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LOYAL STRAIT FLASH ♪

第十七章

61 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/26(金) 01:12:13.55 ID:CWRlad7X0


          第17章 キスしてほしい ~クリスマス後編~


( ´ω`)『…はぁ』

僕はバースペースのカウンターで今日何十回目かになるため息を吐き出した。

川 ゚ -゚) 『どうした。随分悩んでいる様子ではないか』

そりゃそうだ。

              ξ゚-゚)ξ『内藤。あたしはあなたが好き』

あんな可愛い子からそんな事を言われて悩まないのはこの世に一握りのイケメソだけだ。
ツンの声が。
ツンの表情が。

頭から離れない。

( ´ω`)『…僕はどうすればいいんだお』

ツンはVIP駅の大時計の下で待っていると言っていた。
気持ちを言葉にして伝えたいと言っていた。
僕の答えを知りたいと言っていた。

僕の答え…?


62 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/26(金) 01:15:51.36 ID:CWRlad7X0

( ´ω`)『…はぁ』

間違いなく、今日の僕は今まで生きてきた中で最もため息をついているはずだ。
そしてまたその記録を一つ更新する。

ツンは可愛い。
自然に波打つ栗色の髪。
ただ可愛いだけでなく自己の強い意思を秘めた瞳。
それは誰が見ても認めるところだ。
出勤途中。
合羽橋に包丁を買いに行った時。
たまの休日にツンの服を買いに行った時。
周りの男の羨望と嫉妬が入り混じった視線を浴びながら僕は誇らしげな気持ちだった。

例えツンとはただの友達だとしても、だ。

そしてツンは怖い。
全身人間凶器。
闘神の遺伝子を継ぐ者。
それも誰が見ても認めるところだ。
ドクオが怒鳴られる度に。
ジョルジュさんが全身打撲寸前の怪我をした時。
ショボンさんが血の海に沈んだ時。
僕の恐怖と絶望が入り混じった視線を浴びながらツンは誇らしげに仁王立ちしていた。



64 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/26(金) 01:21:38.47 ID:CWRlad7X0
でも、ちょっと待ってほしい。
【人一倍可愛い】と言うだけの理由で人は死の恐怖を乗り越えられるものだろうか?

とてもそうは思えない。

例えばツーさん。
ツーさんだって

     (*゚∀゚)『最近ナンパやらAVのスカウトがウザイんだよね!!』

ってほどの美人だ。
横にいる男が人一倍キモイせいもある。
が、ツーさんがそこらの女性と比べてかなり上のランクに入る美人である事に変わりはない。

だけど、あの性格に着いていく自信は僕にはない。
つまりドクオはあの性格を苦に思わないだけの何かをツーさんに見出していると言うことなのだろう。

そして僕は…自分でも気づかぬうちにツンに何かを見出していたのだろうか?




65 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/26(金) 01:22:26.87 ID:CWRlad7X0
川 ゚ -゚) 『おい。 聞いているのか、内藤』

( ;^ω^)『は、はいですお!!』

クーさんの声で僕は精神世界から現実世界に引き戻された。

川 ゚ -゚) 『何度呼びかけても返事をしない。 泣き出すところだったぞ』

( ;^ω^)『それはすまんかったですお。ちょっと考え事をしていたもので』

そう答えて目の前に置かれた泡の消えたビールを口に含む。
温まり、炭酸が消えたビールは正直美味しくなかった。

川 ゚ -゚) 『内藤。バーテンダーが最も悲しい瞬間が分かるか?』

( ;^ω^)『何ですかお、突然』

川 ゚ -゚) 『答えろ』

やれやれ。
何で最近僕の周りには意味不明な事を言う人ばっかりなんだろう。

『分かりません』

そう答える前に

川 ゚ -゚) 『それは目の前で不味そうに酒を飲まれることだ』

クーさんが言った。

66 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/26(金) 01:23:15.12 ID:CWRlad7X0
( ^ω^)『……』

クーさんが言っている事も十分に分かる。
僕だって自分が作った料理を不味そうに食べられたら良い気分はしない。

川 ゚ -゚) 『話してみろ。わたしに出来ることなら力になってやる』

あぁ、やっぱりこの人は僕の事を何でもお見通しなんだな。
この人に相談したら…僕は正解に近づけるのかもしれない。
僕は一瞬話してもいいものなのか迷ったけど、意を決して口を開いた。

