「雁(がん)」森鴎外
森鴎外の「雁」を読了した。先月、千駄木の森鴎外記念館に行って、鴎外の作品が無性に読みたくなって、家の本棚を探したら、奥の方に昭和54年6月30日発行の角川文庫が隠れていた。頁はすっかり日焼けして、文字は小さくて、写植の字体だろうか。子供だった僕は、おそらく向学心に燃えてこの一冊を買ったのだろうけど、読み終えることなく放置していた本。十分に齢を重ねた今、僕はようやく鴎外作品の一つめを読み終えることができた。フィクションのようでもあり私小説的でもあり。繊細な文体に惹かれた。そして、今度は上野界隈をゆっくり歩きたくなった。千駄木の森鴎外記念館