FalloutNewvegas131話「調査する者」
カサンドラ:牧場資金稼ぎのためにリージョン関連の仕事をしたこともあるダーモット:カサンドラがリージョンの仕事から手を引いてほっとしている ベロニカ:BOSを抜けてからの新生活に慣れてきた。BOS時代リージョンとは何度かやりあったFalloutNewvegas131話「調査する者」―プリム深夜に3人組の男たちが街を訪れた。一人は白衣のガスマスク。一人は火炎放射器を持ったRADスーツ。一人はバンパーソードを持ったヤオ・グアイの毛皮を被った者。街に入ると保安官であるプロテクトロンのプリム・スリムが近づいてきた。「プリムへようこそ!イーハー!!こんな深夜に何か?」『ロボットですか……』「焼却ダネ」「切断也」『待ちたまえよ君たち。目的を忘れてはいけないよ』「要件をどうぞ。私はプリムの保安官プリム・スリムです」 両腕のレーザーガンを向けるプリム・スリム。『モハビエクスプレスに用事がありましてね。教えていただけませんか保安官』「どうぞこちらに」 仲間を制したフィレンツェはプリム・スリムの後に着いていく。カジノの前を通りモハビエクスプレスの前にたどり着いた。「モハビエクスプレスは朝8時からの開店となります。それでは」 プリム・スリムはそのまま後ろ歩きでフィレンツェから離れカジノの前で止まった。『ふーむ……あのロボット思ったより警戒してますね。まぁよそ者がくれば当たり前でしょうか』「どうするんダヨ?」「我らの任務は運び屋の仲間を探ることであったな?」RADスーツ男と毛皮の大男が言った。『その為に情報収集をしなくては。いいかい君たち、ワタシたちの上官Mr.フォックスはフルメンタリーなんだ。我々もフルメンタリー、だから目立ってはいけない。いつまでも部族だった頃のノリで行動してはいけないよ』「格好がもうダメダメだけどネ、ふひひ」「Mr.フォックスのようにスーツを着るべきであったか?」『このマスクだけは外せませんよ、君たちもそのRADスーツと毛皮は無理でしょう?』「ま、そうダネ。だからベガスの任務は言われなかったんだヨ」『パイロン、タスク、ワタシはこの街のカジノで情報収集すべきたと思うがどうかね?』「旦那がそういうのならそうしまショ」 パイロンと呼ばれたRADスーツの男が言った。「カジノの奴を何人か締め上げればそれなりに情報を吐くだろうしな!」 タスクと呼ばれた毛皮の大男が言った。『穏便に穏便に情報収集ですよ』 フィレンツェ、パイロン、タスクの三人はプリム・スリムに凝視されながらカジノへと足を踏み入れる。カジノに入ったとたん中にいる者は全員振り向き銃を構える者もいた。『おやおや、よそ者の扱いには慣れてるようで』「ああそうさ、お陰様でな」 モハビエクスプレス店主ジョンソン・ナッシュがサブマシンガンを構えたまま言った。「さて、死臭と血の匂い殺気をまき散らしながらカジノに何の用かな?」『運び屋の情報を仕入れていましてね。Mr.ハウスの荷物を運び、恐れを知らずフォートでシーザーと話をし、自分を殺しかけたチェックスーツの男に復讐した話題の運び屋の情報ですよ』「あんたらは何者だ?」『そうですねぇ……調査員とだけ』「なるほどな、なぜあの運び屋の事を知りたがる?」 ジョンソン・ナッシュはフィレンツェ達を睨みつけて言う。『把握する必要があるのですよ。彼の行動はモハビ各地で多大な影響を及ぼしています、彼にそのつもりがなくても大きな変化をもたらしてしまう。このプリムもそうなのでは?』「……確かにな。あいつよりも腕の立ちそうな者や頭の良さそうな者がこのプリムに居たこともあったが特に何の変化も起きなかった。普通はわざわざ面倒事や厄介事に首を突っ込まないからな」『彼の行動で影響を受けたもの、彼の支援をしているもの、そういった変化をしたものを調査しているのですよ。ラジオと新聞だけの情報では不確かでしてね』「このプリムはあの運び屋によって問題は解決した、いい方向に進んでいる。だがそれだけだ、この街はあの運び屋にしてやれることなんざ宿を貸して酒を振舞うくらいだ。モハビエクスプレスの仕事もあいつは取りに来ていない」『そうですか……他に運び屋について知っている事は?誰か付いていったなどは?』「ロボットを持っていったな。俺が壊れたロボットを拾ったんだが修理できなくてな、あいつが直して持っていった」『ロボットですか……』「プリムとあいつの関わりはこんなものさ。それでまだ何か用か?」『水と食事をいただけませんかね?』 小一時間ほど滞在し、飲食を済ませたフィレンツェ一行はカジノから出て北を目指す。『パイロン、タスク、どう思いますか?』「あんな街が運び屋を支援してるとは思えないネ」「兵らしき者も皆無だ。装備も貧弱でNCRに頼っていると思った……おい前方にNCRがいるぞ」『だろうねぇここはNCRの支配地だからね』「排除するヨネ?」