまたイライラを増幅させる。

ξ#゚△゚)ξ『なんであんたを待たなきゃいけないのよ!!この豚!!』

あたしはそう叫んで店を出た。

千鳥足の酔っ払いをかわしながらあたしは夜の商店街を早足で歩く。
こんな時間でもこの道はネオンで明るい。
それにしても…フラフラ歩くな!!
ちゃんと胸を張ってまっすぐ歩け!!
男でしょ!!
あたしは心の中で毒づいた。

( ^ω^)『ちょwwwツンwwwやっと追いついたおwww』

自転車にまたがった内藤があたしに並びかけてきた。
ほんの短距離しか走っていない筈なのに肩を上下させて…だらしないわね!!

ξ#゚△゚)ξ『なによ!! あんたはクーさんと楽しく飲んでればいいじゃない!!』

221 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:17:07.94 ID:PXIweYU+0
( ^ω^)『そ、そんなwww今日は一緒に帰るって約束してたじゃないかお』

こんな時でも内藤は笑顔を絶やさない。
よく無邪気に笑った男の表情が好きとか言ってる女の子がいるけど、あたしはそうは思わない。
男は真剣な表情が一番だと思ってる。
そんなあたしでも内藤の笑顔は嫌いじゃない。
見ていて心が暖かくなるって言うか…そんな感じにさせてくれる。
でも、内藤がその笑顔をあたしじゃない誰かに向けている時は好きじゃない。

ξ゚△゚)ξ『内藤。あたしたちは友達よね?』

( ^ω^)『は? 急にどうしたんだお? もちろんツンは僕にとって大事な友達だお』

ξ゚△゚)ξ『じゃあ正直に答えなさい。クーさんはあんたにとって何なの?』

どうしたんだろう。
あたしの口から出た言葉にあたし自身が驚いていた。
こんな事聞いてあたしは何がしたいんだろう。
内藤もいきなりの質問に戸惑っているようで、

( ^ω^)『な、なにをいきなり…クーさんはよき相談相手というかお姉さまと言うか…』

死にかけた金魚みたいに口をパクパクさせている。

ξ-△-)ξ=3 ハァ。ため息。どうせこんな事しか言えない奴だとは思ってたけど。

ξ゚△゚)ξ『0点』

あたしはそれだけ言うと、それからは内藤が何を話しかけても返事をしなかった。


225 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:19:11.35 ID:PXIweYU+0
翌日。いつものコンビニの前に内藤がいた。

( ^ω^)『ツン、おはようだおwww』

ξ゚△゚)ξ『おはよう。今日は随分早いじゃない。でも、そんなトコでキョロキョロしてると不審者みたいよ』

( ^ω^)『おっwwwおっwww不審者は言いすぎwwwツンを待ってたんだお』

ξ゚△゚)ξ『ハイハイ。で、用件は何かしら?』

( ^ω^)『仕事前にツンにちゃんと謝りたかったんだお』

ξ゚△゚)ξ『謝る? 何を?』

( ^ω^)『昨日の事だお。僕なりになんでツンがあんなに不機嫌だったのか…考えてみたんだお』

内藤が真剣な表情であたしの目を覗き込んでくる。
普段ヘラヘラしている男が急に見せる真剣な眼差し。あたしはコレに本当に弱い。
内藤…何を言うつもりなんだろう…鼓動が早くなる。足が震える。

( ^ω^)『また…あの日だったんだお?』

ξ゚△゚)ξ『……』

ξ#゚△゚)ξ『  死  ね  』

あたしは内藤の顔面にハンドバッグを叩きつけた。


228 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:21:11.55 ID:PXIweYU+0
ランチタイム。
ホールも厨房もフルボリュームの有線放送が聞こえなくなるほどの喧騒に包まれる。
暇な時間は寒いくらいに感じる冷房もこの時間だけは別。
鼻の頭に汗をかくほど暑く感じるのは、あたし達が走り回っているからか?
それとも満席の店内特有の熱気のせいか?
また蝉の鳴き声とムワッとする外気を伴ってお客様が自動ドアをくぐってきた。
あたしは作り笑顔を浮かべてそれに対応する。

ξ^ー^)ξ『申し訳ございません。只今満席でして…』

『席があくまで待つよ』と言うお客様の名前と人数をメモ用紙に殴り書いていると
厨房からコールがかかる。

(*゚∀゚)『3番テーブル!! 料理運んどくれっ!! 冷めちまうよっ!!』

ディッシュアップカウンター(完成した料理を並べるカウンターの事)に駆けつけ
提供を待つ料理を両手に持ちながら厨房を覗き込む。
そこにあるのは何時もどおりの騒然とした光景。