( ´ω`)『実は今…ツンに告白されたんだお』

川 ゚ -゚) 『…!! それで内藤はどう答えたんだ』

( ´ω`)『…その答えが分からないんだお』

僕はまた肺の空気をすべて搾り出すような深いため息を吐き出す。

( ´ω`)『…ツンは…友達だお。僕はそう思っていたし、ツンもそう言ってましたお。
       だから、突然言われてもパニックって言うか…。ツンのことは嫌いじゃありませんお。
       ただ、ツンの真剣な気持ちにどう答えればいいのか…分からないんですお』

ふむ。クーさんは唇に指を当てる。何かを考え込む時の癖なのかもしれない。

川 ゚ -゚) 『すまないが、その相談にはのってやれそうもない。その答えを見つけるのはお前でなければいけない』

それに…。一呼吸置いて言葉を続けた。

川 ゚ -゚) 『内藤。お前を好きである気持ちはツンに負けているつもりもないからだ』

72 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/26(金) 01:32:58.65 ID:CWRlad7X0

(  ω )『……』

この人まで何を言い出すんだろう。

川 ゚ -゚) 『内藤。わたしは何時だったかお前の道標【みちしるべ】になりたいと言った事がある。
     覚えてくれているか?』

(  ω )『……』
         
川 ゚ -゚) 『君はあの台詞を…料理人としてしか受け止めてくれなかったが、わたしの本心はもっと奥にあったんだ』

(  ω )『……』

川 ゚ -゚) 『最初からこのような気持ちだったわけではない。
     いや、わたしの気持ちの経緯など意味のない話だな。
     だがしかし、わたしは何時からか君の事だけを思うようになっていた。
     狂おしいほどに。胸をかきむしりたくなるほどにな』

(  ω )『……』


川 ゚ -゚) 『内藤。もう一度言おう。
     わたしは君の道標【みちしるべ】になりたい。
     君が楽しい時も辛い時も嬉しい時も悲しい時も。
     常に君のそばにあって道を照らし続ける。
     そんな光になりたい』


73 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/26(金) 01:36:05.40 ID:CWRlad7X0

(  ω )『…クーさん、ありがとうだお』

言葉を繋ぎ終えたクーさんがグラスの水を一口飲んで大きく息を吐き出してから僕は口を開いた。

(  ω )『…あの時の言葉にはそんな意味があったのかお。勘違いしてすまなかったお』

         僕はようやく自分の気持ちに気づいた。

(  ω )『…僕はずっといい加減に生きてきて…誰かの気持ちを真剣に考えたり
      真剣に受け止めようとした事なんかありませんでしたお』

         僕はクーさんが好きだ。

(  ω )『…当然、自分の気持ちを真剣に言葉にしようなんて考えた事もありませんでしたお』

         僕の最大の理解者。

(  ω )『…そんな僕でもこんなに真剣な言葉をかけられたら真剣な言葉を返したいと思いますお』

         きっとクーさんなら僕の人生をずっと支えてくれる。
         僕もクーさんを支えたいと思う。

(  ω )『…でも』

         でも…なんでだろう。

( ;ω;)『こんなに真剣にクーさんの事を考えようとしてるのに…頭の中ではツンの事しか考えられないんだお!!』


75 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/26(金) 01:37:31.42 ID:CWRlad7X0
ごめんなさい。
ごめんなさい。
何度もそう言いながら僕は泣いた。
目の前ではクーさんが何も言わずに僕を見つめている。

川 ゚ -゚) 『内藤。それがお前の答えだ』

( ;ω;)『…お?』

川 ゚ -゚) 『悩む事はあるまい。お前が今言った言葉。それがお前の答えだ』

( ;ω;)『……!!』

川 ゚ -゚) 『行け、内藤ホライゾン。ツンが待っているのだろう。
     言葉に出来ない想い。言葉では結論が出せない想い。
     それを伝えてこい』

僕はヨロヨロと椅子から立ち上がる。

( ;ω;)『クーさん…ごめんなさいだお』

川 ; -;) 『…!! 謝るな!! よけいに惨めになるだけだ!!
     安心しろ。わたしはこれからもお前…いや、お前たち2人の道標【みちしるべ】として道を照らしてやる』

僕はその言葉を背に受け、店を飛び出る。
そして走り出した。



80 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/26(金) 01:40:49.37 ID:CWRlad7X0
冬の冷たい風に流していた涙が凍りつく。
でも僕は足を止めない。

