懐かしの家族HP

2019/03/01(金)16:55

青春時代「小柳ルミ子」ファン

音楽(68)

​ 「わたしの城下町」で声量も歌唱力もある大型新人として華やかなデビューを飾った小柳ルミ子が、平尾昌晃(ひらお・まさあき)氏の日本情緒たっぷりの旋律を得て、言わば満を持して放った第二弾。それが「お祭りの夜」だと言えよう。 デビュー曲もこの歌も、小柳ルミ子のキャラクターをうまく捕えたのか、歌詞が失恋した可哀想な娘というワンパターンで、ファンとして聴いていて、痛々しいばかりだったというのはウソだが、小柳ルミ子のイメージは、宝塚で鍛えたりしたとの情報などで、むしろあかぬけた感じが強かった。 ところが、彼女が歌う歌詞の中の娘は、必ずどこかの田舎に暮らし、恋の相手は、必ず都会へ働きに出て行ってしまい、娘は仕事ゆえに仕方ないと思いつつも、好きだからあきらめきれないという、かなりネンネの田舎娘の無知をさらして、ファンの共感を誘った(かどうかはわからない)。 それでもデビュー大ヒット曲「わたしの城下町」は、一度や二度はある初恋のもろさを描いて、さほど悲劇的ではない。ん ? 一度しかないから「初恋」であった。異性に縁のない哀れさが、こんなところにも、出てしまうとは、・・・・・。ハックション ! 歌詞を掲げる。 「わたしの城下町」 1. 格子戸をくぐり抜け 見上げる夕焼の空に だれが歌うのか子守唄 わたしの城下町 好きだとも言えずに 歩く川のほとり ゆきかう人に なぜか目をふせながら 心は燃えてゆく 2. 家(いえ)並が途切れたら お寺の鐘が聞こえる 四季の草花が咲き乱れ わたしの城下町 橋のたもとにともる あかりのように ゆらゆらゆれる 初恋のもどかしさ 気まずく別れたの (伴奏) 橋のたもとにともる あかりのように ゆらゆらゆれる初恋のもどかしさ 気まずく別れたの 「気まずく別れた」。実にいい結末である。初恋で恋が実って仮に結婚したら倦怠期はたまらないはずだ。 さて、このフラレたのに彼は仕事で町へ行っちゃったと、半ばかんづいていながらも、そうじゃないと、未練甚だしい田舎娘をうたう小柳ルミ子の熱唱歌は、第二弾「お祭りの夜」からハッキリ歌詞に現われるが、何しろ天地真理さんと人気を二分するほどだったから、ほとんどかわいそくない、じゃない、可哀想ではない。小柳ルミ子は、のびのびと可哀想な娘の想いを歌っていたのだ。 でも一応「お祭りの夜」の歌詞を掲げる。今の人や好きでないか嫌いだった人は仕方ないけど、小柳ルミ子のファンは多かったのだ。ちなみに、私が昭和59年にようやく取った「社会保険労務士」資格のための試験のための講義をやった時のある先生などは、講義のあいまあいまに、小柳ルミ子の話ばかりしてたからね。 「お祭りの夜」 1. 泣かない約束を したばかりなのにもう涙 ひとりでお祭りの人ごみを逃れて 赤い鼻緒がなぜかうらめしくて あの人あの町に行っちゃうなんて きょう初めて聞かされたの 遠い笛太鼓 2. 恋人同士なんて まだ言えない二人だけれど いつしか心に決めていた人だった 線香花火がなぜか目に浮かぶの あの人あの町で働くなんて 祭りの歌が手拍子が 胸につきささる 3. 泣かない約束を したばかりなのにもう涙 やさしい母さんにも見られたくないから 家の垣根のそばを通りすぎて あの人この町を出てゆくなんて まだ信じられないわたし 村の鎮守さま まあ、相当ネンネでわがままで田舎にかじりついて、同郷のおさななじみが、適齢になると、多分恐らく、必ずってくらい結婚してくれるものだと固く信ずる「田舎出られない娘」が本当に存在するなら、この歌は珍しい境遇の娘心の切なさをうたったものとして、やっぱり珍しいばかりだ。 さてと。不思議な田舎娘とは関係ないが、この小柳ルミ子第二弾の「お祭りの夜」は、昨今の「あっち向いてこっち向いてついでに向こう向いて、私もあなたにI love you ! 」としか聞こえぬような新幹線なみの高速歌唱流行歌ほどではないのは当然だが、当時としては歌いにくい歌で、歌詞の区切り方がいかにも作曲に合わせた苦痛の跡がうかがえる。 たとえば一番を少し歌うつもりで、実際はどんな具合に区切られているかを書くと、こんなである。 ♪ 泣かない 約束 をしたばか りなのに もう涙 一人で お祭り の人 ごみをのがれて・・・ ――という調子である。これは昨今の歌と同じく、一つの曲を作る方法としては、いただけない。 亡き藤山一郎さんなどは、「蛍の光」のような名曲でさえ、「ほたるという歌詞のところは、『ほ』のあと『たる』の音が下がるのが自然なのだから、現行の旋律はいただけません」とさえ、おっしゃっていた。歌を作る時は、普段のアクセントも考えて作らねばいけない。 その意味で今の歌のほとんどは失格である。 さて、小柳ルミ子の世間知らず田舎娘失恋Discover Japanシリーズは、翌年1972年の「瀬戸の花嫁」で進路変更180度よーそろーになる一曲前の「雪あかりの町」で、さらに可哀想具合が、可哀想になる。 しばらく「小柳ルミ子」シリーズでゆくかも知れないので、興味ない人には退屈だろうが、私も年なのだろう、急に暗いことの多い大学時代がよみがえり、歌は世につれという通り、小柳ルミ子のシングルを買い続けて聴いた頃の記憶がダブって、二度と戻りたくない大学生活の記憶を呼び覚まされた。 ただ、小柳ルミ子の若い頃のヒット曲は、今でもほとんど歌えるほど、強く記憶し印象強い。 まあ、まさかその昔「星はなんでも知っている」のアゴ兄ちゃんの平尾昌晃氏が、小柳ルミ子の作曲で終わらず、テレビ時代劇に歴史を刻んだと言える「必殺仕事人」シリーズの数々の曲を手がけるようになるとは予想もしなかった。 必殺シリーズは、ムードたっぷりの平尾昌晃氏の曲で、シリーズ一つ一つが、強く印象づけられ、忘れがたいものになったことは確かだ。 では「雪あかりの町」以降は次の機会にゆずります。お粗末でした。​

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