2021/11/26(金)14:51
講談「四谷怪談」続きのつもりが・・・ !
講談「四谷怪談会話版お粗末」
『お岩様誕生』承前・・のつもりが 20190807開始
村松「いや夏になったとたんに、例えようのない猛烈な暑さだ。暑いなんてえ代物じゃないやい。おっと、早くもカブレちまったい」
夕子「お風呂ぬるめにしといたから入っといでよ。あら、あたしまで。ね、あとの加減は入ってからということで、一風呂浴びてさっぱりしたらどお」
村松「お前、ほんっとに心配りがいいね。こりゃあ、言ってみりゃあ、熱のたまった体に打ち水って趣だ。そういやあ、塾やってた頃、たまに水っ風呂(ぷろ)に入(へえ)ったものだ」
夕子「かなり乗ってるわね。お風呂よりそろそろ下書き」
村松「いや、きょうは夕子の顔が見たくて来た。ちょいと拝ましてくれないかい」
夕子「あらあ。ノロケも全開。でも早く続き行きたいでしょ」
村松「いや、お前とのんびりおしゃべりしたい。それと、厚かましいけど、早お昼ってのはだめかな」
夕子「あら、いいわよ。でも、お昼は」
村松「わかってるって。普段のお昼は、あり合わせだろ。それが楽しみなんだ」
夕子「待ってて。あ、ねえ、カラスの行水でいいから、サッと浴びて来たら」
と、すっくと台所へ立つかいがいしさ、まるで本格の主婦に専念しているように、てきぱきとしている。今では信じがたいことだが、かつて所帯が大過なく行ったら、主婦に専念したいと本気で思っていたってえから、人とはわからないものです。ありがたくぬるいお風呂を使わせてもらう。
・・・・・・・・・・
村松「いや、申し訳ない。ホントに生き返った」
夕子「ねえ、あたしはいいんだけど、話の枕が長過ぎない ? 」
村松「ナニ、お前との、のんびりしたおしゃべりを書きたいとも思ってね。実は講談まとめるのより、そのほうが楽しい」
夕子「うまいこと言うわね。お世辞でも悪い気しない。はい、お望み、お目当てのもの」
村松「ううー、涙が出る。でも一通りそろうまで待ってる」
夕子「そんなにないのよ。手料理は漬物だけ」
とか何んとか言いながら、私の自宅での食事とは大違い。
村松「やっぱり食卓らしくなるじゃんかよ」
夕子「さ、いただきましょ」
村松「おいしい ! 分けても白菜の漬物と大根とナスと」
夕子「それじゃ全部じゃない。漬き過ぎじゃない ? 」
村松「いやあ、白菜もそれから大根もナスもいいあんばいだよ。漬物だけで食が進むってえものだ」
村松「それにしても、ナスがこんなにうまいものだとは、ああ俺は迂闊(うかつ)だったなぁ」
夕子「若い頃、きらいだったってね。あと、カボチャも。あんなおいしいもの、もったいないわね」
村松「そうだよ。お前のカボチャは、煮たのも、テンプラも最高だもんな」
夕子「よし、夕飯決まり」
村松「無理しないでよ」
夕子「楽々。ね、少しお家(うち)へのお土産に持ってってね。あした好きな時におかずにすればいいから」
村松「ありがたい」
夕子「そうだ、ご飯炊くようにしたって」
村松「ああ。無洗米の五キログラムを買ったよ。下腹は出るけど、お米のご飯はうまいね。しかも、エンチョーで買った安い炊飯器で、きちんと炊ける」
夕子「今、出来合いのご飯は品薄のとこもあるみたいだから、良かったね。何合炊き ? 」
村松「三合炊き。で、今まで出来合いのは一パック200グラムって決まってたけど、こないだご飯よそって計ったら300グラムオーバーだった」
夕子「わかった。お茶碗特大のでしょ。で、そろそろ五キログラムじゃ、足りなくなって来たでしょ」
村松「図星」
夕子「余計なお節介かも知れないけど、これから、例えば五キロを買ったところへ、もう五キロ追加したり、でも十キロは多いわね。保存考えると五キロを切らさないようにしてくのがいいかも」
村松「あ、それいいね」
