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カテゴリ:本
原題は「Chaos Kings」。2023年に出版され、日本語版は月谷真紀氏の訳により2024年8月に発行されている。
【感想】 分厚くて、投資の専門用語が多用されていて、読みにくい本かな…と思ったけど、読み始めてみると面白い本だった。 中国の武漢から広まったコロナ禍のこと、大統領選の負けを認めようとしないドナルド・トランプに煽られた支持者の群衆が議会を襲撃した時のこと、ロシアによるウクライナ侵攻のこと、イーロン・マスクがテスラの電気自動車で巨万の富を築いたこと等々、記憶に新しい、というより、ほぼ「今」のことが書かれている。 だけどそれぞれ日本の報道で慣れ親しんだものとは少しずつ違う書きぶりになっていて、それも面白かった。 タイトルの通り、本書に登場するヘッジファンド創業者は、リーマン・ショックなど大半の投資家が全ての資産を失うような株価暴落時に、逆に大金が流れ込んでくる投資戦略を練り上げ、実際に彼に資産を託した投資家たちは大きな利益を上げた。 資産運用のプロたちから批判されながらも、彼は株式市場の崩壊は予測できないとの信念で動き続けた。平時には少し損をし続け、崩壊時に大きく儲かる商品を投資のポートフォリオに組み込んだ。市場崩壊時に儲かる“保険”を組み込めば、それ以外の投資はリスク高めに設定でき、その結果、投資家は平時でも混乱時でも利益を上げることができた。 市場の崩壊に備える数式は、地球環境の崩壊への備えにも役立てられるに違いない、とヘッジファンド創業者は考え、実際に環境活動家となっていく。 なんだか話を単純化しすぎたせいか、あるいは次から次に登場してくる天才たちに僕の理解が追いつかないせいか、明らかにイマイチな要約になっているけど、投資の話から地球温暖化問題へと、ストーリーは大きく振れる。 文中、福島原発事故で死んだ人がいないのに報道が原発の危険性を煽り過ぎた。その結果、火力発電への回帰が生じ、大量の二酸化炭素がばら撒かれた、みたいな記述があり、そこには思い切り引っ掛かった。 避難先での慣れない暮らしによる災害関連死を絶対に無視しないでほしい。 福島の浜通りの惨状を見れば、報道が煽り過ぎてる、とは決して言えないと確信する。 ただ、その引っ掛かりを差し引いても、自分と同時代でありながら別世界を描いてくれたこの本は読み応えがあり、やはり面白かった。 【主な登場人物】 ビル・アックマン(アメリカ有数のヘッジファンド創業者。武漢での新型コロナ感染が世界規模のパンデミックに拡大することを真っ先に予見)/マーク・スピッツナーゲル(市場の混乱で利益を上げる戦略を取るヘッジファンドの創業者)/ナシーム・タレブ(ブラック・スワン提唱者)/ブランドン・ヤーキン(スピッツナーゲルらの注文を引受けるブローカー)/ディディエ・ソネット(株式市場の予言者。ドラゴンキングを提唱)/ルパート・リード(環境活動家。予防原則でタレブとつながる)/ヤニール・バーヤム(ニューイングランド複雑系研究所創設者)/ロバート・リッターマン(ゴールドマン・サックスOB。地球温暖化に対し活動)/マルクス・シュマールバハ(保険会社経営者)/サム・バンクマン=フリード(暗号資産取引所CEO)
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Last updated
March 18, 2026 12:00:14 AM
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