(*゚∀゚)『ブーちゃん!! 5番遅れてるよ!!』

( ;^ω^)『あと10秒!! ドクオ!!6番いけるかお!!』

('A`)『おう!! いつでも来い!!』


229 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:25:47.49 ID:PXIweYU+0
お客様を席にご案内し。
注文を取り。
テーブルに料理を運んで。
レジで会計を済ませ、テーブルを片付ける。

ランチタイムはひたすらにコレの繰り返し。
あたしは手が空くたびに厨房を覗き込む。
料理が出そうなタイミングを計るのも迅速に行動する条件だからだ。

( ^ω^)『7番30秒!! 続いて1番1分でいくお!!』

内藤が両手で麺の湯切りをしながら叫ぶ。

('A`)『1分!? 45秒で来い!! ツー!! 1番スペシャルのセットライス3丁!!それと2番のキムチ炒飯のご飯2丁だ!!』

ドクオが鍋を振りながら叫ぶ。

(*゚∀゚)『今やってるよっ!! ブーちゃん!! 4番のつけ麺は準備できてるかい!?』

お姉ちゃんが狭い通路を走りながら叫ぶ。
互いが互いに声をかけ、お姉ちゃんがそれを組み立てる。
どんなに走り回っても作業に集中してもぶつかったりする事はない。この人たち、背中に目でもついてるのかしら。

内藤は左手に持ったレンゲでスープの味を見ながら、右手で麺にトッピングをしている。
その目は常に厨房中を見渡し観察し、足元はすでに次の行動に移っている。
この時ばかりは内藤も侍の目になってて悪くない。

(´・ω・`)『内藤君はこの一年で随分頼もしくなってくれたよ』

ショボンさんも嬉しそうに言ってたっけ。

230 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:27:42.03 ID:PXIweYU+0
 ランチタイムが終わり、テーブルを拭くダスターを漂白するのに厨房に入ると、
内藤達は輪になって雑談の真っ最中だった。

( ゚∀゚)『昨日超巨乳の女の子が働いてるファミレス見つけてよ』

(*( ,,゚Д゚)『夕べ通販で買った手錠見つかって捨てられちまってな…』

(*゚∀゚)『手錠!? たまにはそんなのも興奮するかもね!!』

('A`)『いや、それより明日のランチなんだが…』

( ^ω^)『僕なんか昨日3人とやりまくりだおwwwエロゲでwww』

…なんかこの会話つい最近も聞いたわね。
微妙にかみ合ってないトコも同じだわ。
もしかしてお互いに人の話聞いてないんじゃないかしら。
つか、お姉ちゃんまで何やってんのよ…。

(*゚∀゚)『固い事言わないの!! みんな戦友だからね!! こんなので恥ずかしがってたら厨房じゃ働けないよ!!』

あぁ、そうですか。

( ゚∀゚)『あ、ツン』

ξ゚△゚)ξ『何?』

( ゚∀゚)o彡°『大きくなりますように♪』

ξ#゚△゚)ξ『死ねばいいのに』


233 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:30:26.01 ID:PXIweYU+0
何でか知らないけど、料理人達って下ネタが好きだ。
特にそれが派手な武勇伝であるほど歓迎される傾向にあるように見える。
ジョルジュさんなんかは料理が出来なかったら
エッチなビデオの男優さん以外就職先がないんじゃないだろうか?

ξ////)ξ『言っておくけど見た事ないんだからねっ!!』

( ;^ω^)『急にどうしたんだお?』


もう1つ。
料理人達が好きな会話のカテゴリーがある。
それは包丁の話。
みんな自分の包丁こそ最高の1本と思ってるから、その主張を決して譲ろうとはしないの。
子供みたいね。

今日も内藤が

( ^ω^)『そろそろ自分の包丁を買おうと思ってるお』

と言ったのをきっかけに仕事そっちのけの議論が始まり、
それは今この場所。仕事後のバースペースまで持ち込まれた。
疲れているハズなのにバーカウンターに内藤を囲んで喧々囂々。
自分の包丁を取り出しては内藤にその素晴らしさを説明…というよりあれは自慢話ね。

あたしとしぃはテーブルスペースでそれを見ているだけ。
だって、包丁1本にそんなにこだわる神経が分からないもん!!