夕子「ねえ、あたしとの話が完全に長くなっちゃったから、タイトル変えたほうが・・」
村松「ナニね、この噺はね、フフフフ、かなり長いんだよ。伝助、おつなのなれそめの話だけで一回だろ。お話全体は一時間弱。うーむ。53分くらいかな。小さな題つけて、一回目を『伝助とおつな』にすると、これがわずか9分ほど」
夕子「あら、ホントに長いのね。じゃあ、二回目は ? 」
村松「えーとね、二回目は、・・・あのね二回でまとめようと思ったんだけどね、A4のコピー用紙に書いて一回目が6枚ほど、ところがね家(うち)で書いたら二回目は6枚目でまだ伝助とおつなが伝助のおじのもとを訪ねるくだり」
夕子「あら、そう。セリフが長いの ? 」
村松「初め、神田陽子さんの語りので書こうと思ったんで、急に貞水師匠に変えてしばらくは、テキトーにまとめかかったんだけど」
夕子「貞水師匠のセリフに惹(ひ)かれたのね」
村松「甲乙つける気はないけど、やっぱり貞水師匠の江戸弁がいい」
夕子「あのさ。思い切って言うけどね」
村松「な、何んだいよ。バカに力が入ってるね」
夕子「今のそう、要するにあたしの年配より下の若い・・かどうか知らないけど、いかにもわかったふうな考え言う割には、知識にしたことには頑固って言いたかった」
村松「ほお。何んだかわかったような、今一。もう少し聞かせて」
夕子「うーん。あたし、話下手だからなぁ。あのね、例えば意見や考えは人それぞれって言うけどね。こんなじゃ、ピンと来ないかしら」
村松「うーむ。違ってたら悪いけど、好き嫌いは人それぞれってわかったふうなこと言うってこと ? 」
夕子「そうそう、それよ。ところが、自分の好みになるとね、断固譲らない頑固さが露骨」
村松「うん、わかる。もはや説明の要なし。言い方変えれば、新しいタイプの新人類。実は利己主義とみた」
夕子「会社にいるの」
村松「言っちゃっていいの ? このブログ見られたら」
夕子「平気。でも多分見ない。ゴーイング・マイ・ウエイだから」
村松「支離滅裂だよな。人それぞれとは口先だけ。俺はズバリ『怪(け)しからん』と言えと言いたい。・・・・・ ? 何んの話だっけ」
夕子「あなたがやっぱり貞水さんがいいって言ったから」
村松「あ、そうだった。ただね、貞水師匠のも、聞き取りにくいところが幾らかある。そん時は神田陽子さんのCDで補うしかない。ま、二枚舌になるけど、セリフを出来るだけ聞き取ろうとしたはいいけど、言葉がわからないとこもある」
夕子「ちょっと恐いけど、あらすじで教えて」
村松「おつなと所帯持った伝助が、にわかにやる気を出して、霞が関の松平安芸守(あきのかみ)のところで、足軽たちの食べるご飯につき、飯炊きとして雇われる。そこに高田大八郎という小頭(こがしら)がいて、参勤交代後、殿様や足軽みな国へ帰るが、これが一人だけ病気といって残る。
実は金貸しからの催促がしつこく、遂には切り殺す。それを偶然知ってしまった伝助に死体の処理を命ずる。伝助は困り果てたあげくに己の家(うち)へ着いてしまい、くるんだ死体を押し入れに隠して、女房のおつなに出かけると告げて去る。
次第に夜が更けて、心細いおつなのもとへ、いやな身なりの女がやって来て、押し入れをあけて、亭主の生首を取り上げて大音発して笑い出し、おつなをじっと見たその顔の恐ろしさ。おつなはにわかに産気づいて女の子を産み落とし、そのまま気を失って、すぐに息絶えた。この女の子がお岩様。
・・・・・
こんなあらすじだけど、講談に語られた通りに近くつづると、すさまじい長さだよ」
夕子「聞いたこと、少し後悔し出したわ。で、今どのあたり ? 」
村松「えーと、伝助が高田大八郎の飯炊きにかかる少し前。大八郎は一風呂浴びに出かける。それでもうA4用紙に殴り書きして11枚目。困っちゃった」
