著者、スティーブン・R・コヴィー氏が「永続的な幸福と成功を支える基本的な原則」と説く「7つの習慣」のうちの4つ目。

【第四の習慣「Win-Winを考える」】(以下、勝手な要約と勝手な感想)
ここまで「第一の習慣」から順に、
①今の状況を他人のせいにすることなく、状況改善のために自分ができることを見つけ、そこに集中しよう。
②最終的にあるべき状況を明確化しよう。どのようにやりたいか、ではなく、どうなりたいかを考えよう。
③その目標を達成するために「重要だけど急ぎではないこと」を放置することなく取り組み、緊急事態に追われるだけの日々、つまり、ただ忙しいだけの後手後手の日々から抜け出しておこう。
そして、第四の習慣に進む前段として、信頼を得る努力をコツコツと重ねておこう、といったことが書かれていた。
「第四の習慣」は、これらができていることを前提に、皆が勝者になることも可能な仕組み、つまり、Win-Winの結果も期待できる仕組みを考えよう、と説いている。
なぜなら、どんな仕事も自分だけの努力で、あるいは自分の部署だけの頑張りで成功を得られるものではなく、他の部署の協力も得ながら、そして取引先とも同じ方向を向きながら取り組んで初めて上手くいくものだから。
例えば社員表彰の表彰基準を考えてみる。
売上上位の社員を表彰するシステムは、必然的にそれ以外の社員を敗者に位置付けてしまいかねず、これはWin-Winの発想ではない、とこの本は語る。
それよりも、それぞれの部署が設定した目標を達成できたかどうかを評価基準とすることで、努力次第ですべての部署が表彰され得る仕組みとすることができるのではないか。
そうすれば、他の部署や他の社員を蹴落とすような発想は消え、目標達成のために部署間での支援体制も生まれるのではないか、と著者は言う。
読んでみて、これはまぁ、おっしゃる通りかな…と思った。特に経営者目線で考えるなら本当にその通りだと思った。
ただ、揚げ足とりのような言い方になるけれど、例えば人事を考えてみても、昇進ポストは限られているという事実は厳然としてあって、そこにどうしても仲間内での競争みたいなものは生まれてしまうよね、とは思った。
担当者時代を振り返れば、同僚に負けたくないという気持ちが一つのモチベーションになっていた記憶があり、職場内競争にもメリットはあったと思っている。
一方で、部下が挙げた成果を自分の成果として語る上司は実在したし、仲間の実績を懸命にこき下ろそうと陰口を叩きまくる同僚の姿もしばしば見てきた。
Win-Winを考えることで、こういう人たちがいなくなるのだろうか、と考え始めると頭の中が混沌としてくる。
繰り返すが、決して「そんなのきれい事だよ」と難癖をつけたい訳ではない。だけど、この本の通りにできていない自分が悔しいのか、それともやっぱり心のどこかで「そんなに上手くいかないよ」と思っているのか…素直さに欠ける読み方を僕はしてしまっている。
これではこの本を書いた人に申し訳ない、できるだけ斜に構えて読まないようにしよう、と思いつつ「第五の習慣」に進むことにする。