235 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:34:30.14 ID:PXIweYU+0
( ,,゚Д゚)『いいか、内藤。悪い事は言わん。包丁は和包丁に限るんだ』

自慢の包丁を取り出したのはギコさん。
まるで日本刀のような形状をしている。

( ,,゚Д゚)『これは柳葉包丁といってな。見ろ。柳の葉のようだろ?』

そう言いながらメモにペンを走らせる。

 _______
∠_______ 和包丁

 _______
<_______ 洋包丁・中華包丁

( ,,゚Д゚)『和包丁の最大の特徴はこの研ぎ方にある。
     洋包丁や中華包丁は両刃だが、和包丁だけは図の通り片刃。つまり日本刀と同じなんだ
     重さや力に任せて叩き切る事を念頭においた西洋や中華の文化と違い、
     日本ではただ切る事だけを考えて刃物を作りあげてきた。
     常に鋭角を保つ和包丁こそ【切る】事に関しては最高の1本。
     この柳葉包丁と野菜を切る専用の菜切り包丁、硬い物を切る出刃包丁。
     これを揃えるのが料理人の嗜みってもんだ』

(*゚ー゚)『…凄いねギコ君☆』

ξ゚△゚)ξ『自慢の【菊一文字】でしょ…もう何百回も自慢されたから聞き慣れちゃったわ
      ミニにタコ…じゃなくて耳にタコよ』

あたしはつまらなそうに…実際つまらなかったけど…ストローを啜った。


236 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:37:04.35 ID:PXIweYU+0
 ('A`)『ちょっと待った』

止まりそうにない勢いのギコさんに口を挟んだのはドクオだ。

('A`)『内藤は中華の料理人になるんだろ? だったら中華包丁が最適じゃね?』

取り出したのは柄の部分まで銀色に輝くドクオの愛刀。

('A`)『こいつは【藤次郎】ってんだ』

( ;^ω^)『覚えてるお。それにはちょっと微妙な思い出がwww』

それはあの内藤が落として刃こぼれさせてしまった包丁。
ドクオの執念が実って今でも無事現役で頑張っている。

( ;^ω^)『中華包丁って重くて使いづらいイメージがどうしても抜けないお』

(*゚∀゚)『ブーちゃん、それは君の使い方が悪いのさっ!!』

そう言ってお姉ちゃんはドクオと同じく全体がステンレス製の中華包丁を取り出す。

(*゚∀゚)『中華包丁はね。それ自体の重さを使って切るんだよ!!
     あたしはドッ君と比べて一回り小さいサイズのだけど、
     余計な力を使わないから慣れちゃえばこんなに使いやすい包丁はないよ!!
     おまけに全身ステンレスだから錆びないし、落としたりしない限り刃こぼれもしない!!
     しかもこれ1本で切る・潰す・すり身にする…全部出来ちゃうんだ!!
     中国四千年が産んだ最高の一品だよ!!飲む・打つ・買うの三拍子揃った男みたいで最高だろ!?』

お姉ちゃん…それ日本語の使い方間違ってるわ。
ゆとり精神全開みたいで恥ずかしいから止めて。

237 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:39:14.44 ID:PXIweYU+0
(´・ω・`)『ツーの意見は8割がた賛成だけど、2つばかり訂正したいね』

次に口を挟んできたのはショボンさん。
手には黒光りする中華包丁を持っている。
それにしてもこの人が黒光りする物を手にしてるとなんとなく卑猥なのは何でかしら。

(´・ω・`)『こいつが僕の包丁【杉本】だ。
      中華包丁は【杉本】に限る。
      何故かと言うと日本国内の中華包丁のシェアの大半を占めているメーカーだからだ。
      それほど中華に料理人に信頼されているブランドなんだよ』

どこで調べてきたのよ、そんなの。
目の前ではしぃが目を輝かせてみんなの会話に聞き入っている。
若いって羨ましいわ。

(´・ω・`)『それともう1つ。
      やっぱり料理人なら包丁は鋼にするべきだ。
      確かにすぐ刃こぼれはするし、錆びやすいし、毎日の手入れが欠かせない面倒な代物だ。
      その代わり研ぎやすいし、なによりも切れ味が素晴らしい。こればっかりはステンレスでは到底真似出来ない。
      包丁=切る道具である限り、切れ味にこだわるべきだよ』

それを聞いたギコさんが満足げに頷いている。

( ,,゚Д゚)『分かったか? 男は黙って鋼にするべきだ。
     一度鋼に慣れちまうとステンレスなんて使ってられねぇぞゴルァ』



240 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:43:47.06 ID:PXIweYU+0
その言葉に大笑いで返したのは変態…もといジョルジュさんだ。

( ゚∀゚)『バカだな、お前ら。
     いいか、内藤。人間手に馴染んだ物が一番なんだ。
     和包丁や中華包丁なんて普段つかわねぇだろ!?
     だったら洋包丁にしろって。
     牛刀だったら肉・魚・野菜なんでも切れるぜ。
     あと、時代はステンレスなんだよ!! 切れ味で劣る!?
     バカ言っちゃいけねぇぜwww
     総合的にステンレスのほうが使い勝手がいいからこれだけ広まってるんだからよ』