夕子「そこまでで何分くらい ? 」
村松「えーとね、記録してあるから・・、23分32秒」
夕子「全部で53分だから、半分よりまだ少ないんだ」
村松「うん。最初お前におこられた『ごめん下さいまし』なんか、ほとんどラストだもん」
夕子「あ、そうかあ。やっぱり聞かなくて良かったぁ。何んか声色(こわいろ)が恐そうなんだもの。あの、気になったから聞いとくけど、その『ごめん下さいまし』はおつなさんが聞く声なのよね」
村松「うん。でも、もっと陰(いん)にこもって物凄いよ」
夕子「シャラップ ! そこ、声色(こわいろ)使わないで。で、それは誰の声 ? 」
村松「誰って、金貸しの伊勢屋っていう男の女房の幽霊だよ」
夕子「うわっ ! やなこと聞いちゃった。死んでるの ? 」
村松「うん。亭主の帰りがあんまり遅いもんだから、霞が関の足軽小頭、高田・・」
夕子「ちょい待ち ! 何んでそう声色たっぷりにやるのさ ! 」
村松「いや済まねえ、ここんところ、ずっとこんな調子で朗読してるもんだから、つい気持ちが乗っちまって」
夕子「ちょいと、普通に話せないの ? 」
村松「そういうお前だって、『ちょいと』なんて、それっぽく話してるじゃあないかい」
夕子「あら、それはいけなかったねえ。あ ! 」
村松「夕子、お前のその話し方、なかなか板についてるじゃあないか」
夕子「んもお ! 」
村松「お ! その『んもお』は噺の雰囲気によく合うねえ。いいよなかなか」
夕子「冗談やめてよ ! ・・・。それじゃあ、その重助さんのおかみさんってえ人は、あれやだ、そのおかみさんは。え ? 」
村松「おかみさんなんて、完全に芝居ゼリフだあな。・・・与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)、俗に切られ与三(よさ)、お富さん連想しちゃったい」
夕子「やめとくれよ」
村松「ご新造さんえ」
夕子「も一つ言ったら殴るよ」
村松「わーったよ。じゃない、わかりました。で、疑問は解けた ? 」
夕子「わかったわよ。んもお。おかみさんは幽霊だったなんて、恐いわね。何んか初めから化けて出てるのね。ああやだ」
村松「・・・・・」
夕子「あのさ、おかみさんはどこで死体になってるの ? 」
村松「高田大八郎に殺されて、霞が関の足軽の・・」
夕子「ああ、大八郎のところの二階 ? 」
村松「その通り」
夕子「いやあだ。亭主は伝助のとこで、女房は足軽のとこの二階・・二階のどこ ? 」
村松「二階の高田のカッパざるん中」
夕子「命を大切になんて、今やたらキャンペーンみたいに言ってるけど、とんでもないわね。人情噺の世界じゃあ、昔から陰惨なことがあったのね」
村松「・・・」
夕子「何よ」
村松「いや、お前が次から次と訊くから、つい調子に乗っちゃいけないと思って」
夕子「あっそ。・・・恐いわね。怪談というか人情噺ってのは」
村松「・・・・・」
夕子「どうしたの ? 」
村松「い、いや何んでも」
夕子「何んか言ってよ。静かだと気味が悪い」
村松「それでは。後ろの女の人は誰だい」
夕子「きゃーッ ! こおのバカやろう ! 」
村松「いてーっ ! お前に殴られたところがバカに痛むんだよ。イヒ。イヒ・・・イヒヒヒ・・・。パコン ! いてーっ ! 」
失礼致しました。今回取り込んでしまいましたので、とりあえずおしまいとします。
☆編集後記☆
たきつけるとおどかすので怖いけど、こういう話はきちんと「その2」などとして、しっかり続きを文章で掲載したほうが、「え ? きゃああああぁぁぁぁーッ ! 」
パコンっ ! ! 「いぃってえーッ ! いくらピコピコでも程度ってのが・・ ! いってえーッ・・・イヒ、イヒ、イヒヒヒヒっ ! 」 パコンッ ! 意識薄れて横たわる。オシマイ・・・。