『もちろん、NCRは生かしておけません』「ははははははー!」 プリムの橋の前に立っている見張りのNCR兵。彼があくびをした瞬間喉にダーツが突き刺さった。泡を吹きながらそのままゆっくりと倒れる。タスクの左腕に取り付けられたダーツガンから発射されていた。「地雷があるヨ、気をつけて」 足音を殺しながら橋を進む三人、地雷を回収するパイロン。テントからNCR兵が出て来た。「う~ビールを飲み過ぎるとションベンが近くなって行けねえや」「(ヒヒヒッ)」 影から飛び出すパイロン。消化斧を首筋に叩き込んで叫ぶまもなく仕留める。『テントにポン』 毒ガスグレネードをテントに投げ込むフィレンツェ、小爆発の後、咳き込みながら出てきたのはヘイズ少尉。涙目でサービスライフルを構える。「どこだ!?ゴホゴホ……何者だ!?」『リージョンです』 後ろに現れたフィレンツェはヘイズ少尉の首をナイフで切り裂く。「がっ……」『次はグッドスプリングスですね』 倒れたヘイズ少尉を踏みつけナイフを拭う。三人はグッドスプリングスに向かって歩きだした。―翌日グッドスプリングス カサドレスがいなくなったことでグッドスプリングスは以前のように北のルートを使うことができるようになっていた。ボニースプリングスで牧場を始めたカサンドラも取引のために時々訪れていた。グッドスプリングスの住民の憩いの場プロスペクター・サルーンにカサンドラ、ベロニカ、ダーモットの三人が訪れていた。「後は……そうだ、ラウルがチリソース買ってきてくれと言ってたわね」「メキシコ料理?ってのに必要とか言ってたね」 調味料と酒を買い込んだカサンドラとベロニカ。店の前に止めてあるイリオス号に荷物を積む。ダーモットがハンドルを握って待機している。「バラモンとビッグホーナーのエサ、調味料、機械油……ボルト……と」「ねぇカサンドラ、木材は?」 ベロニカは後部座席に箱を積み込みながら言った。「グッドスプリングスよりもジェイコブズタウンのが良いんじゃないかって」「あ~前はスーパーミュータントの事で色々あったけど今は取引できそうだって言ってたね。木材とか鉱石、乳製品とかを扱ってるんだって?」「そう、紹介で安くで買えそうなのよ」「そっかぁでもどうして急に?」「運び屋がスーパーミュータント達を説得?したとか聞いたわよ。」「ああ、あの赤い髪の彼!ラジオでも活躍聞くものね」「モハビで一番有名な運び屋だね」 頷くベロニカとカサンドラ。「そういえばお嬢様にベロニカ様……最近は噂の運び屋に取り入ろうとする者や利用しようとする者、殺害を企てるものなどを時々耳にしますね」 ダーモットは低い声で周囲を警戒しながら静かに言った。「でもトラブルは聞こえてこないよね。彼も優秀な人材を揃えてるとか?」 カサンドラは鏡で身だしなみをチェックしながら言った。「恐らくは。流石に一人で全ての事をこなすのは無理でしょうからね」「……始末屋みたいなのがきっといるのね」 ベロニカはサルサパリラのキャップを開けて一口飲んで言った。「お嬢様、ベロニカ様、雑貨店から妙な連中が出てきました」 その声に反応してカサンドラ、ベロニカは銃を抜いた。「トレーダーには見えませんね」「どこかの部族かな?」「今さっき話してた運び屋を探してる連中だったりして」 三人の視線の先にはガスマスク白衣、RADスーツ、毛皮大男。視線に気づいたのかカサンドラ達の乗るイリオス号を凝視している。「行きましょうお嬢様、ベロニカ様。かかわらないのが賢明かと」「そうだね、帰って牧場の作業しなきゃ」「タタカイダイスキ!なスーパーミュータントじゃないからね」 ダーモットはギアを入れてイリオス号を発進させる。砂煙をあげボニースプリングスにつながる街道を北上してグッドスプリングスを去る。『車とは珍しいですね』「リージョンにもあるけど馬車をイメージしたチャリオット車は排ガスをもろに受けて臭いのなんの、あれはダメだネ」「車などいらん!ヤオ・グアイに乗れ!!」『それはそうと……この街も運び屋に救われたんですよねぇパウダーギャングを返り討ちにして』「その後出て行った運び屋は一度ふらっと寄っただけでここには荷物も何も置いてナイと言ってたネ」「仲間らしい奴はこの街にはいないな。クリムゾンキャラバンのリンゴて男は運び屋と今でも交流があるとのことだ」『一つ気になることは……この街にいたカウボーイ気取りのセキュリトロンが運び屋が去った直後に姿を消したって件です。ノバックに運び屋は向かったと』「うわぁ……逆方向じゃない旦那ァ……」「ノバックに行くのか?」『そりゃあ行きますよ調査が任務ですからね。このまま東に進めば夜には着けますよ』「え、山の中通るんですかい?こりゃあ大変ダ」「最短距離はそれしかないだろうな」『さぁ行きましょう』 フィレンツェ、パイロン、タスクの三人はグッドスプリングスを出てそのまま東の山へ進みとノバックへ向かう。続く