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Blue Sky Complex

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2006.10.15
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目が覚める。腕時計のバックライトをつけて時間を確認すると0:30だった。なるべく休んでおきたいのでもう一度眠った。

次に目が覚めると2:17だった。Tを含む三名はまだ寝ている。なかなかナイスな時間なので布団から出て、廊下で音を立てないように準備をし始める。小屋の廊下は一晩中電気が点いているようで、準備がしやすかった。ミニカップゼリーを3個食べ、洗面所で歯を磨き、コンタクトレンズを入れる。

しばらくしてTも起きる。いっしょに準備をして3:00には小屋の玄関を出た。小屋の中の気温計は6℃を指していたが、表はどのくらいの音頭になっているのだろうか。

外に出て空を見ると雲ひとつ無く、落ちてきそうな星星星・・・。半月が出ているのだが、それが負けそうなくらいの満天の星空で、天の川がくっきりと見えている。星のほうが月より手前にあるように見えるくらい輝いているのだ。そして頻繁に流れ星が落ちる。それもものすごく長く太い軌跡を描いていた。

レリーズも持ってきていたので、バルブ撮影に挑戦したが、あまりうまくいかなかった。自分の撮影技術の拙さが恨めしい。

28mmのオリオン

ヘッドランプを点け、三脚をたたんでザックに固定し、歩き始める。ランプが投げかける光の中のペンキのマークと昨日の記憶を頼りに山頂を目指していく。途中何度か道が分らなくなったが、月と星の明かりが稜線を浮き上がらせているので、さほど不安ではなかった。

夜の稜線

ゴアッテクスのジャケットとオーバーパンツを穿いているので、登っているうちはすこし熱いくらいだった。風がけっこう吹いていて、立ち止まって汗が冷えると寒い。ペースを乱して汗をかき過ぎないように、ルートを見失わないように注意して歩く。時おり振り返ると、Tのヘッドランプの灯が遠くなっていく。

50mくらい下でヘッドランプの灯が移動しているので、しばらく待つことにした。三脚を取り出し、カメラを取り付けて星空を撮っていると、Tが追いついてきた。「それぞれ自分のペースで行こう」と確認しあい、1人で頂上へいくことにする。

聴こえるものはトレッキングポールの石突の音と、ジャケットの衣擦れの音、風の音と、自分の呼吸音。そのどれもが乱れないように一歩一歩砂礫の上を登っていった。

平坦部分をすこし歩いてまた登ると、小さな木の祠と展望盤のある所へ着いた。ヘッドランプで周りを照らしても僕が立っているところより高い場所は無い。4:06頂上に到着。誰に言うとも無く「よっしゃあ」と小さく叫ぶ。早速三脚を立て、ファインダを覗いてみたが、もう少し時間が経たないと撮影は難しそうだ。とりあえず安曇野の夜景を撮った。三脚が風で揺れていてブレていた。

常念岳から見た安曇野夜景

頂上はかなりの強風が吹いている。小屋の中の気温が6℃だった。しかも400m登って7-10mくらいの風に吹かれている。ざっと計算すると、体感気温は-10℃くらいだろうか。バイク用のレイングローブをしていても指先が冷たくなっていく。ジャケットのフードをかぶり、チンガードをあげて顔を覆った。足踏みをして、手をハンドウォーマーポケットに入れて、なるべく冷やさないようにする。

15分ほど遅れてTが登ってきた。大丈夫か?と聞くと、大丈夫、と返事が返ってきたが、信用せずになるべく様子をうかがうようにする。登ってきたばかりの彼の体温はこれからどんどん奪われていくことになるだろう。寒さにはめっぽう強い彼とはいえ、Tシャツとニットとレインウェアしか着ていない。

二人で空が白んでくるのを待つ。バッテリの消耗を抑えるためにカメラをバッグに戻し、ザックに入れる。頂上に人一人が風から身を守れる岩があったので、Tをそこに座らせた。僕は頂上から2mくらい下った岩陰に仰向けに寝転んで、風から身を守った。稜線が壁になって風の勢いを和らげてくれる。岩の上に寝ると汗をかいた背中が冷たいけれど、風に晒されているよりはマシだ。星が冷たく僕を見下ろしている。

足も汗が冷えてきたので、新田次郎の『孤高の人』で文太郎がやっていたように、ザックに足を突っ込んで、すこしでも体熱が奪われないようにした。もしヘリで僕らを見たら、要救助者に見えるんじゃないか、とふと思った。

腕時計のバックライトをつけて何度も時間を確認するが、時計が全然進んでいないように思える。Tに時々話しかけて反応を見る。「くっついててあげようか?」というと「おホモダチにはなりたくない」と断られた。まだ大丈夫だろう。

ポケットに入れた手を擦り、寝転んだまま地団太を踏んで身体をすこしでも温める。ザックからチョコチップスティックを取り出して少しずつ食べた。こういうときのために持ってきたタバコを吸おうとしたがジッポが点かない。ジッポが点かないときのために「こんなこともあろうか」と持ってきたターボライターで点けようとしたが、こっちもダメだった。グローブを外して指先が冷えただけだった。

夜明けが遠い。

つづく。





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Last updated  2006.10.17 21:48:18
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