祝祭男の恋人

2005/04/03(日)23:42

『目に映るすべてのものはメッセージ』をめぐって

日常をめぐる冒険(24)

 通勤電車に揺られていると、携帯電話に着信があった。  父親からだった。誰か死んだのかと思った。  次の駅で降りて、電話を掛け直した。  「なんでもねえよ」と父親は言った。  「今、ラーメンのどんぶりが割れたから、お母さんがお前に電話しろって   言ったんだ」  確かに、生まれてから一度も、  ラーメンのどんぶりが割れるのを見たことがない。    遠く離れた場所に暮らしているからか。    「目に映るすべてのものはメッセージ」と口ずさむことがよくあるけれど、  それが解読できないことは多い。  ラーメンのどんぶりが割れた瞬間、  母はあるいは、何十年後かに出会うはずだった異国の友人、  今はまだ未知であるその誰か、  一人の遙かなる友達を失ったのかも知れない。    が、そんなことは判らない。  判らないことは実に多い。  仕事が捌けたら、そういうことを考えよう。    

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