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カテゴリ:司会、朗読、MCなど
先日、お仕事をご一緒させていただいた風間杜夫さん。
![]() イメージとはなんと頼りないものだろう。 それまで私の中にあった、あんまり表情を崩さない ニヒルな雰囲気の漂う大人の男というキャッチコピーが たちまちにして、人懐っこいあったかい笑顔、耳に優しい話ぶり 人情味あふれる粋な江戸っ子に、塗り替えられてしまった。 まさに俳優さんのなせる技なのかもしれない。 風間杜夫さんという人の引き出しの多彩さ 懐の大きさに、すっかり魅せられた一日だった。 会場は満員御礼の大盛況。あの風間杜夫さんが!というワクワクに あふれていた。ほとんどが、風間さんの落語を初めて聴くという人ばかり。 もともと熱心な落語ファンだからという人は少なかったはずだ。 私の仕事はといえば、まずは開演前と 一部終了のあとの10分休憩、二部の開始案内に 舞台のそでから順次アナウンスを入れること。 二部終了後からは、風間さんと共に舞台に出て 対談形式で約30分間のトークショーが待っていた。 リラックスして落語を楽しむ態勢といきたいのだけれど どうしても落ち着かない。 相手に気持ちよく話をしてもらうには まず聞き手が自然体でいなければ、台無しである。 「あの風間さん!あの教官が!」なんてことを なるべく深く考えないようにと、自分に言い聞かせながら 風間さんの姿を見つめた。 幕が上がる前、舞台のそでで、出番を待つ 役者さんの横顔というものを、初めて間近で見た。 キリリと着物をきこなした風間さんが いざ草履を脱がれ、素足で、高座までの道に 踏み出したとき、怒涛のような感動が押し寄せる。 あぁ、この方は、これまでに、いったいどれくらいの 舞台裏を知ってらっしゃるのだろう。 幾度となく、こうして自分を高め、いざという その瞬間を味わって、光の中へ出ていかれたことだろう。 出たら最後、自分の持てる精一杯をやり尽くす。 そんな覚悟と潔さがにじみでていて、はっとした。 噺家 風間杜夫の落語は、ほんとうに見事だった。 東京生まれの東京育ちである、風間さんが話す お江戸コトバは、まるで昔からそうであったような 堂に入ったリズム感でたちまちのうちに聴衆をひきつけた。 テレビもラジオもなかった時代、人から人へと話継がれる 面白ばなしに耳を傾け、笑うという至極シンプルな でも人間として最も親しみ深い娯楽。それこそが落語なんだと あらためて気づく。 だれだれがこんなドジをやらかしたとか、 どうしようもないお調子者だけれど、憎めない人の武勇伝とか 「ふんふん それで?そりゃあ大変だ。こんちくちょう」みたいな 歌うように流れていく、人の声を聞くことが、こんなに 心たのしいことだとは… 次第に私も、落語の世界に入っていき、あぁ、落語って おもしろいなぁ。人の声っていいなぁ。 あぁ、あの寅さんの口調も、ここにつながってるんだなぁと いろんな発見をした。 「粗忽長屋」と「居残り佐平次」という古典落語の代表的な演目 2席をきかせてもらったところで、いよいよ トークショーにうつることになる。 開演前に内容を打ち合わせようと、楽屋にお邪魔したとき たばこをくゆらせながら 「なんでも自由にきいてください。出たとこ勝負で大丈夫ですよ」と にっこりされた風間さん。 「出たとこ勝負」 実は大好きである。 入念な、ぬかりない事前の打ち合わせも、もちろん大事だと思うが あんまりにも詰めすぎると、どんどん面白みがそがれていくようで もったいない!とも思う。 もちろん、前もって自分なりに下調べをして、それなりの情報を もってのぞむのだが、トークショーのインタビュアーとしては 一番いいタイミングで、それを引き出したいところである。 人から話を聞かせてもらうとき、「へぇ~知らなかったです なるほど~初めてききました」という感動の瞬間、発見の喜びは まさにその時、一度しかない。 その一度の、感嘆のコトバがやはり最も、自然で真実味があり 聴衆との一体感をつくるものであるはずだし、相手の方も 「そうなんですよ それでね」といい流れで、生き生きと語り始める その時の表情が一番、素敵だと思う。 打ち合わせで話をしすぎて本番で「さっきも聞きましたけれど… そこのところをもう一度」というのは、けっこう白けるものだ。 むろん名俳優の風間さんなら、うまく切り抜けていかれるのだろうが なにしろ私が大根役者なので、どうしてもわざとらしくなってしまう はず。そんな私ももくろみを知ってか知らずか、大きな心で 「出たとこ勝負」でいこうとおっしゃってくれた風間さん。 うれしかった。 報道記者として、いろんな人に取材をしてきたことを必死に思い出しながら 自分にハッパをかける。 相手に気持ちよく話してもらうためにはどんな聞き方をすればいいか。 言ってもらいたい言葉があるとき、どんなコトバをこちらが投げかければ、 それが引き出せるか。何度も失敗を重ねながら、今度こそはと 挑み続けたインタビュー取材。 ![]() 同じステージで、向かいあって椅子に座り、約30分間。 かくして「出たとこ勝負」のトークショーは、とてもスムーズに 進んだ。聞いてみたかったこと、みなさんにもぜひ知ってほしいこと 風間さんの想い、落語への想い…いろんな面から 話が聞け、お客さんとの距離も縮まり、笑いも巻き起こり 風間さんもにこにことされ、とてもいい雰囲気になり、感動的だった。 ![]() トークショーのあと、急遽、ロビーに出られて、たくさんの方と 握手もされた。プロダクションの方が、普段の風間さんは とてもシャイで、こんなふうなことは滅多にないとのこと よほど気分が良いのでしょうとおっしゃった。 公演後に、風間さんからかけて頂いたコトバ 「いやぁ 気持ちよく話ができました。ぼくのことをあなたが つかずはなれず、いい具合に引き出してくれましたね。 ありがとう。ぼくとあなたは、まさしく あのステージで愛し合っていましたね」 最高です。 一生心に残る、大事な一日になりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年07月26日 23時01分30秒
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