ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン& オペラとクラシックコンサート通いのblog

2021/05/02(日)11:44

5/1 モーツァルト・マチネ第45回

クラシック(553)

ミューザ川崎シンフォニーホール  11:00〜  2階正面  モーツァルト:交響曲第32番 ト長調 K.318         ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調 K.216         交響曲第36番 ハ長調 K.425 「リンツ」  ヴァイオリン:山根一仁  東京交響楽団  指揮:太田弦  今年はラ・フォル・ジュルネが開催されないので、またしてもGWはやることがありません。都内の公演は軒並み中止ですし。ただ、首都圏で言うと他の各県は緊急事態宣言下ではないので、公演中止とは限りません。中には日フィルが来週の横浜公演を中止したりしていますが、まぁ、一応、やめろとは言われていない感じ。  で、LFJはないんだろうな、どうせやってもこの日は関係なかろうし、と思っていたので、買ってあったのですね。それでも例によって通路脇ですが.....  モーツァルト・マチネ。なんかタイトルが謎なんですよね。いや、何がと言って、これ、主催はミューザ川崎なんですよね。実質的には東京交響楽団の公演なのですが、主催は楽団じゃないという態で。確か一時期は「東京交響楽団」ではなかったんじゃないかな?「〜アンサンブル」みたいな名称だったような気がするのですが、どうだったっけ。  年4回公演なので12年目になるのか。もうちょっと前からやってた気もしますが。震災の時にミューザが壊れて他のあちこちで公演をやっていたりしたので、そうするとあれは2年目の時ということになるのかな?  元は、ユベール・スダーンが音楽監督に就任した時に、ザルツブルク音楽祭でモーツァルテウムでやっているマチネ公演を真似て創設したシリーズだったので、もっと前からあるイメージなんですが。本家はあそこの音楽院の教員メインのアンサンブルなので、同じ日にウィーン・フィルの公演と被ると、取れたらどっち行こうかと悩むくらいのものではあるのですが(まぁ実際には両方取れたらいいけど、ウィーン取れなかったからこっちでいいか、的な)、流石にその域にまでは.....  閑話休題。  この日の公演が「オール・モーツァルト・プログラム」と銘打たれているのは、必ずしもオール・モーツァルトとは限らないからなのでしょう。32番は実質序曲としての「シンフォニア」に近い性格なのでは、という規模の曲なので、序曲+協奏曲+交響曲、といったところかと。休憩なし1時間強の公演。この「モーツァルト・マチネ」シリーズは大体こういう形式なのですが、今の時期にはこの休憩なしのスタイルはかえっていいのかも知れません。  3階というか4階というか、と、後ろから両脇の席は一切使わず、2階後段だか3階だかは人が殆どいない感じですが、1階と2階は空席こそ若干あるものの普通のコンサートの入りという感じ。その辺は8割くらいの入りでしょうか。全体では定員の半分も入ってないでしょうが、500人ってこともないよね、といったところかと。このシリーズとしては平常運行に近いと思います。  演奏それ自体は、まぁまぁいいんじゃないでしょうか、という感じ。こっちも朝からでそんなに頭働いてないのではありますが、悪く言うなら特筆すべき瞠目するような何かが起きた、という演奏ではなかったのでしょう。そりゃぁそうです。日々無味乾燥な演奏ばかりという気はないけれど、さりとて日々新鮮で驚きに満ち満ちたエキサイティングな演奏が繰り広げられている、というものではありませんからね。それはLFJとかでも同じなんだけど....ま、それは置いておいて。  但し、特筆していいかと思うのは、この演奏会では全般に日本のオケによくある悪癖、力み返ったフォルテフォルティッシモの類がなかったこと。これは音楽としていい傾向だと思います。大体が、ミューザ川崎は基本的に風呂場系とはいえ2千人級の大ホールなので、そんなところでモーツァルトをやるならば、ピリオドがーノンビブラートがーみたいなことよりも、まず、ちゃんとして音楽として聞けなければいけない。正確には数えてないですが、確か弦五部は「リンツ」で12-12-10-8-6だったと思います。確かコントラバスは6本だったと思うのだけど、勘違いで4本だったとして12-10-8-6-4。これはこのホールであれば古典派としては普通の編成でしょう。編成に余裕を持たせて、力まずに普通に演奏させる。やりゃ出来るじゃん。格別ノンヴィヴラートを狙ってる感じではなかったですし、ナチュラルにレガートも掛かる、普通の演奏。  そういう意味ではいい演奏だったと思います。  指揮者の太田弦、私は確かこの間新日で聞いたと思うのだけれど、アプローチとしては悪くないと思います。この人まだ20代半ばですが、そう言っちゃぁ失礼だけれど、こんな状況下でなければなかなか活躍する機会は得られなかったかも知れないよね、という意味では、この状況下での数少ないポジティヴな面なのかも知れません。実際、日本は来日組指揮者のウェイトが大きいので、日本の指揮者が日本で指揮するチャンスがなかなか得られないというのはあると思います。いずれこの環境はまた変わると思うけれど(流石に向こう5年10年この状況が続くってことはないでしょう?)、それまでに存在感を高めて、地歩を固めて欲しいと思います。そのくらいの実力はあると思うし、少なくともこういう人が出て来れば、後に続く人もやりやすくなると思うので。  ヴァイオリンの山根一仁、この人もやはりまだ20代半ばの若い人。私は今までに聞いたことあったのか、あまり記憶はないのですが、演奏はまずまずよかったかと思います。線の細そうな人ですが、演奏は芯が通っていて、モーツァルトにはよく合っていた演奏だったかと。

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