そう言いながら小型のアタッシュケースを開ける。
中身は何種類ものナイフが壁面に縛り付けられたいた。

( ゚∀゚)『牛刀は当然として…小刀も揃えておくと便利だぜ。
     俺のお薦めは【ドライザック】だ。
     ぺティナイフは勿論、ペアリングナイフとフルーティングナイフは細かい作業に重宝するぜ。
     あとは彫刻刀があれば完璧よ』






244 名前:さるでした ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:56:03.40 ID:PXIweYU+0
自分の意見を全く無視して騒ぐ外野に内藤は本気で困っているようだった。
あちらを立てればこちらが立たず…って感じかしらね。
自分の事なんだから好きにすればいいのに…ってそれが出来ないから内藤なのかも知れない。
あたしは席を立って内藤の隣に移動する。

ξ゚△゚)ξ『で、少しは参考になったのかしら?』

( ^ω^)『全然だおwww頭が爆発してアフロになりそうだおwww
       ツンの意見も聞きたいお』

そうねぇ…。
あたしはあごに指をかけ2~3秒考える。

ξ゚△゚)ξ『まぁ、どんな包丁を買うかはあんたの好みなんだろうけどさ。
      材質はステンレスね。物臭なあんたにはお似合いじゃないの?』

あたしがそう答えると、

川 ゚ -゚)『ふむ。ツンはその意見か。私なら内藤には鋼が向いていると思うがな』

今まで沈黙を守ってきたクーさんが口を開いた。





246 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 01:59:37.15 ID:PXIweYU+0
内藤そっちのけで議論を続けるみんなをよそにクーさんは言葉を続ける。
なんでジョルジュさんは上半身裸なんだろう。
ワケがわからない。

川 ゚ -゚)『私は職業柄フルーツナイフしか使わん。
     だが、鋼の包丁が扱いづらい代物だと言うのは皆の話を聞いてよく分かった』

( ^ω^)『だったら尚更…』

川 ゚ -゚)『まぁ、聞きたまえ。
     鋼の包丁と言うのは毎日手入れして、それでやっと最高の切れ味を見せるのだろう?
     それは言い換えれば、最高の仕事をする瞬間の為に日々自身を磨き上げると言う事。
     その姿が今の君にそっくりだと思うのだ。
     それを意識して内藤が自身の包丁を手にすれば、今以上に仕事に張り合いを持てるのではないか?』

( *^ω^)『クーさん…なんか今の言葉ジーンと来ましたお』

またもや2人の世界に入り込む内藤とクーさん。
あたしはすっかり蚊帳の外。
なによ!! あんたからあたしに意見求めてきたくせに、面白くないわね!!

ξ#゚△゚)ξ『話は終わったみたいね。じゃ、あたし帰るわ』

あたしはカウンターを離れようとする。
それを見た内藤も慌てて席を立つ。それがいつもの風景。

川 ゚ -゚)『待て内藤。わたしの話はまだ終わっていないぞ』

でも今日はいつもと同じにはならなかった。

247 名前: ◆RDnvhIU7bw [sage] 投稿日:2007/01/10(水) 02:01:51.19 ID:PXIweYU+0
川 ゚ -゚)『内藤。いつも思うのだが、何故君が一方的に殴られたり追いかけたりしなくてはならんのだ?
     わたしにはそれが理解できない』

( ^ω^)『え…だってツンは友達だし』

川 ゚ -゚)『友達…か』

クーさんがあたしとチラと見る。

川 ゚ -゚)『君たちが特別な関係でないのであればわたしとの会話を中断する事もあるまい。
     第一、今君は自分の包丁を選ぶと言う君にとって非常に大切な話をしていた筈だ。
     君が今の関係に甘んじる事でどのような結果に繋がるのか。私は疑問に思う』

ξ゚△゚)ξ『……』

川 ゚ -゚)『わたしなら君を自分の考えだけで引きづり回したりしない。
     むしろ君の人生をサポートできると思う。
     この業界の上司として。人生の先輩として。そしてむろん女として』

それは大切な告白。
それは宣戦布告。
クーさんは今度はしっかりとあたしを見据え、内藤に視線を移した。

川 ゚ -゚)『内藤。君が本当に料理人として生きて行きたいのなら…』

あたしを取り巻く周囲の喧騒が遠く離れていく。
そしてクーさんの言葉だけが何度も頭の中に鳴り響いた。

川 ゚ -゚)『わたしは君の道標(みちしるべ)になりたい』


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