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2007年07月07日
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カテゴリ:きょうのできごと

 

11年前のちょうど今頃、ある途上国に上司とともに出張した。

同じメンバーで以前にもこの国に来ているので、首都の空港から市内に向かう車の中でも終始リラックスムード。前回はこんなゲテモノを食べた、今回はどんな珍しいものが食べられるか、みたいな話で盛り上がってた。

首都から内陸に千キロ以上の田舎町に入って1週間、気温40度、衛生状態も悪く、疲れもたまってきて、わたしも含めて体調をくずす人もでてきた。ある朝、集合時間になっても上司が出てこない。昨夜の宴会で飲みすぎた?部屋へ行ってみると、未明から下痢と嘔吐が続き、熱もあるとのこと。仕事は休んでもらい、いやがる上司を説き伏せて病院へ連れて行く手配をして、われわれは仕事へ。

昼過ぎに通訳から現場に連絡が入り、上司の具合が悪く市内の病院に入院した、とのこと。仕事を切り上げて病院に急行してみると、病院とはいっても衛生状態は最悪、人ごみの中、冷房もない大部屋で上司は裸で全身脂汗をかいてうめき声をあげていた。熱が高いけど氷嚢もないので、アイスキャンディーをたくさん買ってきて体に貼り付けたり。でもこれではいかんと、地元の有力者にお願いして夕方、隣町の軍の施設にある病院に入れてもらう。このとき、首都まで連れて帰ることを考えたけど、千キロ以上の道のり、途中で容態がさらに悪化したら?ということを考えて決断できなかった。

軍の病院は市内の病院より格段によかったけど、古い石造りの冷たい廊下や消毒のにおいが、どうにも不安な気持ちをかきたてて落ち着かない。でも上司は熱も下がってちょっと落ち着いた。血圧は低い。

 

翌朝、上司は半身を起こして軽口をたたくまで回復した。検査の結果がでて、虫垂炎、かなりひどいので早く切除しないと、との診断。上司はここで手術を受けるより日本まで帰って治療を受けたい、と言う。そりゃそうだ。だれが好き好んでこんな衛生事情の悪い国のしかも一番奥地で、盲腸とはいえ腹を切られたいものか。

でも医者は、移送中に炎症を起こした虫垂が破裂したら命がないと。

本人の希望どおりにしたほうがいいんじゃないかと思ったけど、なにせ首都に出るまで飛行機を使っても都合6時間くらいはかかる。フライングドクターのチャーター便も軍から飛行許可がでない。帰るのととどまるのと、どっちのリスクが低い?やはり移送をする決断はできなかった。

なかなか首をタテに振らない上司を説得して、どうにか手術を受ける同意を得る。ヘビースモーカーの上司は、手術を受けるからタバコを1本吸わせろって。よくなってからじゃないとダメですとお預けを食わせる。

それから電話局へ行って日本のご家族に連絡。「大丈夫です、しっかりしていらっしゃいますからご安心ください。。。」

本当に自分もそう信じて奥さんに言ったんだけど。



午後になって容態が急変。

血圧がどんどん下がる。

意識が遠のき、昏睡。

血圧がもう測定できないくらいまで低くなっている。

敗血症。

 

夕方、外はバケツをひっくり返したような大雨、屋根をたたく雨粒が大音響をとどろかす。

 

心停止

 

医者が馬乗りになって蘇生術をしている。

 

3分、5分、10分

 

目の前で起きていることが理解できない。取り乱してずっと叫び続けていた。

 

急に雨がやみ、静寂がやってきた。



霊安室から外に出てみると、満天の星空、天の川の小さな光の一粒一粒が1等星のようにきらめいて、まるで星の霞のように見えた。7月7日。日本では七夕のときに天の川を見るなんてことはなかったな、と思った。なんでタバコを吸わせてあげなかったんだろうと後悔した。

 

それから5日間ぐらいのことはよく覚えていない。でもほとんど眠らずに、役所と警察の手続き、事情聴取、日本から来るたくさんの人の受け入れ、お別れの会の手配、そしてご家族への説明。心が死んだ状態になって、感情が高ぶることもなく淡々とこなしていった。

上司とご家族が帰国されて、後片付けもおおかたすんで、一人でエレベーターに乗っていたときに、急に涙がぼろぼろぼろぼろ出てきてとまらなくなった。

奥様とちいさなお子さん二人を残して、異国で逝った上司。

わたしが、いくつかあった決断の、どれか一つを変えていれば、こんなことにならなかったのに。どうにもならない後悔。いくら謝罪しても、何にもならない。自分が死なせたんだ、という重すぎる、取り返しのつかない現実。

毎年七夕は、あの日のことを思い出し、同じ悲劇を繰り返さないよう心に命じる。それがわたしにできる、唯一のご供養だから。






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Last updated  2007年07月07日 09時35分18秒
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