懐かしの家族HP

2003/07/04(金)00:41

「鉄人28号」誕生エピソードの魅力

時代を超えて徹底周知に恵まれ、親しまれている往年の手塚漫画といえばもちろん「鉄腕アトム」である。既に書いた通り、兄と私で合わせて十年ほど継続購読した光文社の「少年」連載の不朽の名作である。だが、幼少期から少年期に至るまで、私の心を強くとらえてやまなかったもう一つの名作ロボット漫画こそが、「少年」連載漫画中、最も魅了された「鉄人28号」だった。古くは「鉄のよろいに身を固め・・・」の勇壮な主題歌で始まる連続ドラマであり、最も多くに知られていると思われるのは、テレビアニメでヒットした「ビルの街にガオーッ!!」の主題歌でおなじみのロボットものである。私が「鉄人28号」のほうが好きだった理由・原因は、鉄人誕生の設定にある。旧軍が大きくかかわっていたからである。また、東宝映画で多くの根強いファンを持つ「海底軍艦」が好きでたまらない理由も、そのそもそもの設定が鉄人と同様だということにある。つまり、終戦と共に反乱行動を起こして、伊号400型潜水艦のうち、架空の一隻伊号403潜でひそかに出航し、絶海の孤島で、とてつもない高性能艦「轟天号」を旧日本海軍精鋭たちが、神宮司艦長の下、一致団結して建造を果たしたという設定が、この上なく魅力なのである。例えば私が「サンダーバード」に余り夢中にはなれなかったのは、要員が軍人でなかったからである。素晴らしい性能のいくつもの救助機をひそかに保有しながら、結局災害救助に終始するドラマ運びは、胸躍らせるインパクトという点で、どうしても物足りなさがあった。「海底二万マイル」に夢中になれなかったのも、同様である。ネモ船長の平和思想は、我が国を覆う、反戦平和思想を連想させて、なおさら興味半減する。当初、一角獣ではないかとうわさされ恐れられた高性能潜水艦ノーチラス号は、何らかの形で「軍人」とかかわりある人員が乗り組んでいなければならなかったのである。何も「海底軍艦」が、東宝制作陣の、戦争趣味で作られたなどとは思わないが、設定は間違いなくこの作品に大きく貢献していると信じている。今、反戦平和を唱えているほとんどは、その身を日本列島という安全地帯に置いて、その精神を善なるものと信じて疑わぬ者共である。実にこっけいである。万一、自衛隊の呼称が変わって、陸軍・海軍・空軍と変じ、それぞれ陸軍士官学校・海軍兵学校・空軍士官学校となった時、例え一人ででも、軍の基地へ乗り込んで、身を賭した反戦行動をとれるものが果たしているか!?ただいま多くが悦に入って平和念仏を唱えているのは、「平和な時の平和論」である。思想犯として支那や北朝鮮のように監獄に送られて、処刑される心配は全くないからである。子供の私は、鉄人誕生の経緯を知って喜び、やがてある空想の場面を思い描いた。大戦末期実は我が軍は超高性能原爆を実用段階に達せしめていたという仮説の一書を連載して抄録した。ほかにもこの手の終戦間際の起死回生の兵器開発の話はある。空中戦艦富嶽(ふがく)」という、B29を上回る巨人機で米本土を爆撃する計画、戦艦大和を上回る巨艦建造計画、伊号400型潜水艦で、米本土を急襲する海底空母計画など。勝てないに決まっていたかもしれぬ日本軍は、実はアメリカに絶えず恐れられていた。零戦の話は余りにも有名だが、これとても、当時の列強各国は、日本人に高性能戦闘機など絶対に作れないと、たかをくくっていた。速力・航続距離・兵装・抜群の戦闘能力、いずれも当時の他国戦闘機を数段上回る性能だった。戦争反対を唱える人は多分このような知識を持たぬだろう。米国にじりじり追い詰められ、戦うも亡国、戦わざるも亡国の国家危急の情勢下、我が国は、座して敗れる道でなく、武士道精神に則った正々堂々の国策を選択した。敗戦は無駄なことではなかった。ただし、戦後数十年を経て、相も変わらず平和反戦運動をワンパターンにだけ繰り返している輩には、おおいに将来への危惧を禁じえない。さて、私の脳裏に卑劣なソ連軍のことが浮かんだ。ソ連は日ソ中立条約を一方的に破って、昭和20年8月8日に対日宣戦布告し、翌8月9日午前零時を以て、我が軍に急襲をかけた。ソ満国境に於ける日ソ両軍の大攻防戦である。ここで、昭和20年7月末現在の我が関東軍とソ連軍の兵力比較を記しておく。ただし、毎度のことながらもはや平和ボケとなった我が国の人々の大部分が、基礎的軍事知識すら持ちあわせていないと察するが、例によって説明は省く。