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2019年05月07日
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最終日はそのままオールで飲みに行ってしまいまして.......
 で、今日あたり総括をするところなんですが、ちょっとそれを脇に置いてマスタークラス。
 いえね、どうも聞いていた周りの人達が、何をやっているのか分かってなかったんじゃないだろうかと心配になりましてね......

 ヨアン・エローという人、正直言って「誰?」状態だったのですが、「歌曲伴奏」のマスタークラスということで、たまたま午前中チケット買ってなかったのもあって、聴くことにしました。
 この人、パリあたりでコレペティトゥーアやってる人らしいのですが、つまり、ピアノは勿論上手なんでしょうが、むしろ歌手のトレーナーと考えた方がいいんだと思うんですね。コレペティトゥーアってそういうものだもの。

 で。マスタークラスの定番通り、まず受講生に演奏してもらいます。そこから指導が始まるんですが、最初にエローが指示したのは、歌詞の日本語訳を朗読させたんですね。ピアニストに。曲はリストのローレライだったんですが、まぁ、正直、ハイネのローレライだったらなんだかんだで歌曲好きなら大体知っているものかと思うんですが、「曲のイメージを持つことが大事」と言って、わざわざ読ませる。定石通りなんですけどね。でも、聴講者も含めて理解させる為に詩を読め、という。これは非常に示唆的だと思います。
 正直言うと私は聴く立場としてはあまり歌っている言葉の詳細な意味までは気にしてなかったりします。音楽として、サウンドとして楽しむ、という立場もあると思っているので、それはそれでいい。無論意味内容が分かっていればそれはそれで違う楽しみ方が出来るわけで、楽曲の理解としては知ってるのが本来だと思いはしますが。ただ、それは聴く立場の話で、これが演奏者になるとそうはいかない。やはり何を歌っているのか考えろ、というのは大事なんですよね。
 でも、1時間一本勝負のマスタークラスでそれをやらせる。定石通りなんだけれど、それはそれで凄いと思います。読ませることで聴講者も含めて歌を理解させるところから、イメージを持たせるところからやる。当たり前なんだけれど、当たり前が出来てるか?というところから、やる。

 で、ピアニストだけでなく歌手への指導が結構多かったのですが、これが問題で。いや、指導する側・される側はいいんですが。
 エローという人はどうもフランスの人らしいのですが、フランス人がですね、ドイツ語の発音をかなり厳密に指導する訳です。主に2点。demの「m」の発音と、sonnenの「s」の発音。これを凄く丁寧に厳密にやっていて、しかも受講生がなかなか出来なかったりするものだから、聴講者の方から結構笑いが起きてたりしたんですが。
 あれね。笑ってた人達は、発音で苦労したことがないか、発音なんて気にしたこともない人達だと思いますよ。それか、そもそもこういうものに興味ないのに参加しちゃった人か。
 これとは別に、エローが指摘していたことが一つありました。それは、どの言葉が大事か、という表現の問題。und es dunkel, だと思うんですが、こういうフレーズで、大事なのはdunkelだ、だからそこをきちんと歌わないといけない、und es よりもdunkelが大事なんだ、ということを言ってたんですね。これはつまり、言葉の大事さを言っている訳です。言葉をきちんと伝えること。何が大事かを考えて、それを伝える、そのためにはどうすればいいのか、そういうことをエローは全編通して言っていたように思います。だから、冒頭の訳詞朗読であり、この発音なんですよね。
 日本人にはdemのmの発音は日常無いもので、というのは、基本日本語は母音を常に伴っているので、母音を伴わないのは「ん」だけ。で、demを、日本語表記的には無意識的に「デム」って認知してると思うんですよ。だからdemuになってしまう。でもuは伴ってはいけない。だからdemに引っかかったんだと思います。
 もう一つのsonnenのsはもっと難しくて、エローは「zが入ってる」(dが、というようにも聞こえたんだけれど、さすがにzだと思います)と言っていたのだけれど、これなんて少なくとも大学教養課程レベルのドイツ語だと「ゾンネン」って読めと言われると思います。少なくとも私はそうだった。でも、多分、zとsは違う子音だ、と言いたいんだと思います。私にはすぐにはどうすればいいのかわかりません。ただ、もしそういうことだったら、まずsの音として考えるに、zとの違いは、破裂するかしないかじゃないかと思うんですね、日本語発音的には。舌と上歯で破裂音を出すかどうか、みたいな感じかなぁと。でも、かなりこれを時間かけてたので、もっと難しいものなのかなとも思うんですけれども。
 で、この発音を一生懸命、何度もやってるのが、まぁ言えばユーモラスというかコミカルな感じが無きにしも非らずではあったのだとは思うんですが、笑いを誘ってたんですが。でも、あれ、自分でやってみようとしたら、やっぱり悩みますよ。とても。で、それをマスタークラスでやるの?って思うかも知れませんが、エローは基本に忠実なんだと思うんですね。だって、歌曲を「意味の籠っている言葉の連続としての詩歌を音楽的に聞かせる」というように規定するなら、「言葉が伝わること」は凄く大事なことではあるし、その言葉の持つ「音」というものが、同時に非常に重要なものになるのですから。そしてプロのコレペティトゥーアである以上、やはりそこは指摘するのだと思います。基本に忠実に。
 個人的なことを言えば、これって普段自分が言われてることばっかりなんですよね。だから、私には、全く流す余地の無い話ばかりでした。

 途中で出てしまったので、一番最後にどうなったのかは分かりませんが、基本に忠実に、手を抜かない、非常に勉強になるマスタークラスでした。受講生の、特に歌い手さんの方は、ちょっとそういう意味で可哀想にも思ったんだけれども、あんな素人が殆どの聴講生なんて気にしちゃいけません。笑ってたのはドイツ語なんてわかりゃしない連中ばっかりですから、むしろ本当のプロの指導を受けられたいい機会だったと思ってますます精進して欲しいと思います。





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最終更新日  2019年05月07日 01時43分57秒
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