2014/04/19(土)23:46
東京教育大数学入試問題(昭和46年春)より
昭和46年3月受験の東京教育大の数学の問題全問のコピー。数年前、聖文新社(旧・聖文社)から無料で郵送していただいた。
夕子「いよいよね。あたし、待望の問題よ。昭和46年3月、あなたが大学入試で受験した数学の問題」
村松「あ、でもね、お前さんへのイジワルじゃなくて・・」
夕子「わかってる。それは望むところよ。ただ、別解が有利とも思えないわね」
村松「むむっ。その口ぶりからして、もう解法わかったとみた」
夕子「その場で解かせて、あたしが苦しむのをとくと味わいたかったか ! 甘いぞ、おぬし」
村松「むむ。おぬし、今回はあらかじめ術を巡らしたか」
夕子「ね。あの、口調変えるけどさ、あなた、この大きな3番の問題一題を全問あきらめたって言ったでしょ ? 」
村松「うん」
夕子「どう考えても、今は解けるわよね」
村松「それだよ、それなんだよ。正四面体の三つの頂点の座標が明らかならば、残る頂点の座標なんて、少なくとも作図は思いつくものね。だからね、俺は相当ひどい数学力だったとしか思えない」
夕子「どうしてあきらめたの ? 」
村松「直方体、つまり石けんの空き箱みたいな立体を頭に浮かべて、混乱した。かなりバカだろ ? 」
夕子「正四面体とはほど遠いわね」
村松「石けんの空き箱じゃあ、解けるわけないわな」
夕子「確か、数学は入試の二日目だったわよね。遠縁の家(うち)に泊まって、一日目の朝、朝食を食べたのがいけなかったって聞いたけど・・」
村松「もう、あの頃既に神経症だったんだよ。気力だけで受験したんだけど、家族の人みんなが朝食とってる時に、断われなくて、つい食べたんだよ。そうしたら、大学へ向かうバスの中で気持ちが悪くなってね。でもね、まあ神経の病だからか、農学部の教室の自分の机についたとたん、気分が楽になった。で、二日目は朝食抜きで出かけた」
夕子「数学が何時間目かは忘れたって聞いたけど、とにかく試験が始まったのよね」
村松「それがさ、数学が何日目かも思い出せない」
夕子「あらま」
村松「当時の日記帳見ると、入試は3月3日と4日で、後年、出版社に頼んで無償で送ってもらった問題コピーを見ると、数学は4日、つまり二日目だ」
夕子「じゃあ、記憶と合うわね」
村松「ほぼ間違いないのは、一日目に物理と化学があって、物理は得意な問題なのに大変なミスしたし、化学は苦手なのばかりで、半分取れなかったはず。これで親類の家(うち)へ帰って、すぐ確認して、もうダメだと思った」
夕子「物理は高校の時、あなたが上位得点者として廊下に掲示された記念のテストで、その時得点した問題とほとんど同じ『円すい振り子』の問題よね」
村松「物体に働く力を矢印で書き込めたら、しめたものだけど、一つでも矢印を書き忘れると、すべて狂って来るから、これも大きな一問全部ダメ」
夕子「でも合格したのは事実だから、失点した科目のぶんを、ほかでかなり補ったのよね」
村松「結果からすると、そうだろうね。もし数学が予想通り8割としたら、あとは、文系科目の英語・国語・日本史でかせいだとしか思えない」
夕子「でも、凄いことよ。国立大学理系だもの。あ、そろそろ本題に入っていい ? 」
村松「ああ、そうしよう。・・・フフフ。と、言いたいところだが、忍法とは手段を選ばず、敵に勝つことがすべてだ。おぬし、俺が本当に試したい問題がどれなのか、予想しなかったな」
夕子「ええッ ! 正四面体じゃないの ? 」
村松「いや、もちろんそれもある。しかし、おぬしは、いきなり突きつけられる緊張感を好むとも聞いた」
夕子「むむっ、ひきょうな ! 」
村松「まあ、そう言うな。降参するならそれも良いが、まず挑んでみぬか ? 」
夕子「くくっ・・。何番だ ? 」
村松「大きな2番なり。いかがかな・・・」
夕子「・・・・・」
村松「うむ。やはりわしの術がおぬしの技を上回り過ぎたか」
夕子「フフフ、いつになっても進歩がないのう、おぬしは」
村松「な、何だと ! ? 」
夕子「あのね、あなた、数学の問題、全問送ってくれたでしょ。あたしが3番だけ関心持つわけないでしょ ? 」
村松「あ、それもそうだね。とりあえず、3番を載せとくよ」
以下、相棒がベクトルをあえて利用して見事正解した解法を、村松が整理して、まとめたもの。なお、(2)は省く。
「会話つづき」
村松「お見事でござるが、不意打ち問題は、やはり卑劣かな ? 」
夕子「いいえ。あなたに前に言ったでしょ。緊張感と解く快感があるって。だって、あなたの塾も、生徒がいきなり突きつける問題をその場で説明する宿命だったって。ふふ、でも今回は先に見ちゃったから、チョイ反則ね」
村松「でも何番を指摘されるか、わからなかっただろ ? 」
夕子「ふふ、それがね、全問解いちゃった」
村松「ううむ、参った。じゃ、とりあえず2番はまたの機会に頼むね」
夕子「承知つかまつり候」
「追記」
本問はベクトル利用ゆえ、内積の成分表示による能率的解法もあり。折りをみて掲載予定。