2016/03/07(月)08:31
母を想う短歌
「母を想う短歌」(順不同)
1微笑みて目を閉じながら横たわる母の寝姿認め帰りぬ
2束の間の母の回復今哀しかつての笑顔既に帰らず
3来し方(こしかた)の母の面影思うたびぼうだの涙とめる能わず(あたわず)
4たらちねの母が踏みたる台を見てさびしき家に歩み入りにき
元歌(参考短歌)
さいはての駅に下り立ち雪あかりさびしき町にあゆみ入りにき(石川啄木)
5我が命絶えなば絶えね未練なし母と過ごせし日々は帰らず
6面影に笑顔のほかは浮かばずと今気づくとも母は帰らず
7幽明の境を異(こと)にするなれど願いはひとつ母に会いたし
8母亡きと知って帰宅のただいまと呼ぶもむなしく今帰り来ぬ
9声なきと知りつつ話すむなしさよそれでも母に話しかけるか
10我が声よ母に届けと願えどもいずれ返らぬ独り言なり
11玄関に母の歩みし靴を見て四足未だ捨てる能わず(あたわず)
12亡がらの二度と笑わぬ母の顔見つめ続けて笑えと祈る
13手をとりて母と歩みし散歩道今歩めどもぬくもりはなし
14早老いて我れも逝かんと思えども母の訓えは身体をいとえ
15語りかけ語りかけども声はなしそれでも母に語りかけたり
16我が母は己のことは二の次にひたすら子らに尽くし通せり
17願わくは毎夜夢にて母に会いよもやまのこと語り合いたし
18仕事済み階下に降りて休みつつ母と語りし頃が懐かし
19寒々と部屋の冷えたるゆえを思(も)い母のぬくもり無きかと覚ゆ
20趣味とても母のいませし安心と今気づけどもむなしきばかり
21しき島の日本(やまと)の国に母二人ありとし思はば何か嘆かむ
元歌
しき島の日本の国に人二人ありとし思はば何か嘆かむ