乾燥した空気に喉が悲鳴を上げている。
でも僕は走り続ける。

そう言えば、前もこんな風に誰かに気持ちを伝えるために走った事があったっけな。
あの時は…雨が降っていたっけ。

もしもあの時。
ツンが僕を殴りに来てくれなかったら、今の僕はなかっただろう。

        ξ゚‐゚)ξ『しぃにはギコさんがいる。ドクオにはお姉ちゃんが。お姉ちゃんにはドクオがいる。
             でも、あたしは一人。お姉ちゃん。友達。妹。
             当たり前の様にそばにあったものがいつの間にか無くなって最後はあたし一人になる。
             そんな感じがして寂しいの。怖いの』

そう言って肩を震わせていたツン。

        ξ*゚△゚)ξ『何言ってるのよ!! あたしの趣味は白馬に乗った将軍様って言うか…』

そう言って赤面していたツン。

僕の頭の中にツンとの思い出が幾つも幾つも何度も何度もフラッシュバックする。
だから僕は走る。階段を駆け上がる。

ずっと気づかなかった。

もう一つの光を失わない為に。


81 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/26(金) 01:43:53.39 ID:CWRlad7X0
VIP駅時計台下。

そこにツンを見つけた。
チェックのコートとピンク色のマフラー。
ぼんやりと星を見つめている。

早くツンのそばに行きたい。
一秒でもいい。
気持ちを伝えなくてはいけない。

でも、足はガクガクと振るえ前に動かすことすら困難な状態。
これ以上一歩も前に出てくれそうにない。

だから僕は叫んだ。

( ;ω;)『ツンっ!!』

潰れた喉から出たのはかすれた叫び声。
それでもツンは僕に気づいて走りよってきた。

ξ;△;)ξ 『内藤!! 来てくれたんだ!! よかった…あたし…』

僕はツンの声をさえぎりなおも叫ぶ。

( ;ω;)『僕は馬鹿だおっ!!!!!!』

ξ;△;)ξ『…え?』


83 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/26(金) 01:45:30.78 ID:CWRlad7X0
( ;ω;)『馬鹿だから…ずっと自分の気持ちに気づかなかったお!!
      馬鹿だから…こんなにツンを待たせてしまったお!!
      馬鹿だから…自分の気持ちを言葉に出来ないお!!』

ツンを目の前にしているにも関わらず僕は叫ぶ。

( ;ω;)『馬鹿だけど…本気でツンを好きなんだお!!
      君の…ツンの為だけに世界一の料理人になりたいお!!』

叫び終えた僕は全身の力が抜けきってしまい、街灯に身を預けた。

ξ;△;)ξ『…か』

( ;ω;)『…お?』

ξ;△;)ξ『馬鹿でいいじゃない!! あたしが馬鹿なあんたを好きなのよ!!
     誰にも文句は言わせないわ!!』

そう言ってツンは僕の首に抱きついてくる。
僕もツンの細い腰に手を回し強く抱きしめ…涙の味がするキスをした。









大時計が深夜0時の鐘の音を響かせ、空からは静かに雪がちらつき始めていた。

86 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/26(金) 01:49:41.85 ID:CWRlad7X0











みんなに質問があるんだ。
大人になるってどんな事だと思う?


87 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/26(金) 01:52:11.01 ID:CWRlad7X0











童貞を捨てる?
嫌なヤツ、悲しい出来事。それに対するスルー能力を身に着ける?


















88 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/26(金) 01:54:27.08 ID:CWRlad7X0













もし、そんなスルー能力を身に着けることが大人になる条件なら、僕は一生大人になれないと思う。

















89 名前: ◆RDnvhIU7bw [] 投稿日:2007/01/26(金) 01:56:16.21 ID:CWRlad7X0
あれから僕とツンは手を繋いでイルミネーションが溢れる街を歩いた。
途中で雪が強くなってきたのでファミレスに入って朝まで語り明かした。
本当はホテルに行きたかったけど、どこも満室だったから。

初めてキスをした人とのお喋りは楽しかったけど、少し照れくさかった。

ξ^ー^)ξ 『ホワイトクリスマスかぁ…素敵ね』

( ^ω^)『この冬最大の大雪になるってテレビで言ってたおwww明日は歩きづらくて大変だおwww』

ξ゚△゚)ξ 『ロマンがないやつ…』

でも、そんな幸せな時間は朝方の一本の電話によって打ち切られた。

(´・ω・`)『もしもし…内藤君かい? 寝ていたらすまなかった』

( ^ω^)『起きていましたお。どうしたんですか、こんな朝早くに』

(´・ω・`)『うん、落ち着いて聞いてほしい』










(´・ω・`)『…クーが…死んだ』


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