映画「爆弾」【感想】
警察署の取調室での心理戦が延々と続く映画「爆弾」。固唾を飲んで、そして食い入るようにスクリーン上の言葉の応酬を見つめ続けた。この映画を観たのは2025年の暮れ。2025年は、日本で暮らすアジア人を見下そうと躍起になる、かつての日本に蔓延していた悪癖が一部の政治団体や活動家、そして収益目的と思われるSNS投稿者たちの扇動によってぶり返した1年だった。島国に暮らしている僕たちはどうしても井の中の蛙になりがち。それはわかっていても、日本人が優生種であるかのように思い込み、世直しを気取って人間を勝手に分類し蔑み傷つける様は、恥ずかしく、情けなくてがっかりする。彼らが真似しているであろうアメリカファーストに限らず、ロシア、中国、イスラエルなど世界中で為政者の偏狭な振る舞いが目に付き、人間という生き物に愛想を尽かす場面が多い一年でもあった。それがあってか、僕にはこの映画が人間の醜さを残酷なまでに暴き出そうとしているものに思えた。「自分は善良だと思っているお前。お前が考えていることは本当に正しいのか」と問われ続けているような、心の深いところを露わにされるような、そんな映画だった。