1月のニュース
1月5日-1月10日 *メコンデルタCan Tho市の空港は、第1期の整備事業が完了して国際空港となり、その記念式典が行われた。グエンタンズン首相はハノイ市から飛行機で到着し、式典に出席した。そして国際空港への転換を期に、同市は一層の発展を実現して欲しいと語った。(訳者注:現在は名前だけで、この空港から外国へ飛び立つ便は無い。) *政府は北部山岳地帯で、国策事業としてSon La水力発電所の建設を進めているが、ダム建設現場に住む住民が移転に応じないため、建設工事に影響が出ている。早急に住民を立ち退かせないと、完成は更に遅れてしまう。Hai副首相はハノイ市で関係者と共に対策会議を開き、地元の人民委員会に住民の強制移転を早く進めるよう指示した。 *ホーチミン市は去年、新たに4万台の自動車の所有登録を受け付け、同市の自動車は合計37万台となった。またバイクは10%増えて370万台となった。車の増加で交通事情はますます悪化しており、大きな社会問題となっている。 *ホーチミン市の住民1万4千人が、貧困者救済のための募金活動をしながら市内を行進し、合計11万ドルの義援金を集めた。(訳者注:共産党青年団の若者は、正式な共産党員となるために、積極的にこの様な活動に協力する。所属する学校や職場から何人を動員できたかによって、将来の共産党員の能力が評価される。) *ベトナム政府は、1人当りの年収が4百万ドン(230ドル)以下の世帯を『貧困世帯』と定義している。5人家族だと年収は1150ドル、十万円余である。山岳の僻地では、こんな世帯が20-30%を占める。裕福なホーチミン市は、独自に6百万ドン以下を『貧困世帯』と定義している。(訳者注:ベトナムは急速な経済発展を成し遂げたと言うが、まだ貧困な低開発国である。) *中部のThanh Hoa省で、病院に入院した8歳の女の子から鳥インフルエンザの病原菌が検出された。この一家は、前の週に病気の鶏を調理して食べたと言う。 *ハノイ市で共産党中央委員会の会議が始まった。世界的な経済の悪化がベトナムにも大きな影響を与えており、その対応を検討する。ノンドクマン書記長は開会の挨拶で、一致団結してこの難局を乗り切ろうと呼び掛けた。 *世界的な経済の悪化で、ベトナムへ来る外国人観光客が急減している。文化観光省はホテルや観光会社に、近隣諸国と競争できるようツアーの価格を下げるよう指示を出した。 *ハノイ市は過去に急速な経済発展を達成したが、失業率は高いままである。労働者の人口が毎年2.4%ずつ増え、雇用の創造が追いつかないからである。去年は18歳の労働年齢に達した若者が8万人、政府の強制収用で土地を失った農民が3万人おり、求職者数は合計12万人も増加した。今年は求人が増えない上に多くのレイオフが予想され、失業率は下がるどころか上昇するかも知れない。 *ハノイ市には、公共事業の建設現場を監視する役人が1千人いるが、同市は更に7百人増やす計画である。彼等は公共事業の現場を監視し、汚職や手抜き工事を取り締まる。(訳者注:過去の例から、役人の数を増やしても効果は無い。役人は賄賂を貰えば、汚職や手抜きを見てみない振りをする。) *(訳者注:去年から大学の客員教授は、所得税を払う事になった。税金は10%で給料から源泉徴収される。民間の語学学校の教師は、所得税を無視して払わないから徴収されない。最低課税額は月給4百万ドン(230ドル)で、外国人の優遇は無い。私は大学で教える時間が少ないから所得が最低課税額に達せず、徴収された税金の還付請求ができる。その難しさは十分に予想できたが、ベトナムの現実を知るために敢えて手続きを行った。その結果、ベトナムの劣悪な政治状況を思い知らされた。十回近くも税務署に足を運び、込み上げる怒りと疲労を我慢し、最終的に20枚ほどの書類を提出し、やっとの事で還付請求の手続きを終えた。税務署の役人は、執拗に手続きを続ける私に音を上げたようである。外国人講師は、私以外みんな税金の還付請求を諦めた。ところで税金の還付請求を受け付けるのは中央税務署の1か所だけ、十人程の担当者が1日に数十人の市民に対応する。税金を納付する人が少ないから、還付請求をする人も非常に少ない。) *オーストラリアの国会議長がベトナムを訪れ、グエンフーチョン国会議長と両国の関係強化について話し合った。マレーシアの国会議員の代表もベトナムを訪れ、グエンタンズン首相と両国の関係強化について話し合った。 *(訳者注:ベトナムは鳥インフルエンザを克服したと言う記事が掲載された。しかし詳しく記事を読むと、去年は70以上の村でこの病気が発生し、10万羽以上の鳥が死んだだり処分されたりしたと言う。しかも5人がこの病気に感染し、全員が死亡したと言う。病気の発生は前年より70%の減少だと言うが、びっくり仰天の内容である。外国でこの病気が発生すると大きく報道するが、国内の発生は政府の報道規制でほとんど報道されない。更に青耳病で死んだ豚は30万頭以上、口蹄病で死んだ牛は2500頭。目立たない小さな記事だが、恐るべき事実が掲載されていた。) *今年の正月には、12,000人の囚人に恩赦が行われる。新たに恩赦法が制定され、恩赦の方法が大幅に改善される。(訳者注:恩赦を得るには、役人に金を払って恩赦請求をして貰う。役人の地位が高いほど効果は大きいが、払う金も多い。恩赦は役人が金を儲ける手段で、12,000人の囚人の家族が役人に払う金は巨額である。) *(訳者注:去年は全国で前年の30%増し、650件のストライキが発生し、大きな問題となった。この80%は外資企業で起きている。外資企業の労働者の給料は高いが、税金や社会保険料など国内企業には無い諸費用が天引きされるので、外資企業の労働者の手取りは少なくなってしまう。また外国企業には国内企業には無い様々な手数料が掛り、公共料金も近隣諸国よりかなり高い。唯一の取り柄である安い人件費が無くなったら、外国の企業はベトナムに来なくなってしまう。) *農業省は、中部Thanh Hoa省の19の農家で鳥インフルエンザが発生したと報告し、この病気で入院した少女の姉が死亡していた事実も明らかにした。農業省は病気が発生した農場を消毒するとともに、全国の人民委員会に病気の予防に力を入れるよう指示した。 *ハノイ市にASEANの観光担当の大臣が集まり、観光産業の育成について話し合った。安い観光ツアーを充実させ、地域内の旅行を増やす事などを決めた。また夕方には2千人の役人や観光業者が集まり、観光促進のセミナーを開いた。 *ハノイ市は、去年党籍剥奪の処分を受けた共産党員は913人だったと発表した。これは共産党員の0.3%に当たる。77人は犯罪を犯して逮捕され、31人は損害賠償を言い渡された。前Ha Tay省の教育委員長など、政府の高官も含まれている。 *(訳者注:中央政府は、中部のKhanh Hoa省に近代的な港湾施設を建設する計画で、土地の取得も終り起工式を行うばかりになっていた。しかし韓国の企業がその土地に大規模な製鉄所の建設を申し込むと、地元の人民委員会は港湾施設の建設を撤回し、製鉄所の建設に変更してしまった。国営の施設からは税金も土地の使用料も取れないが、外国企業の施設だと様々な税金や手数料が取れる。約1年間、中央政府と地元政府の調整が着なかったが、ズン首相の命令で本来の計画通り港湾施設の建設が決まった。) *Hung副首相とラオスの副首相がホーチミン市で会談し、両国の相互協力協定に署名した。この協定で、ベトナムはラオスに1830万ドルの資金援助と同国の留学生 650人の受入れを行う。更に人材育成や観光開発でも両国は協力する事を決めた。 *(訳者注:ベトナムの公安は去年の12月だけで、窃盗などの犯罪を犯したりベトナム政府を批判した外国人120人に警告を与え、悪質な39人を強制送還した。) *労働福祉省は全国の企業20万社に、12月末までにテトのボーナスの金額を報告するよう指示を出した。しかし報告したのは数百社だけで、残りは労働福祉省の指示を無視している。企業は、同省や労働者が期待するほどボーナスが出せないので、報告できないのだと言う。インフレにもかかわらず、ボーナスの金額は去年より少ないと予想される。 *(訳者注:国会の経済委員会は、経済の専門家や外国の企業家をハノイ市に呼んで、世界的な景気後退に対するベトナムの対策を検討した。ベトナムの役人の楽観的な見通しに対し、外国の企業家は厳しい見通しを示した。外国企業に出した投資許可が急増した事から、ベトナム政府は2百億ドルの外国投資を期待しているが、外国の企業家は数十億ドルだろうと述べ、ベトナムの国債を購入する外国人も大幅に減るだろうとの予測を示した。ベトナムは社会基盤が劣悪で、公共料金が高く、行政手続きが面倒で費用が掛り、経済の国際競争力はかなり低い。外国の企業家は、ベトナム政府が根本的な行政改革を行わない限り、急速な経済発展を維持するのは難しいとの見方を示した。)