「バイデンの光と影」エヴァン・オスノス著、矢口誠訳(扶桑社)
調査報道でピューリッツァー賞などを受賞したエヴァン・オスノスが書いた本。アメリカ合衆国第四十六代大統領ジョー・バイデンの半生が綴られている。出版は2020年。バイデンがトランプ大統領の2期目を阻んだ年にあたる。本書の後半、バイデンがトランプを評して語ったとされる言葉があった。「意地の悪さ、狭量さ、自腹を切ってまでも復讐を果たそうとする執念深さ。」この時バイデンはトランプ大統領の再選を阻むことに成功。敗北を受け入れようとしないトランプの悪態は、バイデンが評するトランプそのものだった。しかしその4年後の大統領選では、まさに執念深くトランプは大統領の座を再びもぎ取った。トランプ政権が誕生するまで、アメリカは長年、世界のリーダーとしての役割を果たし続け、それによって世界中の金・物・人・情報がアメリカに還流し続けてきた。そんなアメリカ繁栄の仕組みを、トランプ政権は捨てた。そして目先の取引一つ一つの損益勘定に血眼になり、結果によらず大勝利、大勝利と自らを称賛している。白人至上主義が透けて見える移民の強制排除政策は、今のところヒスパニックや中南米からの移民が主なターゲットになっているが、不法移民に留まらず留学生や研究者にも矛先が向かっている。最終的にトランプと戦った候補者がハリスではなく、再びヒラリー・クリントンだったら今回の結果はどうだったのだろう、と今さらながら改めて思う。