カテゴリ:TS小説
「ほら、着替えちゃいなさい」
「え、でも」 「制服の方が目立つって言ってるの。わかるわよね?」 「うー……」 しぶしぶと上を脱ぎ始めた。 タンクトップ1枚になって、身震いをしている。 まあ、トイレだし、寒いのは仕方ない。 上を着替えさせてから、下着も渡す。 「こ、これ、履かないとダメなのか?」 「ブリーフと同じようなもんでしょ」 「俺、トランクス派……」 知ってる。 けど、諦めなさい。 男の尊厳がとか、ぶつくさ呟いてる。 それでも大人しく下着も履き替えてくれた。 制服のときみたいに抵抗されたらどうしようかと思った。 やっぱり、外だと違うのかしら。 「で、これね」 しばしの逡巡の末、ショートパンツに足を通した。 いつまでもトイレにいるわけにもいかないし。 「寒いよ、ちづー」 「はいはい」 つるっつるの生足をさらしているひなた。 まあ、これはこれでありだと思うけど、見てるこっちまで冷えてきそう。 ニーハイを履かせて、靴も変えれば、と……。 うん、立派なローティーンになったわね。 実年齢はティーンエイジャーですらないんだけど。 「はい、これで普通の女の子」 「うー……」 「それじゃ、他にも服買わないといけないんだから、戻るわよ」 「変じゃない?」 「気になるなら、こっち来てみなさい」 私が言ってみたところで、納得できないらしい。 化粧室には鏡があるのが必然。 どうせ手も洗わないといけないわけだし。 「どう?」 「ううー。似合ってるのが、なんか悔しい」 なんでよ? どうしようもないより、よっぽどマシじゃない。 文句あるならひん剥いて、外に放り出すわよ? 無言実行。 脱がしにかかった途端、ひなたが硬直した。 「ごめんなさい」 はい、素直でよろしい。 今はかばってくれる人もいないものね。 「ほら行くわよ」 たぶん本間も困ってるころだろうし。 と、着信音が響いた。 バッグの中からケータイを取り出してみると、案の定、相手は本間だった。 男物はあまりないから、すぐにヒマになりそうだし、仕方ないか。 「もしもし?」 『俺だけど。今、どこにいるんだ?』 「トイレよ。ひなたが漏れるって言い出して」 『ひなたが? あいつにかけても出なかったのはそれでか』 「ていうか、家に置きっぱなしなんじゃない?」 『ああ、そうか。なるほどな』 「それじゃ、今から戻るわ」 通話終了。 と、下を見るとわんこがふてくされていた。 「どうかしたの?」 「べっつにぃ」 ……お仕置き決定。 「ふにょ、ふぉうっ!?」 「どうかしたの?」 さっきより強い調子で聞いてやる。 ちょっとつねっただけで半泣きになってるし、これで答えるでしょ。 「だって、別に俺がトイレに行きたがったなんて言わなくてもいいじゃんか」 「言ってもいいでしょ」 「うー。そうだけど、なんかムカつく」 「はいはい。本間が待ってるから行くわよ」 まったく、このお子様は何が気に食わないのか。 昔のアイドルじゃないんだから、トイレに行ったからって誰も気にしないわよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.02.15 17:00:32
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