まず、師団数:関東軍24,ソ連軍50。総兵員:関東軍75万人、ソ連軍130万人。飛行機:関東軍160機、ソ連軍4800機。戦車:関東軍80台、ソ連軍3500台。一見して勝負にならない比率である。ソ連参戦時の彼我の差がどう変化したかは、知識不足なので、わからない。ただ、関東軍の兵力は、この時点より減ることはあっても、増えることはなかったと思われる。私が「鉄人28号」の設定に心をはずませたのは、もしも鉄人28号型戦闘ロボットができていたら、我が同胞の犠牲者数はほとんどなくて済んだか、又は、今よりずっと少なくて済んだかもしれぬという空想が発展して、ますますこの堅牢無比の貫禄を備えた鉄人28号が好きになったからにほかならない。そして今、圧倒的戦力の不利を一気に逆転さえしたのではないかと思える鉄人型ロボットが、国境配備されていたら、かつて各国が零戦を空の悪魔と恐れた如く、予想もしなかった人間型巨大ロボット数十体居並ぶ光景が突如国境付近に展開するのを目の当たり見たソ連軍もまた、度肝を抜かれ、更に戦闘開始となるや、ソ連軍の強力な戦車の砲弾をもはね返す鉄人の恐るべき装甲と鉄槌(てっつい)の一撃で、ソ連軍戦車その他の兵器を次々にぶち壊す様になすすべもなく、大撤退したのではないかという空想が、新たなるジオラマ制作構想となって、我が脳中にじわじわとわき上がりつつある。ただし、これは、以前にも書いたかもしれぬが、ソ連軍を新たな敵として奇跡の勝利を狙ったものではなく、今も書いた通り、満州脱出をはかって必死だった日本人の生命を守り、シベリア抑留の悲劇をなかったものにできたかも知れぬという気持ちから思いついたジオラマ計画に過ぎぬ。今、手許に平成二年、1990年バンダイ発売の鉄人28号ソフビ人形がわずかに一体だけある。長さを測ったらほぼ全長21センチだった。ジオラマの模型、満州国境の風景などを製作する場合、この鉄人フィギュアでは、ちと小さい。そこで又もへたの横好きの自作ということとなる。予定では、全長35センチから40センチのものを一体、最も手前に配置し、特撮の世界でよく使うパース、つまり遠近感を強調するために、バンダイ製フィギュアを一つ向こうに置く。更に自作で十数センチ、十センチ、五センチなどの鉄人模型を順に奥へと配置する。戦車は、とりあえず旧軍の97式戦車五台を計画しているがこれは次第に小さいものをというわけにはなかなかいかないので、この五台は、適当に配置する。もし、同型でなくともスケールの小さいものがあったら、やはり、奥のほうへと配置する。正確にはうそということになるが、仕方ない。ズラッと並ぶ日本軍戦車に見えれば良い。無論目の肥えた人にはばれるが、ジオラマには、妥協の要素が欠かせないのも確かだ。もう少し身辺が落ち着いたら、「ソ満国境配備の鉄人28号型戦闘ロボットジオラマ」を作ってみたい気持ちである。ただし、最後に、このジオラマ制作の画像は、直接この私のホームページには掲載しない。実は想科良次さんのネームで楽天日記を開設している方が、私の拙い「大一プロブック」ジオラマに関心を示してくださり、積極的にご自身で私の名前でのホームページを別のサイトに常設してくださっているという事実がある。自分で言うのも妙だが、見事なホームページである。いや、自分で言うという表現はあたらない。まぎれもなく、想科さんが制作作業すべてをやり続けてくださっているホームページである。だから私が自作したホームページの比ではない。そして、それに費やした労力は、察して余りあるものである。よって、順序として、想科さんが制作更新してくださっているホームページに掲載ののち、ややあいだをおいて、私の楽天日記のページ欄掲載ということとなる。無論、ご本人の承諾を得てからのことである。くどいが、想科さん制作の私の名前でのホームページは、ジオラマ自体は私のへたな作品ではあるものの、完成画像とメイキング画像が整然と並んで、なかなか見ごたえあるものである。とても私の一存でURL紹介なぞ申し訳なくて、できないものである。このホームページは、私の宝である。早く、新作画像を想科さん制作のページに掲載できる運びにもっていきたい気持ちである。参考文献: 伊藤正徳氏著・「帝国陸軍の最後・終末篇」昭和36年発行(文藝春秋新社)

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